「七人の落ちこぼれ」

真田直樹

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警察庁の影

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早朝。

東京・霞が関。

重く静かな建物の中で、日本の警察を動かす組織がある。

警察庁。

警察制度の頂点に立つ組織。

全国の警察は、この組織の指示で動く。

その最上階の会議室。

窓からは霞が関の街が見える。

長いテーブル。

そこに数人の幹部が座っていた。

警察庁幹部会議。

その議題は一つ。

「歌舞伎町銃撃事件」

警察庁刑事局長が言った。

「昨夜」

「新宿で銃撃戦が発生した」

資料が配られる。

写真。

弾痕。

目撃証言。

そして。

一枚の名前。

黒田龍司

一人の幹部が言う。

「歌舞伎町の裏社会の人物です」

別の幹部が続ける。

「警視庁が長年追っている男」

しかし。

刑事局長は首を振った。

「問題はそこではない」

机を叩く。

「公安の案件が動いている」

部屋が静まる。

公安。

それは通常の刑事事件とは違う。

国家安全に関わる事件。

そのため。

警察庁が直接関わる。

刑事局長が言う。

「十年前の事件を覚えているか」

一人の幹部が顔を上げる。

「東京湾武器密輸事件」

刑事局長はうなずいた。

「その事件で」

「一人の公安刑事が消えた」

名前は

高城修一。

公安部のエース。

しかし。

十年間。

完全に行方不明。

死亡扱いになっていた。

刑事局長が資料をめくる。

そこには

監視カメラの写真。

歌舞伎町。

黒田龍司の隣。

写っている男。

会議室がざわつく。

一人の幹部が言った。

「……生きている」

刑事局長が静かに言う。

「間違いない」

「高城修一だ」

そのとき。

会議室のドアが開いた。

秘書官が入る。

小さく言う。

「警視庁から報告です」

資料が机に置かれる。

そこには七人の名前が書かれていた。

藤川優斗
新田里奈
尾上紀子
内田佳祐
小林勝巳
富田さゆり
丹羽雅人

そして。

指揮官。

神崎隼人

幹部の一人が言う。

「神崎……」

別の幹部が小さく笑った。

「まだ生きていたのか」

刑事局長が言う。

「神崎は十年前の事件の担当者だ」

つまり。

今回の事件は

十年前の続き。

幹部の一人が低い声で言った。

「神崎に任せていいのか」

別の幹部が答える。

「危険だ」

そして。

もう一人が言った。

「もし真実を掴めば」

少し間。

「警察内部の問題が出る」

会議室の空気が変わる。

刑事局長は静かに言った。

「つまり」

「神崎は知らない方がいい」

沈黙。

そして。

一人の幹部が言った。

「では」

「監視を付けますか」

刑事局長はうなずいた。

「そうだ」

低い声。

「神崎と」

「七人の刑事を監視する」

つまり。

彼らは知らないうちに

警察庁に監視されることになった。

その頃。

警視庁。

人材特別調整係の部屋。

神崎が窓の外を見ていた。

東京の朝。

優斗が聞く。

「何かあったんですか」

神崎は答えない。

ただ言った。

「時間がない」

里奈が聞く。

「どういう意味です」

神崎は振り向く。

そして。

静かに言った。

「この事件」

「警察の中枢に繋がっている」

七人が息を呑む。

神崎は続けた。

「つまり」

低い声。

「敵は犯罪組織だけじゃない」

そして。

一言。

「警察の中にもいる」

七人の刑事はまだ知らない。

この事件の黒幕が

警察庁の中にいる可能性を。
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