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第7話
ペドロの危機・2
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二人の関係はともかくとして、事業の方は順風満帆であった。
否。順風満帆であるかのように思われた。
しかし、人生において何か事を成そうとするときに障害が発生しないことなどありえないのだ。
古の人はそれを天の与えた試練として考えるほど、運命的に起こることなのである。
その問題は、意外なところからやってきた。
それは民間からだ。民間の水道業者がどこからともなく今回の事業を聞きつけ、それについてクレームを入れてきたのだった。
ある昼下がりの事だった。ドミニクが自宅でパトリシアと乳繰り・・・・楽しく歓談していると外回りの仕事をしている家人からある情報が届けられた。
その情報とはペドロ商会が他の水道業者に告発され、現在、ペドロ商会が大勢の民衆に取り囲まれ、打ちこわし騒動寸前の事態にまで発展しているのだという。
パトリシアとドミニクは、いてもたってもいられなくなり、セバスティアンを筆頭に騎士を数十人動員して、ペドロ商会に向かった。騒動を武力で鎮圧化させ、ペドロ商会と他の水道業者の和解を仲介しようと思ったのだ。
だが、敵もさるもの引っ搔くもの。これは大きな罠であった。
ドミニクがペドロ商会を訪れた時、場は騒然としていた。騎兵を数十騎従えたドミニクは馬の蹄音高らかに街道に現れて叫んだ。
「しずまれ~~~っ!! もの共、しずまれ~~~っ!!
これは、一体、何事だ。天下の往来でこのような事をすれば、厳しい沙汰が下るぞっ!!
罰を受けたくなければ、そうそうに退散せよっ!!
ただしっ! 首謀者は残れっ! 話があるっ!!」
多くの騎士を従え、大剣を掲げて颯爽と現れた大男に民衆は恐れおののき、一旦は逃げ出そうとした。
だが、その時、一人の身なりの良い男が声を上げてこれに反発した。
「それは、不当に御座りまするっ!!
私の名はアロンソ・ホセ。
ペドロ商会の不正を正すため、糾弾する者でありますっ!!
問題があるのは、むしろペドロの方っ!!
どうか、サルヴァドール筆頭伯爵様。ペドロをこの場に引きずり出し、民間裁判の見届け人になって下さいませっ!!」
「み・・・民間裁判・・だとっ!?」
暴徒の中から意外な言葉を聞き、意表を突かれたドミニクは思わず馬を止め、その男を見て話しを聞いてしまった。聞いてしまったという事は話し合いが始まってしまったことを意味する。ドミニクのような高貴な立場の者は不法に下々の訴えを退けるわけにもいかず、そのままアロンソの言う事に聞き耳立てなければいけなくなった。
やむを得ずドミニクは家臣に命じてペドロを店から引き出し、話し合いをさせることになってしまった。
「これは無法でございますっ!! 旦那様っ!!
あんまりではありませんかっ!! 正式な手続きを踏まずにこのような真似をなさるなんてっ!!」
暴徒たちの前に引きずり出されたペドロはドミニクの兵士に護衛されていると言え、怯えに怯え切っており、早く自分を助けてくれと訴えるのだった。
しかし、それをアロンソが遮った。
「それこそ無法な仕置きっ!! どうか私の話をお聞きくださいませ。サルヴァドール筆頭伯爵様っ!!」
ペドロはその言葉を聞きギョッとして目を見開いた。
平民がドミニクの事をサルヴァドール筆頭伯爵と言い当てるのは大変難しい。先日、パトリシアと共に大活躍したとはいえ、よほど情報を収集していないと断定できないことである。ペドロは、アロンソと名乗る男の存在を不気味に思い背筋が震える思いがした。
(い、いったい。この男は俺にどんな罪を着せようとしているのか?)
