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第4話
初めての共同作業 6
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俺達は龍虫退治のために3日の時間をかけて移動することになった。
アルバートはプンスカ怒りながら俺が馬の乗りこなす姿を見て絶賛してくれた。
「ローニャ。君は本当に不思議な女性だ。
男でもここまで馬の扱いが上手い人間はそうそういない。私が知る限り上位10名に入るかもしれない。」
「ふんっ! お世辞言っても昨夜のことは許しませんっ!!」
そうは言ってもアルバートほどの男に大絶賛されて嬉しくないわけがない。
(ローニャ。顔がニヤついてるわよ)と、チャームに注意されても俺は口元が緩んでしまうのだった。
(それにしても少年時代からもうちょっと俺の事を褒めてほしかった。)
(そうすりゃ、俺も・・・)
(・・・俺も? いや、そうだった場合、俺達はどうなってたんだろう?)
(仲の良い友達になれたのかな?
いや、きっと両家のしがらみで大人になるにつれ、疎遠になったんだろうなぁ。)
(そう思うと、今のこの関係がいいのかもしれない。
何のしがらみもなく、タダの男と女として出会って冒険をする。きっとこれが一番いいんだろうなぁ。)
俺がそんなことを考えながら馬を走らせているとアルバートが馬を休ませるために休憩にしようと言い出した。俺もそれに同意する。馬を酷使させるのはよくない。長い旅の付き合いになるのだから。
俺達は馬を木につなぎ、その下で休憩する。焚火を起こし、鍋に火をかけ食事の準備を始める。
もちろん、料理は俺の仕事だ。というか作ってあげたい。
いつか別れることになるのなら、少しでもいい思い出を残したい。
そう思っているというのにヤキモチ焼いて喧嘩して、俺はバカだなぁ・・・。
俺は心を込めて食事を作った。アルバートは喜んで食べてくれたし、前回同様、洗い物もしてくれた。
「これが君と私たちの役割分担になりそうだね」なんて言いながら。
そして、洗い物が終わるとアルバートは一つの提案をしてきた。
「夜のキャンプについてだが・・・」
「よ、よよよ、夜のキャンプっ!?」
俺の狼狽えようを見たアルバートは俺が頭に思い描いた大人の男女交際を見透かしたように笑うと「警戒態勢の事だよ」と笑った。
「前回、私は君の結界を潜り抜けて君のキャンプ場に侵入した。
君はそれを感知できなかった。」
俺はハッとなって「そういえば、どうしてそんなことができたの?」と尋ねた。だって、俺の結界術はそんなに甘くないはず。いくらアルバートが手練れとはいえ、ああも易々と接近されるなんて思いもしなかったからだ。
アルバートは俺に諭すように話す。
「いいかい? 私が思うに君の結界術はパーティあってのものだと思う。
見張りがあることが前提だ。パーティなら見張りが監視していた部分がおろそかで・・・つまり結界に死角があるんだ。
私クラスの者なら見ただけで察知できるほどの手落ちだ。
一人で冒険をするのなら、そこを覚えておいた方がいい。
龍虫の出現場所までの3日間、私が手本を見せるからよく見て覚えておくと言い。」
俺は移動する間、彼から警戒態勢の敷き方をしっかりと教わるのだった。
アルバートはプンスカ怒りながら俺が馬の乗りこなす姿を見て絶賛してくれた。
「ローニャ。君は本当に不思議な女性だ。
男でもここまで馬の扱いが上手い人間はそうそういない。私が知る限り上位10名に入るかもしれない。」
「ふんっ! お世辞言っても昨夜のことは許しませんっ!!」
そうは言ってもアルバートほどの男に大絶賛されて嬉しくないわけがない。
(ローニャ。顔がニヤついてるわよ)と、チャームに注意されても俺は口元が緩んでしまうのだった。
(それにしても少年時代からもうちょっと俺の事を褒めてほしかった。)
(そうすりゃ、俺も・・・)
(・・・俺も? いや、そうだった場合、俺達はどうなってたんだろう?)
(仲の良い友達になれたのかな?
いや、きっと両家のしがらみで大人になるにつれ、疎遠になったんだろうなぁ。)
(そう思うと、今のこの関係がいいのかもしれない。
何のしがらみもなく、タダの男と女として出会って冒険をする。きっとこれが一番いいんだろうなぁ。)
俺がそんなことを考えながら馬を走らせているとアルバートが馬を休ませるために休憩にしようと言い出した。俺もそれに同意する。馬を酷使させるのはよくない。長い旅の付き合いになるのだから。
俺達は馬を木につなぎ、その下で休憩する。焚火を起こし、鍋に火をかけ食事の準備を始める。
もちろん、料理は俺の仕事だ。というか作ってあげたい。
いつか別れることになるのなら、少しでもいい思い出を残したい。
そう思っているというのにヤキモチ焼いて喧嘩して、俺はバカだなぁ・・・。
俺は心を込めて食事を作った。アルバートは喜んで食べてくれたし、前回同様、洗い物もしてくれた。
「これが君と私たちの役割分担になりそうだね」なんて言いながら。
そして、洗い物が終わるとアルバートは一つの提案をしてきた。
「夜のキャンプについてだが・・・」
「よ、よよよ、夜のキャンプっ!?」
俺の狼狽えようを見たアルバートは俺が頭に思い描いた大人の男女交際を見透かしたように笑うと「警戒態勢の事だよ」と笑った。
「前回、私は君の結界を潜り抜けて君のキャンプ場に侵入した。
君はそれを感知できなかった。」
俺はハッとなって「そういえば、どうしてそんなことができたの?」と尋ねた。だって、俺の結界術はそんなに甘くないはず。いくらアルバートが手練れとはいえ、ああも易々と接近されるなんて思いもしなかったからだ。
アルバートは俺に諭すように話す。
「いいかい? 私が思うに君の結界術はパーティあってのものだと思う。
見張りがあることが前提だ。パーティなら見張りが監視していた部分がおろそかで・・・つまり結界に死角があるんだ。
私クラスの者なら見ただけで察知できるほどの手落ちだ。
一人で冒険をするのなら、そこを覚えておいた方がいい。
龍虫の出現場所までの3日間、私が手本を見せるからよく見て覚えておくと言い。」
俺は移動する間、彼から警戒態勢の敷き方をしっかりと教わるのだった。
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