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第二章 変化、触発

第二話

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武器屋を出た俺たちは、今度は魔法薬品店に来ていた。この店はさっきの武器屋みたいな悪ふざけはないだろう。・・・ないよね?

「おにいちゃん!!これかって」
「ん?なんだ?」

ベルルの手になにやら緑色の液体の入った小瓶が握られている。ポーションの類か?

「あ、懐かしいですね。おままごと用ポーションです」
「おままごと用?」
「はい。街で冒険者ごっこをしている子供達用のポーションです。と言いましてもなんの効果はないジュースですけどね」

物騒な遊びが流行っているなぁ。というかジュースて。

「ちなみにこれは何味なんだ?」
「緑色ですか・・・私が知らないということは最近出たのでしょうか。私が払いますから買ってみます?」
「いや、俺が払うからいい。俺も味がきになるからな。ベルル、いいな」
「うん」

そう言ってポーション5本をカゴに入れる。俺とミーナが1本ずつでベルルが3本らしい。味がわからないのに3本も飲むのか。残すなよ。

「ところで、この店はこういうもの以外でなにを売っているんだ?」
「そうですね。ある程度なら揃っていると思いますよ。たとえばこれですね」

そう言って近くにあった青色のポーションを手にする。

「これは魔力ポーションです。その名のとおり飲んだら微量ですが魔力を回復します」

微量かぁ。転移って意外と魔力消費するから買っておいた方がいいかもな。

「こっちはマナポーションです。こちらは飲んだら魔力を少量回復します」

さっきの魔力ポーションの強化版か。値段は少し高くなっているが、まあ必要経費だろう。

「それで、こちらは魔力丸薬。使用したらしばらくの間魔力を持続的に回復します」

ほ、ほぉ。

「そしてあの棚にあるのが魔力・・・」
「魔力回復系はもういいから」

というか魔力を回復させる薬をどれだけ置いているんだよ。

「そうですね。他ですとあちらですかね」

そう言って店の一角を指差す。そこにはいかにも高そうなポーションが置かれてあった。

「アレはエリクシアル。死んで間もない死者であれば蘇らせることもできる霊薬です」

ほぇー。本当にあ・・・

『くくく。注目してるしてる。エリクシアルなんて本当に作れるわけでもないのに。回復の霊薬の瓶を変えただけでボロ儲けだぜ』

・・・・るわけないか。というか魔王城では使えなかったから忘れていたが、俺相手の思考を読み取れるんだった。いまのセリフ的に発言者は・・・・カウンターにいるあの店主か。

「あの、キリサメさん?」
「ああ、気にするな。それと、アレは回復の霊薬らしいぞ」
「え?でもエリクシアルって」
「俺には相手の考えていることを知ることができるスキルがあるんだよ。それであの店主がそんなことを言ってたんだよ」
「そう、なのですか・・・」

なにやら少し落ち込んだミーナを連れておままごと用ポーションを買って店を出る。不正?騙される方が悪いから知らん。

ちなみに緑色のおままごと用ポーションはバナナの味でした。この世界のバナナは緑色が普通なのか?
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