不安で仕方がなかった。
しかし、その予想は当たっていた。このアロンソは、身なりがいいのは伊達ではなく貴族の庶子の出で最近王都へ越してきて水道事業を始めた男だった。
最近事業を始めたばかりなのでペドロはノーマークだったが、貴族から高等教育を受けた上に潤沢な資金援助を受けている強敵だったのだ。
そして、最大の問題は、この男が何故ペドロを敵視して、一体、何を告発しようとしているのかという事であった。
それは、その場にいた全員の関心事であり、彼が何を言い出すのか、その場にいた全員が注目するのだった。
そして男は語りだした。
「よろしいですか? 筆頭伯爵様。
このペドロ商会のペドロという男は、大変な詐欺師であり、虚偽を用いて王都で仕事を集めているのです。」
そう言われてペドロは「そ、それは全くの言いがかり。私は詐欺など働いてはおりませぬ」と、反論した。
ドミニクはそれを聞いて「は~っ」と、深いため息をついてから「それが双方の言い分か。では、始めよ。」と裁判の開廷を宣言した。双方が意見を主張してしまった以上、宣言せざるを得なかった。
ドミニクが深いため息をついた理由はペドロがそのルールを知らなかったからだ。黙っていれば裁判は行えず、この場を解散させられたのだが・・・・。
そして反面。このアロンソがそういった知識に長けた只の平民ではないことを悟り、警戒するのだった。
(この男はペドロと違う意味で一筋縄ではいかぬ男らしい。恐らく私が出張ってくることまで計算に入れてこのような行為に出たのであろう。
ならば、全く油断できぬな。)
アロンソについて警戒したのは様子をうかがっていたパトリシアも同じことだった。
パトリシアは心配だった。このあまりの手際の良さ。なんとなくではあるがペドロが罠に嵌められようとしている予感がして気が気ではなくなっていたのだ。
「ペドロ、しっかりねっ!!」と、思わず声をかけてしまうのだった。
その様子をアロンソは鼻で笑った。そしてそれからパトリシアを指して話し出した。
「今っ!! この貴婦人がペドロを応援したのをここにいる誰もが見たでしょう。
しかし、それはどうしてでありましょうか?
それはこの貴婦人がペドロ商会に仕事を依頼し、仲が良いからです。
しかし、しかしですっ!! これが問題なのですっ!
彼女が発注した仕事は、本当にペドロに受け取る資格があるのでしょうかっ!?」
その発言を聞いた民衆は一気に活気づき、誰もがアロンソを応援した。
ドミニクは彼らの賑やかしを右手一つで制すると、「告発者は具体的な内容だけを話せ。何を言いたいのだ?」と注意し、正確な告発を求めた。
その言葉を受け、アロンソは高らかに宣言する。
「この男にその仕事を受ける資格はありませんっ!!
何故なら、この男はペドロなどではないからですっ!
この男は身分卑しき賤民の出の者っ!! この地で商売をするためにその名を買い、平民を装って紹介を開いていた経歴詐称の男なのですっ!!」
その言葉にドミニクとパトリシアは大いに驚き、また、ペドロは大汗をながして動揺した。その動揺こそが何よりの証拠であったが、ドミニクは証拠を求めた。
「それは証拠あっての事か?
なければ、そなたの告発自体が名誉棄損の罪となるぞ。大丈夫か?」
「はい。勿論でございます。
皆さまっ!! ご覧くださいませ。そこにペドロの遺族がいます。
そうっ!! 遺族です。ペドロは30年も前に亡くなっているのですっ!!」
アロンソはそういうと遺族と称する男を指差した。ドミニクが「それは真実か?」と確かめると遺族の男は住民票を提示し、自分の潔白とその系図の中にペドロという男が書かれていることを示して見せた。
「うーむ。」
ドミニクは唸った。確かに系図にはペドロの名がある。
古い住民票ではあるが、それを発行した当時の王都に住む住民の戸籍を管理する役職を任されていたと思わしき伯爵家の印も押されていることをドミニクは自分の目で見て確認した。
どうやら住民票は本物らしい。もし仮にこれが偽造であるならば、相当な手間と金をかけねばなるまい。そして、そこまでして住民票を偽装する理由をドミニクは思いつかず、少し引っかかる部分はあるものの住民票はまずもって本物であろうと考えた。
しかし、それはそれとして。目の前にいるペドロと住民票に書かれたペドロという男が同一人物かどうかなど確かめるすべがないのである。
ドミニクはしばらく考えた後、アロンソを問いただす。
「しかし、これだけでは、ペドロの戸籍が本当にその男の戸籍と一致するかどうかわかるまい。
証拠不十分なのではないのか?」
ドミニクはそう言うと、ペドロにも住民票を提示するように求めた。
ペドロは中々、住民票を提示しなかったが、最後には公衆にヤジられ出さずにはいられなくなり、渋々店の中に戻ってから提出した。
だが、ペドロが提出したボロボロの住民票からは詳細な経歴がわからなかった。
ドミニクは内心(このように経歴がわからぬ住民票の何を信じろと言うのか?)と思ったが、証拠は証拠。これを突き崩せぬ限りペドロを罰すことなど不可能であった。
(しかしなぁ・・・・。)
ドミニク自身もペドロの住民票をいささか信じられはしなかったが、反証もない。かなり悩んだが否定することはできなかった。
「双方の住民票を照らし合わせた結果。両者の言い分は一致せぬ。
よって、このペドロ商会の男をそなたの言う男と同一人物と断じることは出来ぬ。」
ドミニクの裁定により、とりあえずペドロの潔白は証明された。
だが、アロンソはなおも主張した。
「証拠は、あの男の動揺だっ!!
