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入学してそろそろ一カ月経とうという頃、アビーはトリシャの家に招かれ、二人でお喋りをしていた。
一瞬、沈黙が訪れた時、トリシャが意を決した様子でこう打ち明けた。
「あのね、アビー……私、王子様のことが好きなのよ」
驚いたアビーは思わず口から紅茶を吹き出すところだった。
「王子様って、上の学年に在籍しているローレンス殿下のこと?」
コクコクと頷くトリシャ。しかもポッと顔を赤らめて。
……可愛い。
「それはまた、すごい方を好きになったわねえ。でも、入学してひと月経つけど、接点はちっともなかったわよ?いつの間に好きになったの」
「あのね、実は入学前に王宮で一度お会いしているの。私、殿下の婚約者候補に選ばれているのよ」
「ああ……なるほどね。そっか、王子様のお相手は公爵家から選ばれるんだったわね。雲の上の話過ぎて、今まで考えたこともなかったわ」
「その時にね……、とてもお話が弾んだのよ。ほら、私って星を見るのが好きでしょう?殿下もそうだったの。いろんな星座のお話して、私が凝っている星座占いにも興味を持ってくださって」
「うん、それでそれで?」
「殿下がお持ちになっている望遠鏡をいつか見せたいなって言って下さったの。学園に入学したら会えるのを楽しみにしているって」
「すごいじゃないの、脈ありじゃない!」
「でも、まだ一度も学園ではお話できてないのよ。殿下のクラスに押し掛けて行くわけにもいかないし」
「まあそうよね。上の学年とは校舎も違うんだし。あ、でも昼休みのカフェテリアなら会えるんじゃない?」
学園ではお昼の休憩時間はたっぷり一時間取られていて、広いカフェテリアで好きなものを注文して自由に食べることが出来るのだ。ちなみにこれは学費の中に入っているので無料だ。高い学費を払ってるんだからと、アビーは毎日ガッツリとデザートまで食べている。
「それがね……」
トリシャによると、婚約者候補は他にも二人いるらしい。殿下と同じ二年生に一人、そしてもう一人はあのレベッカだ。
アビーは興味がなかったので気が付いていなかったが、レベッカは殿下の話を取り巻き達と大きな声でよく話しているらしい。
「王宮でお会いした時一緒に庭を散策したのだけど、殿下は、私を慈しむような視線で見て下さっていたわ」
「背が高い殿下を見上げると、ちょうど目線が合うの。私達、並ぶとバランスがちょうどいいのよ」
「昨日は殿下の教室まで入学のご挨拶をしに行ったの。殿下は優しく笑って迎えて下さったわ」
「ついでに、二年生の婚約者候補を見てきたんだけど、全然たいしたことなかったわ。ねえ?」
「ええ、レベッカ様。身長はレベッカ様と同じくらいだけど、顔は丸いし身体は……まあこう言ってはなんですけど太ってらっしゃって」
「あら、あなた雪ダルマみたいだって言ってたわよね」
取り巻き達が一斉に笑った。
「雪ダルマと大女ではまったくレベッカ様の相手にはなりませんわね。」
「殿下の婚約者はレベッカ様に決まりですわ」
と、そんな話を教室でしていたというのだ。
「まったく、ムカつくわね! 何様のつもりよ」
アビーはプンプンしながらお茶菓子に手を伸ばした。トリシャは悲し気な顔でこう言った。
「そういえば私が王宮で殿下とお散歩をした時は、レベッカと違って一度も目が合うことはなかったのよ。私は、時々殿下のお顔を見ていたんだけど」
「でもトリシャ、話は弾んだんでしょう?」
「うん……でも殿下はお優しいから、あの時は私に話を合わせてくれただけなのかも。そう思うとレベッカみたいに殿下のところへ会いに行くのが怖くなってしまって。私より、他の候補者の方がふさわしいと思うし……」
「ええっ、なんでよ? レベッカなんかより、トリシャの方が品があるし綺麗だし賢いし、お妃にふさわしいと思うわよ」
トリシャはありがとう、と微笑んでからこう言った。
「あのね、殿下は私と身長が同じなのよ……。一番低いヒールでお会いしたんだけど、目線がほぼ一緒だったの」
「なるほど」
つい、納得してしまってから慌ててアビーは手を振った。
「違う違う。つい頷いちゃったじゃないの。だめよトリシャ。身長なんか気にしてたら」
「でも……」
「でも、じゃないの。人は見かけだけで結婚するんじゃないんだから。頑張るのよ」
