「七人の落ちこぼれ」

真田直樹

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七人の覚悟

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夜。

警視庁本部の古い会議室。

時計は午後十一時を過ぎていた。

部屋には七人の刑事と、神崎隼人がいる。

誰も座っていない。

机の上には資料が広がっていた。

・黒田龍司
・オルフェウス
・高城修一

そして。

警察庁幹部の名前。

沈黙を破ったのは
藤川優斗だった。

「つまり」

腕を組む。

「この事件は」

「警察の中枢が関わってる可能性がある」

神崎は静かにうなずいた。

新田里奈が言う。

「警察庁が動けば」

「私たちは止められる」

その通りだった。

日本の警察は階級社会。

警察庁の命令は絶対。

つまり。

この事件を追えば、

彼ら自身が処分される可能性がある。

尾上紀子が小さく言った。

「最悪の場合」

「警察を辞めることになる」

佳祐が笑った。

「今さらだろ」

腕を組む。

「俺たち最初から落ちこぼれだ」

勝巳も笑う。

「むしろ面白い」

さゆりが静かに言う。

「でも」

少し間。

「命の危険があります」

歌舞伎町の銃撃戦。

あれは警告だった。

相手は本気だ。

そのとき。

神崎が言った。

「ここから先は」

低い声。

「警察の仕事じゃない」

七人が顔を上げる。

神崎は続けた。

「組織が止めるなら」

「俺たちは捜査できない」

沈黙。

そして。

神崎が言った。

「だから」

「ここで決めろ」

七人を見る。

「やめるなら今だ」

最初に前へ出たのは

藤川優斗。

「俺はやります」

真っ直ぐ神崎を見る。

「警察官になった理由」

「まだ終わってません」

次に

新田里奈。

「真実を見つけるのが仕事です」

冷静な声。

「組織が止めても関係ありません」

尾上紀子が言う。

「私はずっと証明したかった」

「警察官として役に立てることを」

内田佳祐が笑う。

「犯罪者を止める」

拳を握る。

「それが俺の仕事だ」

小林勝巳が言う。

「この事件」

「絶対裏がある」

ニヤリと笑う。

「面白いじゃないですか」

富田さゆりが静かに言う。

「歌舞伎町で見ました」

「犯罪に巻き込まれる人たちを」

「放っておけません」

最後に

丹羽雅人。

パソコンを閉じる。

「この組織」

「サイバー資金洗浄してます」

目を細める。

「潰します」

七人。

全員が前に立った。

神崎は少し驚いた顔をした。

そして。

小さく笑った。

「馬鹿な連中だ」

しかし。

その目は誇らしそうだった。

神崎が言う。

「分かった」

ゆっくり言う。

「ここから先は」

「非公式捜査だ」

つまり。

警察の許可なし。

七人だけの捜査。

神崎は最後に言った。

「覚悟しろ」

低い声。

「相手は国家レベルの犯罪組織だ」

そして。

窓の外を見る。

東京の夜。

「次の作戦は」

神崎が言う。

「黒田龍司のアジトだ」

優斗が聞く。

「場所は」

神崎は答えた。

「港区」

そして。

一言。

「オルフェウスの日本拠点だ」

七人の刑事は知らなかった。

そこに。

十年前に消えた公安刑事・高城修一が待っていることを。
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