公衆も見たはずだっ!! あの慌てぶりをっ!! アレが証拠でなくて何とするっ!!
あの男は賤民だっ!! 経歴詐称の詐欺師だっ!! 」
アロンソがなおも無根拠に主張を続けたので、やむを得ずドミニクは裁判の終了を宣言し、アロンソを拘束。のちに名誉棄損の罪で罰金金貨5枚を命じ解放した。
しかし・・・・この後の結果を先に言えばこの金貨5枚はアロンソにとっては痛くもかゆくもない先行投資であった。
何故なら、たった金貨5枚で民衆はペドロを詐欺師と疑い、従業員は見た目の卑しいペドロを賤民と断定した。水道業者の実作業を行うのは賤民がおおい。だが、管理や営業をする者達は平民なのだ。ペドロが賤民であるかもしれないと思った彼らにはペドロの下で仕事をする気がなく、次々と従業員は外に流れていき、ペドロの店はたちまち従業員不足で営業不能に陥っていった。
そして、その隙を狙ってアロンソは仕事を得、潤沢な資金でペドロの従業員を引き抜いた。ペドロの店で躾され十分な経験とノウハウを持った従業員を。するとたちまちのうちに新興の会社であったはずのアロンソの会社は王都で一番大きな水道業者となった。
そうなってから初めてドミニクもパトリシアもアロンソの企みがわかった。
彼にとって裁判の勝敗など何の意味もなかったのだ。ただ、ペドロを告発し、民衆に彼が賤民でないか疑ってもらうだけでよかったのだ。それがアロンソの狙いだったのだ。しかし、気が付いた時には手遅れになっていた。
ペドロ商会は人手不足。パトリシアに依頼された仕事も遅延し始めた。
もう、ペドロは八方塞がりであった。
ある日、工事の事が心配になったパトリシアは単身、ペドロ商会を訪ねた。
そして、現状をその眼で見て深刻な状態であることを思い知るのだった。
商会の人手不足は行きつくところまで行きついており、ペドロが受付に立たねばならないほどの有様であった。しかし、人手不足の反面、新規の仕事がほぼすべてアロンソの会社に流れてしまったので、受付自体は暇という地獄のような状況であった。さすがにパトリシアも何とかしないと焦った。ペドロの会社が機能しないという事は、自分の事業がうまくいかないことを意味するからだ。
これに関してはパトリシアも以前からドミニクに「なんとかしてあげられないの?」と頼み込んでいたが、ドミニクもそう素早く対処できないらしく「今、色々と調べているから、待っていてくれ。」と答えるだけで、なかなか進展しないのだった。
しびれを切らせたパトリシアは、とうとう工事の遅れを指摘し、ペドロに何とかならないかと尋ねた。
「ねぇ、ペドロ。大変なのはわかるけど、もっと急げないかしら?