自分が母に言われたのと同じことをトリシャに言いながら、アビーはトリシャの気持ちはわかるわ、と考えていた。
誰よりもまず自分自身が、背の高い自分を好きになってくれる人なんていないと思い込んでいるのだ。
(私は身分も低いんだし結婚は難しいわ。でもトリシャは公爵家のご令嬢よ。身分も高い、容姿も美しい、性格も良いんだから恋をためらっているのはもったいないわ)
「トリシャ、任せて。私、全力で応援するわよ」
アビーはトリシャの手を取って約束した。トリシャもやる気を出したのか、神妙な顔で頷いていた。
翌日の昼休み、二人はカフェテリアに来ていた。今日のオススメランチをトレイに乗せてから全体が見渡せる席に座った。
「正直、今まで殿下のことなんてまったく興味がなかったので、どんなお顔なのかも知らないわ」
トリシャはクスクスと笑って
「アビーは、食べ物しか目に入ってなかったものねえ」
「え、ひどーい。私だってたまには素敵な男子くらい……見てません、ごめんなさい」
そう、いつも目の前のランチと、後で食べるデザートのことしか考えていなかった気がする。もう少し周りに目を配らないとな、と考えていたら。
「あっ、いらしたわ、殿下よ」
トリシャが目で合図した方向から、なんだかキラキラしたオーラの塊が歩いて来た。
王族を表す紫色のラインが施された制服を着こなし、美しい姿勢で歩いているその人がローレンス殿下だった。
金の絹糸のような髪は後ろは短く、前は長めに整えられ、深い蒼の瞳が見え隠れしていた。彫りは深いけれどもどちらかというと中性的な美しさを感じさせた。若さゆえの儚い美しさと言おうか。
「ほおお。綺麗な方ねえ」
「でしょう。女子学生は皆夢中になっているらしいわ。むしろ、今までまったく関心がなかったアビーにびっくりしちゃうわよ」
「いやほんとに、興味なかったの、ごめん」
頭を掻きながら殿下を見つめていると、後ろからタタタッと小動物のようなものが寄ってきて殿下に挨拶をした。
「ローレンス様、今からお食事ですか? 私もご一緒してよろしいですか?」
レベッカだ。背が小さいレベッカは殿下の肩くらいまでしかない。だから話す時に自然と上目遣いになる。
「やっぱり、バランスがちょうどいいわよね」
ポツリとトリシャが呟いた。
「こーら、またネガティブ。駄目よ、それ禁止」
アビーはトリシャの頬を人差し指で軽くつついた。
「う、ごめんなさい」
すぐ謝るところがまた可愛い。
「あ、ほら見て、トリシャ。レベッカったら殿下に断られてるわよ」
殿下の後ろから背の高い男子学生が来た。彼の制服のラインは、侯爵家を表す水色だ。
殿下とその男子はトレイにランチを取ると、そのままカフェテリアを出て何処かへ行ってしまった。
レベッカは険しい顔をして取り巻きと共に歩いて来た。大きなテーブルの一角に座ると、取り巻きに命じてランチを持って来させていた。
「殿下は、照れ屋だから困るわ。こんな人の多いところでは話せないんですって」
殿下に断られたのを誤魔化すためか、いつもより大きめの甲高い声でレベッカが喋り始めた。
「そうですわ、レベッカ様。誰が聞いているかわからない所ではお話出来ませんものね」
「殿下にふさわしいのはレベッカ様だけなのですから、他人なんか気にすることないと思うんですけどね。照れてしまうのでは仕方ないですわね」
「他の婚約者候補は雪ダルマと大女ですから、選ばれないに決まってます。レベッカ様は堂々と殿下と一緒にいてもおかしくないですわ」
アビーは立ち上がって文句を言ってやろうとしたが、トリシャに止められた。
「駄目よ、アビー。相手にしちゃいけないわ」
「でも。あんな事言われて悔しくない?」
「私なら大丈夫。喧嘩なんかしたら、あなたの夢である家庭教師が遠のいてしまうわよ」
確かに、学園で問題行動を取った者を教師として雇ってくれる家はないだろう。こんな時まで他人のことを考えてくれるなんてトリシャは本当に性格がいい子だ。アビーは文句を言うのをやめ、気分を変えようとデザートを取りに行くことにした。
「トリシャはどうする?」
「私も今日は食べようかな」
二人で立ち上がり、歩いているとまた甲高い声が聞こえてきた。
「やだ、あれ見てご覧なさい。ツインタワーだわ」
「本当ですわ。遠くから良い目印になりますわね」
「たまには役に立つこともあるのねえ」
