開幕からレベル100?レベル平均5の世界で俺だけ強すぎる件について。

神崎あら

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1話 6枚の契約書

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 「ひぃぃ、た、助けてくれ」

 レベル差とは暴力である。
 今俺の目の前にいる堕落した貴族の男のレベルは1、はっきり言って雑魚である。
 この世界においてレベル1とはステータスがほぼ全て1であることを意味している。
 実際、この男のステータスを見ると、知力以外1である。
 まぁその知力も3だけど。

 「まぁ助けてやってもいいけど、金払える?」
 「金か任せておけ、私は金には余裕がある」

 そう言って貴族の男はポケットから宝石付きの指輪を幾つか出した。

 「お、それはいいね、俺を雇った奴が支払う予定の金額を超える額を払ってくれれば後は適当に死亡扱いとかにして、俺は帰るよ」
 「おおそれは助かる、お前なかなか話がわかるな」
 「結局、世の中金ですから」

 俺はそう言うと、その男にピースをして敵意は無くなったアピールをした。

 「で、いくらだ?」
 「9000万アスト金貨」
 「は?」

 その金額を聞くや否や貴族の男は、目を丸めたまま動かなくなった。
 アスト金貨は、この世界で一番流通している貨幣であり、1金貨日本円にして約10万円ほどである。
 つまり9000万アスト金貨は、約10億である。

 「ふざけるななんだその金額は、私の全財産と同じ額だぞ」
 「ああそうだよ、だって俺の雇い主はお前んとこの領民だからな」
 「な⁉︎」

 この男の名は貴族ランド=マルセス、アスト王国の上流貴族家系の一つであるマルセス一族の1人である。
 そして東部の辺境領の領主でもある。

 「ほらこれ見ろよ」
 「なんだその紙は」

 俺は驚きで動けないでいるランドに長い契約書を見せた。

 「流石に全員の名前は載せられなかったけど、凄いだろ2000人分の名前が書いてあるんだぜそれ」
 「こ、これはまさか」
 「お、気がついたか、そうだよ俺の雇用主はお前んところの領民約9000人だ」

 東部辺境領、マルセル第4領ではそこの領主であるランドによる圧政が敷かれていた。
 領民は毎月高額な上納金納めることを義務付けられ、他領地への移転や転居も禁じられ、違反が見つかれば禁錮10年と重い刑罰となる。
 それだけではなく、まだ幼い子供の教育のためと言って領地の子供を学校のような場所に集めて、その後に他国に売り飛ばすという非道な人身売買にも手を染めていた。

 「な、嘘だ、何が9000人だ、そんな数の同意が得られるはずがないだろ」
 「だよなぁ、俺もそう思ったでもなほらよ」

 俺はそう言ってまた長い契約書を5枚ほど取り出した。

 「嘘だ……」
 「お前、相当恨まれてるぜ、この契約書の署名を集めるのに丸4年かかったらしいぜ」

 合計6つの契約書を見るとランドは膝から崩れ落ち、動かなくなった。

 「で、払えんの?まぁ、払えたとしても今度は無一文になったあんたを領民がボロボロにすると思うけど」
 「い、いい加減にしろよクソガキ、わしはマルセスの人間だ、こういう時のための備えくらいしてるんだ」

 そう言うとランドはポケットから一枚の紙を出した。
 召喚紙か、珍しいな。
 召喚紙、特定の武具や魔物などを封じ込め、出したいときに破ると出現するという便利アイテムである。

 「お前珍しいもん持ってんな、流石は貴族」
 「馬鹿にするな!これは名剣も名剣、竜を殺せる剣なんだぞ」

 ランドはそう言いながら紙をビリビリと破き始めた。

 「オーコワイコワイ、コワイヨー」

 そうしてランドは紙を縦に2つ破った。
 破ると同時に紙は濃い霧となり、霧から薄らと剣が出てきた。

 「見よ、これぞ宝剣バルムンクじゃ!」
 「わー、やばいやばいよー」

 ふむふむレベル4にプラス値7か、なかなかの剣だな。
 まぁ雑魚に変わりないけど。

 「ゆくぞクソガキ!死ね!」

 そうしてそのままランドはバルムンクの切先を俺の方へ向け突進してきた。

 「ひー、し、死ぬ~」

 はぁ、いつまでやるんだこの茶番。

 
 


 

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