この商会で人手が足りないのなら、工事をある程度外注に回すなりなんなり出来ない?」
パトリシアの提案は普通であればまっとうな主張である。しかし、アロンソはペドロを潰しにかかっているのだ。外注に回そうとしてもペドロ商会以外の会社が結託してペドロの仕事を拒否している状況なことをペドロは泣く泣く説明した。
「そ、そうなのね。」
「完全に私を潰しにかかっているのです。
お嬢様。どうか、旦那様とよくよく話し合ってください。このまま私に仕事を任せて大丈夫なのか。
王都にはいろいろな業者がいますから、私が準備した図面を別の業者に渡せば、そのまま仕様通りに皆やってくれると思いますよ。なんせ金儲けでございますからね。そこに嘘偽りはないと思います。」
ペドロは商売の世界の非情さをパトリシアに話して聞かせた。その話は冒険者の仕事事情にも繋がるような内容だったのでパトリシアも納得は出来る。落ちぶれた元上位カーストのパーティが今まで通りの仕事が出来ずに泣く泣く下位クラスのパーティに仕事を譲ったり、むしろ下位のパーティに安価な仕事を回してもらわないとやっていけなくなるなどよくある話だったのだ。
それも今回のペドロのようにカースト上位のパーティメンバーが仲たがい、もしくは引き抜きにあって弱体化したことが原因であることがほとんどであった。今回の事件はそれとよく似ている。いつかペドロも路頭に迷って安価な仕事しかできなくなるのは目に見えていた。
しかし、パトリシアはそんな事情を分かりつつもどうしても納得できないことがあった。
それはペドロは商会の従業員と仲たがいしてこうなったわけでも、まっとうな方法による従業員引き抜きで弱体化したわけでもない。すべては汚い企み事によるものだ。正義感の強いパトリシアにはそれが納得できない。
「ペドロ。アロンソはどうしてアナタを攻撃するのかしら?
何か恨みを買っているの? それとも元々の知り合いなの?
今回の企み事も原因がわかれば和解できるかもしれないわ。ドミニクが仲介してくれれば・・・・」
ペドロは首を横に振って否定した。
「アロンソが私を攻撃する理由は簡単ですよ。私が儲けている上に崩しやすい弱点を持っていたから。
ただそれだけの話です。
最近、王都に越してきた貴族の庶子と私が知り合いなわけがないし、お互いに恨みを売り買いする仲でもありません。
それにそもそも私も汚い商売の世界で育ってきました。どこか知らぬところで恨みを買うのはお互い様。綺麗な体の者などこの世界には存在しません。いたら、すぐにカモにされて潰されるだけです。
いいですか? 肉食獣が肥え太った草食動物に襲われるのと同じ理由で私が弱いから狙われて負けた。これはそれだけの話です。
そして、それは商売の世界では避けては通ることができない業なのです。
お嬢様。私は既にアロンソに敗れました。それは認めます。ここであがこうと思うのは、むしろみっともない話です。それならば私は、生き意地汚くどんな小さな仕事でも受けて生き繋いでやろうと思います。
それこそが商売人が捨ててはならない最後の矜持なのですから。」(※矜持とはプライドの事。)
ペドロの返答は実に見事であった。商売の世界の法則に生きて来たペドロは、その競争に敗れた後も商売人としての生きざまを全うして見せると、こう宣言したのである。
下からたたき上げで王都一の業者にまでのし上がったペドロほどの男にそう言われてしまったら、パトリシアが口を挟んでいい事は何一つない。
パトリシアは、ペドロの意地を汲んで、これ以上は何も言わずに彼の言うとおりにしてやろうと思い、ペドロから仕事の仕様書を受け取ると応接室を出た。
ペドロは真心を込めてパトリシアを玄関外まで見送ると、丁寧に腰を90度に曲げてお別れのお辞儀をした。
そして、しばらくはそうやってパトリシアを見送るつもりでお辞儀をしていたが、いつまでたっても視界に映るパトリシアの足がその場を離れないので、不思議に思って顔を上げた。
するとパトリシアはとびきりの笑顔で「ペドロ。今までありがとうっ!!」と言って握手を求めて右手を差し出したのだ。
ペドロは驚愕した。穢れの多い下賤の者かもしれないと噂を立てられている自分と貴婦人のパトリシアが往来の前で握手しようと求めてきたのだから。
しかし、ペドロはその手を取ることはできない。
