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写真を見返しながら距離がさらに縮まる夜
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――同じ画面、同じ思い――
それは、「好きだよ」を言い合った日の夜だった。
里奈は自分の部屋で、ベッドに腰掛けながらスマホを開いていた。
画面いっぱいに広がるのは、江の島で撮った写真たち。
海。
ソフトクリーム。
夕焼け。
そして、少し遠慮がちに写り込んだ優斗の横顔。
(楽しかったな……)
そのとき、通知が鳴る。
優斗からだった。
今日の写真、見てた
思わず笑ってしまう。
里奈はすぐに返信した。
私も。夕焼けのやつ好き
数秒後。
あれ、里奈の髪、風でぐちゃぐちゃだぞ
ひどい(笑)
そんなやり取りをしているうちに、優斗から電話がかかってきた。
「もしもし」
『起きてた?』
「うん。写真見てた」
『俺も』
沈黙が少し流れる。
でも、嫌じゃない沈黙。
「ねえ」
里奈が言う。
「通話しながら一緒に見ない?」
『……いいよ』
少し照れた声。
二人は同じ写真を開いて、同時にスワイプする。
「これ、展望台の」
『あー、里奈めっちゃ真剣な顔』
「だって景色すごかったんだもん」
『俺は隣で緊張してた』
「なにそれ」
里奈はくすっと笑う。
次の写真。
ソフトクリームを半分こしている手元。
『これさ』
優斗が言う。
『なんか……恋人っぽい』
里奈の胸が小さく跳ねる。
「今さら?」
『いや、改めて』
少し間があって、優斗が続けた。
『里奈が眠ってた電車の写真、撮っとけばよかった』
「絶対やだ」
そう言いながら、里奈は頬が熱くなる。
「でも……あの時、安心した」
『俺も』
優斗の声が、いつもより低くて静かだった。
『里奈、すげー無防備だった』
「言わなくていい」
『かわいかった』
里奈はスマホを握りしめる。
「……優斗さ」
『ん?』
「最近、距離近くない?」
自分で言って、少し恥ずかしくなる。
電話の向こうで、優斗が小さく息を吐いた。
『だって』
一拍置いて。
『ちゃんと“好き”って言えたから』
胸がじん、と温かくなる。
「……そっか」
画面には、夕焼けの中で並んで立つ二人の後ろ姿。
その写真を見ながら、里奈は言った。
「次はさ、もっと一緒に写ろうよ」
『うん』
「顔もちゃんと」
『それ、緊張する』
「彼氏でしょ」
『……努力します』
里奈は笑った。
電話を切ったあとも、しばらく写真を眺めていた。
同じ景色を見て、
同じ思い出を共有して、
同じタイミングで「好き」を感じている。
それだけで、心の距離がぐっと縮まった気がした。
スマホを置いて、里奈は天井を見上げる。
(優斗……)
まだ抱きしめたこともないし、キスもしていない。
でも。
こうして同じ写真を見て、同じ時間を思い出している。
それだけで、十分“恋人”だった。
それは、「好きだよ」を言い合った日の夜だった。
里奈は自分の部屋で、ベッドに腰掛けながらスマホを開いていた。
画面いっぱいに広がるのは、江の島で撮った写真たち。
海。
ソフトクリーム。
夕焼け。
そして、少し遠慮がちに写り込んだ優斗の横顔。
(楽しかったな……)
そのとき、通知が鳴る。
優斗からだった。
今日の写真、見てた
思わず笑ってしまう。
里奈はすぐに返信した。
私も。夕焼けのやつ好き
数秒後。
あれ、里奈の髪、風でぐちゃぐちゃだぞ
ひどい(笑)
そんなやり取りをしているうちに、優斗から電話がかかってきた。
「もしもし」
『起きてた?』
「うん。写真見てた」
『俺も』
沈黙が少し流れる。
でも、嫌じゃない沈黙。
「ねえ」
里奈が言う。
「通話しながら一緒に見ない?」
『……いいよ』
少し照れた声。
二人は同じ写真を開いて、同時にスワイプする。
「これ、展望台の」
『あー、里奈めっちゃ真剣な顔』
「だって景色すごかったんだもん」
『俺は隣で緊張してた』
「なにそれ」
里奈はくすっと笑う。
次の写真。
ソフトクリームを半分こしている手元。
『これさ』
優斗が言う。
『なんか……恋人っぽい』
里奈の胸が小さく跳ねる。
「今さら?」
『いや、改めて』
少し間があって、優斗が続けた。
『里奈が眠ってた電車の写真、撮っとけばよかった』
「絶対やだ」
そう言いながら、里奈は頬が熱くなる。
「でも……あの時、安心した」
『俺も』
優斗の声が、いつもより低くて静かだった。
『里奈、すげー無防備だった』
「言わなくていい」
『かわいかった』
里奈はスマホを握りしめる。
「……優斗さ」
『ん?』
「最近、距離近くない?」
自分で言って、少し恥ずかしくなる。
電話の向こうで、優斗が小さく息を吐いた。
『だって』
一拍置いて。
『ちゃんと“好き”って言えたから』
胸がじん、と温かくなる。
「……そっか」
画面には、夕焼けの中で並んで立つ二人の後ろ姿。
その写真を見ながら、里奈は言った。
「次はさ、もっと一緒に写ろうよ」
『うん』
「顔もちゃんと」
『それ、緊張する』
「彼氏でしょ」
『……努力します』
里奈は笑った。
電話を切ったあとも、しばらく写真を眺めていた。
同じ景色を見て、
同じ思い出を共有して、
同じタイミングで「好き」を感じている。
それだけで、心の距離がぐっと縮まった気がした。
スマホを置いて、里奈は天井を見上げる。
(優斗……)
まだ抱きしめたこともないし、キスもしていない。
でも。
こうして同じ写真を見て、同じ時間を思い出している。
それだけで、十分“恋人”だった。
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