あばずれローニャ

黒神譚

文字の大きさ
48 / 150
第4話

初めての共同作業 6

俺達は龍虫退治のために3日の時間をかけて移動することになった。
アルバートはプンスカ怒りながら俺が馬の乗りこなす姿を見て絶賛してくれた。

「ローニャ。君は本当に不思議な女性だ。
 男でもここまで馬の扱いが上手い人間はそうそういない。私が知る限り上位10名に入るかもしれない。」

「ふんっ! お世辞言っても昨夜のことは許しませんっ!!」

そうは言ってもアルバートほどの男に大絶賛されて嬉しくないわけがない。
(ローニャ。顔がニヤついてるわよ)と、チャームに注意されても俺は口元が緩んでしまうのだった。

(それにしても少年時代からもうちょっと俺の事を褒めてほしかった。)
(そうすりゃ、俺も・・・)

(・・・俺も? いや、そうだった場合、俺達はどうなってたんだろう?)
(仲の良い友達になれたのかな?
 いや、きっと両家のしがらみで大人になるにつれ、疎遠になったんだろうなぁ。)
(そう思うと、今のこの関係がいいのかもしれない。
 何のしがらみもなく、タダの男と女として出会って冒険をする。きっとこれが一番いいんだろうなぁ。)

俺がそんなことを考えながら馬を走らせているとアルバートが馬を休ませるために休憩にしようと言い出した。俺もそれに同意する。馬を酷使させるのはよくない。長い旅の付き合いになるのだから。
俺達は馬を木につなぎ、その下で休憩する。焚火を起こし、鍋に火をかけ食事の準備を始める。
もちろん、料理は俺の仕事だ。というか作ってあげたい。
いつか別れることになるのなら、少しでもいい思い出を残したい。

そう思っているというのにヤキモチ焼いて喧嘩して、俺はバカだなぁ・・・。

俺は心を込めて食事を作った。アルバートは喜んで食べてくれたし、前回同様、洗い物もしてくれた。
「これが君と私たちの役割分担になりそうだね」なんて言いながら。
そして、洗い物が終わるとアルバートは一つの提案をしてきた。

「夜のキャンプについてだが・・・」

「よ、よよよ、夜のキャンプっ!?」

俺の狼狽えようを見たアルバートは俺が頭に思い描いた大人の男女交際を見透かしたように笑うと「警戒態勢の事だよ」と笑った。

「前回、私は君の結界を潜り抜けて君のキャンプ場に侵入した。 
 君はそれを感知できなかった。」

俺はハッとなって「そういえば、どうしてそんなことができたの?」と尋ねた。だって、俺の結界術はそんなに甘くないはず。いくらアルバートが手練れとはいえ、ああも易々と接近されるなんて思いもしなかったからだ。
アルバートは俺に諭すように話す。

「いいかい? 私が思うに君の結界術はパーティあってのものだと思う。
 見張りがあることが前提だ。パーティなら見張りが監視していた部分がおろそかで・・・つまり結界に死角があるんだ。
 私クラスの者なら見ただけで察知できるほどの手落ちだ。
 一人で冒険をするのなら、そこを覚えておいた方がいい。
 龍虫の出現場所までの3日間、私が手本を見せるからよく見て覚えておくと言い。」

 俺は移動する間、彼から警戒態勢の敷き方をしっかりと教わるのだった。
 
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話