「・・・・お嬢様。お申し出はまことにありがたいのですが、このような人目につくところでお嬢様が私と握手すれば、どのような噂を立てられるかわかりません。
お気持ちだけで私は十分ありがたいですから、どうぞ、握手は御勘弁くださいませ。」
ペドロは誠実な心でこれを断った。
しかし、パトリシアは天真爛漫な性格を映したような笑顔で再び握手を求めた。
「いいえ。いいえ、ペドロ。
あなたが私たちに事業の問題点を指摘してくれなければ、この事業は始めることもできなかったでしょう。私とドミニクはあなたにその恩があります。
どうして噂を恐れてあなたとの握手をことわれるでしょう?」
「・・・・・ああっ・・・・
何ともったいない御言葉・・・・・」
ペドロはパトリシアの真心に心打たれ、感極まって大粒の涙をこぼして男泣きに泣いた。
そして、震える手でパトリシアからの握手に応えようと右手を差し出すのだった。
否。順風満帆であるかのように思われた。
しかし、人生において何か事を成そうとするときに障害が発生しないことなどありえないのだ。
古の人はそれを天の与えた試練として考えるほど、運命的に起こることなのである。
その問題は、意外なところからやってきた。
それは民間からだ。民間の水道業者がどこからともなく今回の事業を聞きつけ、それについてクレームを入れてきたのだった。
ある昼下がりの事だった。ドミニクが自宅でパトリシアと乳繰り・・・・楽しく歓談していると外回りの仕事をしている家人からある情報が届けられた。
その情報とはペドロ商会が他の水道業者に告発され、現在、ペドロ商会が大勢の民衆に取り囲まれ、打ちこわし騒動寸前の事態にまで発展しているのだという。
パトリシアとドミニクは、いてもたってもいられなくなり、セバスティアンを筆頭に騎士を数十人動員して、ペドロ商会に向かった。騒動を武力で鎮圧化させ、ペドロ商会と他の水道業者の和解を仲介しようと思ったのだ。
だが、敵もさるもの引っ搔くもの。これは大きな罠であった。
ドミニクがペドロ商会を訪れた時、場は騒然としていた。騎兵を数十騎従えたドミニクは馬の蹄音高らかに街道に現れて叫んだ。
「しずまれ~~~っ!! もの共、しずまれ~~~っ!!
これは、一体、何事だ。天下の往来でこのような事をすれば、厳しい沙汰が下るぞっ!!
罰を受けたくなければ、そうそうに退散せよっ!!
ただしっ! 首謀者は残れっ! 話があるっ!!」
多くの騎士を従え、大剣を掲げて颯爽と現れた大男に民衆は恐れおののき、一旦は逃げ出そうとした。
だが、その時、一人の身なりの良い男が声を上げてこれに反発した。
「それは、不当に御座りまするっ!!
私の名はアロンソ・ホセ。
ペドロ商会の不正を正すため、糾弾する者でありますっ!!
問題があるのは、むしろペドロの方っ!!
どうか、サルヴァドール筆頭伯爵様。ペドロをこの場に引きずり出し、民間裁判の見届け人になって下さいませっ!!」
「み・・・民間裁判・・だとっ!?」
暴徒の中から意外な言葉を聞き、意表を突かれたドミニクは思わず馬を止め、その男を見て話しを聞いてしまった。聞いてしまったという事は話し合いが始まってしまったことを意味する。ドミニクのような高貴な立場の者は不法に下々の訴えを退けるわけにもいかず、そのままアロンソの言う事に聞き耳立てなければいけなくなった。
やむを得ずドミニクは家臣に命じてペドロを店から引き出し、話し合いをさせることになってしまった。
「これは無法でございますっ!! 旦那様っ!!
あんまりではありませんかっ!! 正式な手続きを踏まずにこのような真似をなさるなんてっ!!」
暴徒たちの前に引きずり出されたペドロはドミニクの兵士に護衛されていると言え、怯えに怯え切っており、早く自分を助けてくれと訴えるのだった。
しかし、それをアロンソが遮った。
「それこそ無法な仕置きっ!! どうか私の話をお聞きくださいませ。サルヴァドール筆頭伯爵様っ!!」
ペドロはその言葉を聞きギョッとして目を見開いた。
平民がドミニクの事をサルヴァドール筆頭伯爵と言い当てるのは大変難しい。先日、パトリシアと共に大活躍したとはいえ、よほど情報を収集していないと断定できないことである。ペドロは、アロンソと名乗る男の存在を不気味に思い背筋が震える思いがした。
(い、いったい。この男は俺にどんな罪を着せようとしているのか?)