取り巻き達が声を上げて笑った。
ああ、ムカつく。アビーはその日デザートを三種類も食べてしまった。
一瞬、沈黙が訪れた時、トリシャが意を決した様子でこう打ち明けた。
「あのね、アビー……私、王子様のことが好きなのよ」
驚いたアビーは思わず口から紅茶を吹き出すところだった。
「王子様って、上の学年に在籍しているローレンス殿下のこと?」
コクコクと頷くトリシャ。しかもポッと顔を赤らめて。
……可愛い。
「それはまた、すごい方を好きになったわねえ。でも、入学してひと月経つけど、接点はちっともなかったわよ?いつの間に好きになったの」
「あのね、実は入学前に王宮で一度お会いしているの。私、殿下の婚約者候補に選ばれているのよ」
「ああ……なるほどね。そっか、王子様のお相手は公爵家から選ばれるんだったわね。雲の上の話過ぎて、今まで考えたこともなかったわ」
「その時にね……、とてもお話が弾んだのよ。ほら、私って星を見るのが好きでしょう?殿下もそうだったの。いろんな星座のお話して、私が凝っている星座占いにも興味を持ってくださって」
「うん、それでそれで?」
「殿下がお持ちになっている望遠鏡をいつか見せたいなって言って下さったの。学園に入学したら会えるのを楽しみにしているって」
「すごいじゃないの、脈ありじゃない!」
「でも、まだ一度も学園ではお話できてないのよ。殿下のクラスに押し掛けて行くわけにもいかないし」
「まあそうよね。上の学年とは校舎も違うんだし。あ、でも昼休みのカフェテリアなら会えるんじゃない?」
学園ではお昼の休憩時間はたっぷり一時間取られていて、広いカフェテリアで好きなものを注文して自由に食べることが出来るのだ。ちなみにこれは学費の中に入っているので無料だ。高い学費を払ってるんだからと、アビーは毎日ガッツリとデザートまで食べている。
「それがね……」
トリシャによると、婚約者候補は他にも二人いるらしい。殿下と同じ二年生に一人、そしてもう一人はあのレベッカだ。
アビーは興味がなかったので気が付いていなかったが、レベッカは殿下の話を取り巻き達と大きな声でよく話しているらしい。
「王宮でお会いした時一緒に庭を散策したのだけど、殿下は、私を慈しむような視線で見て下さっていたわ」
「背が高い殿下を見上げると、ちょうど目線が合うの。私達、並ぶとバランスがちょうどいいのよ」
「昨日は殿下の教室まで入学のご挨拶をしに行ったの。殿下は優しく笑って迎えて下さったわ」
「ついでに、二年生の婚約者候補を見てきたんだけど、全然たいしたことなかったわ。ねえ?」
「ええ、レベッカ様。身長はレベッカ様と同じくらいだけど、顔は丸いし身体は……まあこう言ってはなんですけど太ってらっしゃって」
「あら、あなた雪ダルマみたいだって言ってたわよね」
取り巻き達が一斉に笑った。
「雪ダルマと大女ではまったくレベッカ様の相手にはなりませんわね。」
「殿下の婚約者はレベッカ様に決まりですわ」
と、そんな話を教室でしていたというのだ。
「まったく、ムカつくわね! 何様のつもりよ」
アビーはプンプンしながらお茶菓子に手を伸ばした。トリシャは悲し気な顔でこう言った。
「そういえば私が王宮で殿下とお散歩をした時は、レベッカと違って一度も目が合うことはなかったのよ。私は、時々殿下のお顔を見ていたんだけど」
「でもトリシャ、話は弾んだんでしょう?」
「うん……でも殿下はお優しいから、あの時は私に話を合わせてくれただけなのかも。そう思うとレベッカみたいに殿下のところへ会いに行くのが怖くなってしまって。私より、他の候補者の方がふさわしいと思うし……」
「ええっ、なんでよ? レベッカなんかより、トリシャの方が品があるし綺麗だし賢いし、お妃にふさわしいと思うわよ」
トリシャはありがとう、と微笑んでからこう言った。
「あのね、殿下は私と身長が同じなのよ……。一番低いヒールでお会いしたんだけど、目線がほぼ一緒だったの」
「なるほど」
つい、納得してしまってから慌ててアビーは手を振った。
「違う違う。つい頷いちゃったじゃないの。だめよトリシャ。身長なんか気にしてたら」
「でも……」
「でも、じゃないの。人は見かけだけで結婚するんじゃないんだから。頑張るのよ」
自分が母に言われたのと同じことをトリシャに言いながら、アビーはトリシャの気持ちはわかるわ、と考えていた。
