また、貴方に出逢えるならば

スカーレットドラ

文字の大きさ
2 / 2

2話 サヨナラは新たな出会いと始まり

しおりを挟む
 そうして、日曜日になった私は晴暉くんと会えるのをただただ楽しみにしていた。
 先生から突然引っ越したよと言われた時は胸が弾けそうな思いになり、本当は嫌われていたのではないかとヒヤヒヤしていたが、晴暉くんが私のことを嫌いになったわけじゃない。
 こう思うだけで自然と気持ちが楽になっていた。なので今日は嬉しさとワクワクとドキドキでいろんな感情が巡っていた。
 ただ。しかし。この今日を境にこのようなことになるなんてこの時の私は夢にも思っていなかったのであった。

 こうして私は目的の桜木町駅に着いた。予定よりも25分近く早く着いてしまったのだが幸いにも既にはるくんは居てくれた。はるくんって可愛いよね、夢叶の前ではそう呼ばないけれど。
友「フフッ」
 こんなはるくんはどこか懐かしいようでまた、私の待たせた?うぅん、待ってないよ。というお決まりの流れでもやろうとしているのだろうか。
 こんなどこか真面目で私のことを一途に思ってくれている彼のことが好きだった。いや、今でも好きだ。
 そんなことを思っていても仕方がない。私ははるくんのもとへ近づいた。
友「おーい!はるくーん!」
晴「ゆあ、あの……ごめんね?」
友「いいのいいの、別にはるくんが悪いわけじゃないんでしょ?」
晴「ありがとう」
 それから少しの間沈黙の時間が流れた。でも、不思議と嫌な時間じゃなかった。気まずいわけではない、一瞬幸せな気持ちになっていた。
晴「じゃあ、遊ぼうか」
 そう連れられて色々な箇所を巡ることにした。つい最近まで当たり前だった日常。
 いつも通りの日曜日。2人でどこか遊んでいた日曜日。そんな、今まで通りの日。映画を見た、ゲームセンターで遊んだ、服を買った。
 とても素敵な1日になった。もし、この時間が永遠と続いていれば、と思わずにはいられなかった。
晴「もう、暗くなってきたね」
友「うん、そうだね」
 気づけば夕焼けの時間が過ぎ、辺りは暗くなり始めていた。
晴「ゆあ、あそこに行こうか。僕たちの始まりの場所っていうと照れ臭いけれど、行こ!」
 始まりの場所とはこの観覧車。はるくんが私に告白をしてくれた想い出の場所、だけど私はこの場所に少し恐怖を覚えた。
 これに乗ったら本当に終わり、はるくんは転校してまたしばらく会えなくなる。いつも話していた昼休みもないし、何よりもそれを受け入れなければならない。そう思うと怖くて足がすくみ始めていた。
友「はるくん……私、怖いの……」
 私はありのままに今思っていることを告げることにした。
友「この観覧車で私たちの物語は終わっちゃう。そう思うと私……怖いの!」
晴「だけど!」
 珍しくはるくんは声を荒げて話し始めた。
晴「ゆあ、これに乗らないと今日の思い出は、2人の思い出が途中で止まっちゃう。そんなの嫌なんだ。この話はきちんとケジメもつけたい、だから……乗ろ?」
 そうして、私ははるくんに連れられて無理矢理観覧車に乗り込んだ。私は別に高いところが苦手じゃないしはるくんの方が苦手だ。
 その中はるくんはここで告白してくれた。その時は今でも昨日のことのようにドキドキした感情を思い出すことができる。
 しばらく時間が経った。頂上にはもう少しで着く頃だろう。あの時もこのタイミングだった。だからきっ……と……。
晴「ゆあ……あの、あの件に関しては本当にごめん」
友「大丈夫だよ、むしろ直接言われたらちゃんと受け止めることができていたか分からないし」
晴「ゆあさえ、いや、友愛にお願いがあるんだ」
 と、改まって言うはるくん。一体何を言おうとしているのかと思っていると。
晴「僕はゆあと同じ高校に行きたい。そこで再開してまた時計の針を進めたいんだ」
友「……え?」
 そんなはるくんの発言に戸惑うことしかできなかったのであった……。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

両片思いの幼馴染

kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。 くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。 めちゃくちゃハッピーエンドです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】

彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。 高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。 (これが最後のチャンスかもしれない) 流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。 (できれば、春樹に彼女が出来ませんように) そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。 ********* 久しぶりに始めてみました お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

【完結】少年の懺悔、少女の願い

干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。 そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい―― なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。 後悔しても、もう遅いのだ。 ※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。 ※長編のスピンオフですが、単体で読めます。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

処理中です...