不安で仕方がなかった。
しかし、その予想は当たっていた。このアロンソは、身なりがいいのは伊達ではなく貴族の庶子の出で最近王都へ越してきて水道事業を始めた男だった。
最近事業を始めたばかりなのでペドロはノーマークだったが、貴族から高等教育を受けた上に潤沢な資金援助を受けている強敵だったのだ。
そして、最大の問題は、この男が何故ペドロを敵視して、一体、何を告発しようとしているのかという事であった。
それは、その場にいた全員の関心事であり、彼が何を言い出すのか、その場にいた全員が注目するのだった。
そして男は語りだした。
「よろしいですか? 筆頭伯爵様。
このペドロ商会のペドロという男は、大変な詐欺師であり、虚偽を用いて王都で仕事を集めているのです。」
そう言われてペドロは「そ、それは全くの言いがかり。私は詐欺など働いてはおりませぬ」と、反論した。
ドミニクはそれを聞いて「は~っ」と、深いため息をついてから「それが双方の言い分か。では、始めよ。」と裁判の開廷を宣言した。双方が意見を主張してしまった以上、宣言せざるを得なかった。
ドミニクが深いため息をついた理由はペドロがそのルールを知らなかったからだ。黙っていれば裁判は行えず、この場を解散させられたのだが・・・・。
そして反面。このアロンソがそういった知識に長けた只の平民ではないことを悟り、警戒するのだった。
(この男はペドロと違う意味で一筋縄ではいかぬ男らしい。恐らく私が出張ってくることまで計算に入れてこのような行為に出たのであろう。
ならば、全く油断できぬな。)
アロンソについて警戒したのは様子をうかがっていたパトリシアも同じことだった。
パトリシアは心配だった。このあまりの手際の良さ。なんとなくではあるがペドロが罠に嵌められようとしている予感がして気が気ではなくなっていたのだ。
「ペドロ、しっかりねっ!!」と、思わず声をかけてしまうのだった。
その様子をアロンソは鼻で笑った。そしてそれからパトリシアを指して話し出した。
「今っ!! この貴婦人がペドロを応援したのをここにいる誰もが見たでしょう。
しかし、それはどうしてでありましょうか?
それはこの貴婦人がペドロ商会に仕事を依頼し、仲が良いからです。
しかし、しかしですっ!! これが問題なのですっ!
彼女が発注した仕事は、本当にペドロに受け取る資格があるのでしょうかっ!?」
その発言を聞いた民衆は一気に活気づき、誰もがアロンソを応援した。
ドミニクは彼らの賑やかしを右手一つで制すると、「告発者は具体的な内容だけを話せ。何を言いたいのだ?」と注意し、正確な告発を求めた。
その言葉を受け、アロンソは高らかに宣言する。
「この男にその仕事を受ける資格はありませんっ!!
何故なら、この男はペドロなどではないからですっ!
この男は身分卑しき賤民の出の者っ!! この地で商売をするためにその名を買い、平民を装って紹介を開いていた経歴詐称の男なのですっ!!」
その言葉にドミニクとパトリシアは大いに驚き、また、ペドロは大汗をながして動揺した。その動揺こそが何よりの証拠であったが、ドミニクは証拠を求めた。
「それは証拠あっての事か?
なければ、そなたの告発自体が名誉棄損の罪となるぞ。大丈夫か?」
「はい。勿論でございます。
皆さまっ!! ご覧くださいませ。そこにペドロの遺族がいます。
そうっ!! 遺族です。ペドロは30年も前に亡くなっているのですっ!!」
アロンソはそういうと遺族と称する男を指差した。ドミニクが「それは真実か?」と確かめると遺族の男は住民票を提示し、自分の潔白とその系図の中にペドロという男が書かれていることを示して見せた。
「うーむ。」
ドミニクは唸った。確かに系図にはペドロの名がある。
古い住民票ではあるが、それを発行した当時の王都に住む住民の戸籍を管理する役職を任されていたと思わしき伯爵家の印も押されていることをドミニクは自分の目で見て確認した。
どうやら住民票は本物らしい。もし仮にこれが偽造であるならば、相当な手間と金をかけねばなるまい。そして、そこまでして住民票を偽装する理由をドミニクは思いつかず、少し引っかかる部分はあるものの住民票はまずもって本物であろうと考えた。
しかし、それはそれとして。目の前にいるペドロと住民票に書かれたペドロという男が同一人物かどうかなど確かめるすべがないのである。
ドミニクはしばらく考えた後、アロンソを問いただす。
「しかし、これだけでは、ペドロの戸籍が本当にその男の戸籍と一致するかどうかわかるまい。
証拠不十分なのではないのか?」
ドミニクはそう言うと、ペドロにも住民票を提示するように求めた。
ペドロは中々、住民票を提示しなかったが、最後には公衆にヤジられ出さずにはいられなくなり、渋々店の中に戻ってから提出した。
だが、ペドロが提出したボロボロの住民票からは詳細な経歴がわからなかった。
ドミニクは内心(このように経歴がわからぬ住民票の何を信じろと言うのか?)と思ったが、証拠は証拠。これを突き崩せぬ限りペドロを罰すことなど不可能であった。
(しかしなぁ・・・・。)
ドミニク自身もペドロの住民票をいささか信じられはしなかったが、反証もない。かなり悩んだが否定することはできなかった。
「双方の住民票を照らし合わせた結果。両者の言い分は一致せぬ。
よって、このペドロ商会の男をそなたの言う男と同一人物と断じることは出来ぬ。」
ドミニクの裁定により、とりあえずペドロの潔白は証明された。
だが、アロンソはなおも主張した。
「証拠は、あの男の動揺だっ!!