誰よりもまず自分自身が、背の高い自分を好きになってくれる人なんていないと思い込んでいるのだ。
(私は身分も低いんだし結婚は難しいわ。でもトリシャは公爵家のご令嬢よ。身分も高い、容姿も美しい、性格も良いんだから恋をためらっているのはもったいないわ)
「トリシャ、任せて。私、全力で応援するわよ」
アビーはトリシャの手を取って約束した。トリシャもやる気を出したのか、神妙な顔で頷いていた。
翌日の昼休み、二人はカフェテリアに来ていた。今日のオススメランチをトレイに乗せてから全体が見渡せる席に座った。
「正直、今まで殿下のことなんてまったく興味がなかったので、どんなお顔なのかも知らないわ」
トリシャはクスクスと笑って
「アビーは、食べ物しか目に入ってなかったものねえ」
「え、ひどーい。私だってたまには素敵な男子くらい……見てません、ごめんなさい」
そう、いつも目の前のランチと、後で食べるデザートのことしか考えていなかった気がする。もう少し周りに目を配らないとな、と考えていたら。
「あっ、いらしたわ、殿下よ」
トリシャが目で合図した方向から、なんだかキラキラしたオーラの塊が歩いて来た。
王族を表す紫色のラインが施された制服を着こなし、美しい姿勢で歩いているその人がローレンス殿下だった。
金の絹糸のような髪は後ろは短く、前は長めに整えられ、深い蒼の瞳が見え隠れしていた。彫りは深いけれどもどちらかというと中性的な美しさを感じさせた。若さゆえの儚い美しさと言おうか。
「ほおお。綺麗な方ねえ」
「でしょう。女子学生は皆夢中になっているらしいわ。むしろ、今までまったく関心がなかったアビーにびっくりしちゃうわよ」
「いやほんとに、興味なかったの、ごめん」
頭を掻きながら殿下を見つめていると、後ろからタタタッと小動物のようなものが寄ってきて殿下に挨拶をした。
「ローレンス様、今からお食事ですか? 私もご一緒してよろしいですか?」
レベッカだ。背が小さいレベッカは殿下の肩くらいまでしかない。だから話す時に自然と上目遣いになる。
「やっぱり、バランスがちょうどいいわよね」
ポツリとトリシャが呟いた。
「こーら、またネガティブ。駄目よ、それ禁止」
アビーはトリシャの頬を人差し指で軽くつついた。
「う、ごめんなさい」
すぐ謝るところがまた可愛い。
「あ、ほら見て、トリシャ。レベッカったら殿下に断られてるわよ」
殿下の後ろから背の高い男子学生が来た。彼の制服のラインは、侯爵家を表す水色だ。
殿下とその男子はトレイにランチを取ると、そのままカフェテリアを出て何処かへ行ってしまった。
レベッカは険しい顔をして取り巻きと共に歩いて来た。大きなテーブルの一角に座ると、取り巻きに命じてランチを持って来させていた。
「殿下は、照れ屋だから困るわ。こんな人の多いところでは話せないんですって」
殿下に断られたのを誤魔化すためか、いつもより大きめの甲高い声でレベッカが喋り始めた。
「そうですわ、レベッカ様。誰が聞いているかわからない所ではお話出来ませんものね」
「殿下にふさわしいのはレベッカ様だけなのですから、他人なんか気にすることないと思うんですけどね。照れてしまうのでは仕方ないですわね」
「他の婚約者候補は雪ダルマと大女ですから、選ばれないに決まってます。レベッカ様は堂々と殿下と一緒にいてもおかしくないですわ」
アビーは立ち上がって文句を言ってやろうとしたが、トリシャに止められた。
「駄目よ、アビー。相手にしちゃいけないわ」
「でも。あんな事言われて悔しくない?」
「私なら大丈夫。喧嘩なんかしたら、あなたの夢である家庭教師が遠のいてしまうわよ」
確かに、学園で問題行動を取った者を教師として雇ってくれる家はないだろう。こんな時まで他人のことを考えてくれるなんてトリシャは本当に性格がいい子だ。アビーは文句を言うのをやめ、気分を変えようとデザートを取りに行くことにした。
「トリシャはどうする?」
「私も今日は食べようかな」
二人で立ち上がり、歩いているとまた甲高い声が聞こえてきた。
「やだ、あれ見てご覧なさい。ツインタワーだわ」
「本当ですわ。遠くから良い目印になりますわね」
「たまには役に立つこともあるのねえ」
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