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婚約
案内
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ところ代わり、ベルフェナールの公爵家にて婚約が無事(?)成立した姉妹達は、公爵の敷地である城内を婚約者達に案内してもらっていた。
「この中庭は季節ごとに違う花が咲くから君達もきっと飽きないはずだ。それで彼方には池があってね……」
親切に説明も含めて案内してくれているのはオリビアの婚約者となったラゼイヤである。
婚約が成立してからというもの、ラゼイヤはオリビアの手を離さずしっかりと付き添ってくれている。エスコートは申し分無く、距離感も丁度良い。しかし、今までロズワートにしてもらえなかったことをされていたオリビアは、顔には出さないものの困惑していた。
それは、他の姉妹も同じだった。
ルーナも、ラトーニァがおずおずと差し出してきた手を遠慮するわけにはいかず、触れ合う程度の繋ぎ方でエスコートされている。
エレノアもバルフレと手を繋いでいるが、それよりも周りの景色に夢中なようでバルフレに意識が向いておらず、バルフレも真顔のまま何処も見ていないようだった。
そしてクロエは、婚約者であるゴトリルにエスコートされていた。
……お姫様抱っこで。
「……ゴトリル様、どうか降ろしてください」
「え?なんで?」
「恥ずかしいですわ……」
顔を真っ赤にして、消えかけた声で懇願するクロエであったが、上機嫌なゴトリルは降ろしてくれそうになかった。
ある程度歩いたところで、城外を見渡せるテラスのような場所に着いた。
石畳が敷かれたその場所からは、自分達が先ほど通ったであろう街道とその全体が見渡せる。
活気に溢れていた街は、遠くから見ても美しく感じた。
「此処は私達のお気に入りでね。良かったら此処で休憩でもしないかい?城内は広いからね。歩き疲れただろう……ギルバート」
「はい。主人様」
「この前手に入れた茶菓子があっただろう?お茶と一緒に持ってきておくれ」
「畏まりました」
ラゼイヤに名を呼ばれたギルバートは、まるで元々そこにいたかのように、ラゼイヤの隣から現れた後、再び姿を消した。
「えっ、ぎ、ギルバート様!?いつからそこにいらしたの?って、もういませんし!!」
顔を赤くしたままだったクロエもギルバートの存在には驚き、他の姉妹達も困惑していた。しかし、公爵達は慣れた様子でやり取りしていたところ、今回だけではないのだろう。
動揺しているクロエを、ゴトリルは安心させるように抱え直し、こう言った。
「ありゃギルバートの魔法だ。彼奴は何処にでも一瞬で行けるんだぜ?今みたいによ」
「ま、魔法……?」
「魔法」……聞き慣れない言葉に、姉妹達は疑問しか抱かなかった。ただ、王妃教育の際に他国に関する授業で聞いたことはあった。
「魔法は、君達の国には無かったはずだね。私達の国では日常的なものなのだよ」
困惑している姉妹に、ラゼイヤは手をかざす。
すると、掌からたくさんの花弁が生まれ、突如巻き起こった風に攫われた。
その光景が美しく、隣で見ていたオリビアは目を奪われていた。
「こんな感じで、私達は皆魔法を身に付けている。今のは一般的なもので、中には自分自身が最も得意とする魔法もあってね、それは生まれつき身に付けているものだから得意というのもあるけど」
「……あの、何故この国の方々は魔法を?」
「まぁ、種族が皆人間ではないからね。たまに遺伝の関係で魔法を使えない者もいるが、大抵は皆使えるよ。私達も使える種族らしいが、長い間公爵家は続いていたから今更何の種族かなんて覚えてはいないよ」
そう言うと今度は手の中で光を操ってみせた。
魔法とは多種多様なものらしい。しかし、ラゼイヤは一つ気になることを言っていた。
「質問をよろしいでしょうか?」
「何かな?オリビア」
「先ほど、皆様が生まれつき持っている魔法があると仰ってましたが、公爵様方は如何様な魔法を?」
「それかい?そうだね……」
オリビアの質問に、ラゼイヤは少し悩んだ後……
「今は秘密にしておくよ。私達のはそう易々と出して良い魔法ではないからね」
笑って誤魔化した。
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