公衆も見たはずだっ!! あの慌てぶりをっ!! アレが証拠でなくて何とするっ!!
あの男は賤民だっ!! 経歴詐称の詐欺師だっ!! 」
アロンソがなおも無根拠に主張を続けたので、やむを得ずドミニクは裁判の終了を宣言し、アロンソを拘束。のちに名誉棄損の罪で罰金金貨5枚を命じ解放した。
しかし・・・・この後の結果を先に言えばこの金貨5枚はアロンソにとっては痛くもかゆくもない先行投資であった。
何故なら、たった金貨5枚で民衆はペドロを詐欺師と疑い、従業員は見た目の卑しいペドロを賤民と断定した。水道業者の実作業を行うのは賤民がおおい。だが、管理や営業をする者達は平民なのだ。ペドロが賤民であるかもしれないと思った彼らにはペドロの下で仕事をする気がなく、次々と従業員は外に流れていき、ペドロの店はたちまち従業員不足で営業不能に陥っていった。
そして、その隙を狙ってアロンソは仕事を得、潤沢な資金でペドロの従業員を引き抜いた。ペドロの店で躾され十分な経験とノウハウを持った従業員を。するとたちまちのうちに新興の会社であったはずのアロンソの会社は王都で一番大きな水道業者となった。
そうなってから初めてドミニクもパトリシアもアロンソの企みがわかった。
彼にとって裁判の勝敗など何の意味もなかったのだ。ただ、ペドロを告発し、民衆に彼が賤民でないか疑ってもらうだけでよかったのだ。それがアロンソの狙いだったのだ。しかし、気が付いた時には手遅れになっていた。
ペドロ商会は人手不足。パトリシアに依頼された仕事も遅延し始めた。
もう、ペドロは八方塞がりであった。
ある日、工事の事が心配になったパトリシアは単身、ペドロ商会を訪ねた。
そして、現状をその眼で見て深刻な状態であることを思い知るのだった。
商会の人手不足は行きつくところまで行きついており、ペドロが受付に立たねばならないほどの有様であった。しかし、人手不足の反面、新規の仕事がほぼすべてアロンソの会社に流れてしまったので、受付自体は暇という地獄のような状況であった。さすがにパトリシアも何とかしないと焦った。ペドロの会社が機能しないという事は、自分の事業がうまくいかないことを意味するからだ。
これに関してはパトリシアも以前からドミニクに「なんとかしてあげられないの?」と頼み込んでいたが、ドミニクもそう素早く対処できないらしく「今、色々と調べているから、待っていてくれ。」と答えるだけで、なかなか進展しないのだった。
しびれを切らせたパトリシアは、とうとう工事の遅れを指摘し、ペドロに何とかならないかと尋ねた。
「ねぇ、ペドロ。大変なのはわかるけど、もっと急げないかしら?
この商会で人手が足りないのなら、工事をある程度外注に回すなりなんなり出来ない?」
パトリシアの提案は普通であればまっとうな主張である。しかし、アロンソはペドロを潰しにかかっているのだ。外注に回そうとしてもペドロ商会以外の会社が結託してペドロの仕事を拒否している状況なことをペドロは泣く泣く説明した。
「そ、そうなのね。」
「完全に私を潰しにかかっているのです。
お嬢様。どうか、旦那様とよくよく話し合ってください。このまま私に仕事を任せて大丈夫なのか。
王都にはいろいろな業者がいますから、私が準備した図面を別の業者に渡せば、そのまま仕様通りに皆やってくれると思いますよ。なんせ金儲けでございますからね。そこに嘘偽りはないと思います。」
ペドロは商売の世界の非情さをパトリシアに話して聞かせた。その話は冒険者の仕事事情にも繋がるような内容だったのでパトリシアも納得は出来る。落ちぶれた元上位カーストのパーティが今まで通りの仕事が出来ずに泣く泣く下位クラスのパーティに仕事を譲ったり、むしろ下位のパーティに安価な仕事を回してもらわないとやっていけなくなるなどよくある話だったのだ。
それも今回のペドロのようにカースト上位のパーティメンバーが仲たがい、もしくは引き抜きにあって弱体化したことが原因であることがほとんどであった。今回の事件はそれとよく似ている。いつかペドロも路頭に迷って安価な仕事しかできなくなるのは目に見えていた。
しかし、パトリシアはそんな事情を分かりつつもどうしても納得できないことがあった。
それはペドロは商会の従業員と仲たがいしてこうなったわけでも、まっとうな方法による従業員引き抜きで弱体化したわけでもない。すべては汚い企み事によるものだ。正義感の強いパトリシアにはそれが納得できない。
「ペドロ。アロンソはどうしてアナタを攻撃するのかしら?
