構ってもらいたがる友人と私

月(ユエ)/久瀬まりか

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これは、私の若い頃の話。皆さま、聞いていただけますか?

貴族の子女が通う王立学園。私、セシリアは席の近かった三人と仲良くなりました。

明るいジョイス、お調子者のケリー、大人しいマデリン。私達はいつも一緒にお昼を食べたり、帰りにカフェに寄ったりして楽しく過ごしていました。

四人でいる時はジョイスとケリーが盛り上げ役。私はいつも笑わされてばかりでした。

私は、お勉強がちょっと出来たので、宿題を見せたり試験前にみんなに勉強を教えたりしていました。

マデリンは一番のお金持ちでした。私達は全員伯爵家の生まれですが、マデリンは母が侯爵家の出なので同じ伯爵位でも私達より裕福で、躾も厳しかったようです。

そうして仲良く過ごしてきた私達ですが、卒業まで半年を切り少しずつ変化が訪れました。

まず、ジョイスに彼氏が出来ました。明るいジョイスは以前から仲良くしていた同級生がおり、その人に告白されたのです。

「友達だと思っていたのにどうしよう」

と相談を受けた私達は、彼は誠実な人柄だとこれまでの学園生活でわかっていましたので、ジョイスを後押ししました。

「まずは付き合ってみたらどうかしら?」

と。そうして交際を始めた二人はやはり相性が良かったのでしょう、すぐにラブラブなカップルになりました。

続いてケリーにも彼氏が出来ました。ジョイスに刺激を受け、ケリーは大胆にも自分から告白してOKをもらったのです。いつも人を笑わせてくれるケリーですが、急に女の子らしく、可愛らしい表情をするようになりました。

私とマデリンはジョイスとケリーに幸せが訪れたことを喜び、昼休みや帰りの時間を彼氏と過ごしたいという申し出をもちろん快諾しました。

卒業パーティーのことを考えてか、パートナーがまだいない人達は急に交際を始めました。昼休みのカフェはあっちもこっちもカップルだらけです。

「みんな幸せそうね。良かったわ」

私が言うと、マデリンは

「そうね。私は地味だから誰にも望んでもらえないと思うけど。セシリアは頭も良いし可愛いからすぐに彼氏が出来るわよ」

「何言ってるの、マデリンだって可愛いわよ。それにお嬢様だし品があって女の子らしいわ」

「無理に誉めてくれなくていいのよ。自分のことは自分が一番わかってるわ。お母様にも、姉と比べられていつも貶されているんですもの」

「まあ……。お母様が?」

私は驚いてしまった。私にも兄と姉がいるが、母は兄妹を比べてどうこうなんて、言ったことはない。

「ええ。優秀で美しい姉はいい人に見初められるだろうけれど、お前は不美人で頭も良くないからって。だから彼氏なんて作らず、品行方正にしていなさいと言われているの。卒業したらすぐお見合いして結婚させるから、相手に調べられてもいいように、悪い噂がたたないようちゃんとしていなさいって」

「お母様、ひどいわ。マデリンは可愛いしいい子じゃない。せっかくの学園生活なのだから、彼氏作ってエンジョイしてやりましょうよ」

貴族とは言え、今の時代はだいぶ階級や格式なども問われなくなっていて、上位貴族と下位貴族の結婚も普通に行われるし平民と結婚することもあります。王太子殿下ですら下位貴族と結婚したりと、玉の輿婚がある時代なのです。王室と政治が切り離されたからかもしれません。

「お母様に逆らうのは怖いわ。侯爵家の出身だけあって、身分制にこだわりを持っているから。私は自由恋愛はとうに諦めているの」

「マデリン……」
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