何か恨みを買っているの? それとも元々の知り合いなの?
今回の企み事も原因がわかれば和解できるかもしれないわ。ドミニクが仲介してくれれば・・・・」
ペドロは首を横に振って否定した。
「アロンソが私を攻撃する理由は簡単ですよ。私が儲けている上に崩しやすい弱点を持っていたから。
ただそれだけの話です。
最近、王都に越してきた貴族の庶子と私が知り合いなわけがないし、お互いに恨みを売り買いする仲でもありません。
それにそもそも私も汚い商売の世界で育ってきました。どこか知らぬところで恨みを買うのはお互い様。綺麗な体の者などこの世界には存在しません。いたら、すぐにカモにされて潰されるだけです。
いいですか? 肉食獣が肥え太った草食動物に襲われるのと同じ理由で私が弱いから狙われて負けた。これはそれだけの話です。
そして、それは商売の世界では避けては通ることができない業なのです。
お嬢様。私は既にアロンソに敗れました。それは認めます。ここであがこうと思うのは、むしろみっともない話です。それならば私は、生き意地汚くどんな小さな仕事でも受けて生き繋いでやろうと思います。
それこそが商売人が捨ててはならない最後の矜持なのですから。」(※矜持とはプライドの事。)
ペドロの返答は実に見事であった。商売の世界の法則に生きて来たペドロは、その競争に敗れた後も商売人としての生きざまを全うして見せると、こう宣言したのである。
下からたたき上げで王都一の業者にまでのし上がったペドロほどの男にそう言われてしまったら、パトリシアが口を挟んでいい事は何一つない。
パトリシアは、ペドロの意地を汲んで、これ以上は何も言わずに彼の言うとおりにしてやろうと思い、ペドロから仕事の仕様書を受け取ると応接室を出た。
ペドロは真心を込めてパトリシアを玄関外まで見送ると、丁寧に腰を90度に曲げてお別れのお辞儀をした。
そして、しばらくはそうやってパトリシアを見送るつもりでお辞儀をしていたが、いつまでたっても視界に映るパトリシアの足がその場を離れないので、不思議に思って顔を上げた。
するとパトリシアはとびきりの笑顔で「ペドロ。今までありがとうっ!!」と言って握手を求めて右手を差し出したのだ。
ペドロは驚愕した。穢れの多い下賤の者かもしれないと噂を立てられている自分と貴婦人のパトリシアが往来の前で握手しようと求めてきたのだから。
しかし、ペドロはその手を取ることはできない。
「・・・・お嬢様。お申し出はまことにありがたいのですが、このような人目につくところでお嬢様が私と握手すれば、どのような噂を立てられるかわかりません。
お気持ちだけで私は十分ありがたいですから、どうぞ、握手は御勘弁くださいませ。」
ペドロは誠実な心でこれを断った。
しかし、パトリシアは天真爛漫な性格を映したような笑顔で再び握手を求めた。
「いいえ。いいえ、ペドロ。
あなたが私たちに事業の問題点を指摘してくれなければ、この事業は始めることもできなかったでしょう。私とドミニクはあなたにその恩があります。
どうして噂を恐れてあなたとの握手をことわれるでしょう?」
「・・・・・ああっ・・・・
何ともったいない御言葉・・・・・」
ペドロはパトリシアの真心に心打たれ、感極まって大粒の涙をこぼして男泣きに泣いた。
そして、震える手でパトリシアからの握手に応えようと右手を差し出すのだった。
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