追う者

篠原

文字の大きさ
上 下
271 / 278
第十七章  栄真子の新婚、新居生活  ~すべてが初めてな新妻!~

第十七章 ㊾

しおりを挟む
結婚したばかりの夫婦だ。
 結婚式前日、最後の独身時代を
楽しむために夜の街へ出て行く男と、
その親友たち……とは違う。


狙いは、そういう店とかでなく(当然)、
博多ラーメンの店だ!!!
 そう。博多と言えば、ラーメン!
そして、ラーメンと言っても、ただの
店じゃなく、屋台だ!!
 新妻は、旧友のしーちゃんから、
『その情報』&『おススメ店』を聞き出し、
福岡入りしていた!
 さすが、ラーメンにハマったあの頃を
過ごした女子……。
 それに、夫の方も、当然、体型から
して、ラーメンは大大好物だし。



なので、真子は、自分に(そして夫にも)
課している『不文律』を、その夜は、
撤廃することにしていた。
 だって、折角、福岡まで来ているのに、
しーちゃんが絶賛する、屋台ラーメンを
逃すなんて、ありえない!!!





義時と真子は、博多の夜の街を歩いた。
さっき、晩飯の帰りは、気持ちの良い
風が吹いていてさわやかだったけど、
何か、時間を経て、酔った人が多くなり、
じっとりとしたベタ暑い夜の街へと
変わってしまったような感じがした、
真子には。




狙いの―しーちゃんから教えてもらって
いた―店は、すぐに、見つかった。
迷いかけたけど、たまたま、警邏中の
警官に出くわしたので、義時が訊いた。
 自分もラーメン好きだという中年の
警官は、若い夫婦を、その屋台の前まで
案内してくれた。
 だが、「こんな時間にラーメンですか」
という質問に対し、「はい。でも、もう、
さっき、水炊き、もつ鍋、餃子、鶏皮
とか、食べ尽くしたんですけどね。
ま、ラーメンは別腹なんです!」と
語る大柄な男性と、それに同調する細くて
美人な女性には、……驚いた。
 自分が年をとった事実を突きつけられる。
自分がそんなの今したら、確実に、翌日、
部屋で死んでるな……。
同僚の地域課員に、無様な姿で発見される
ことになるな。
と、2人と別れて、パトロール業務に戻った
巡査長は、思った……。


で、その2人―栄夫妻―は、警官に案内され
辿り着いた、その屋台に。。。
 周囲にも屋台が並んでいて、どの屋台も
客でいっぱいで、2人は、その『熱気』に
圧倒される……。
 


すぐに、ラーメンが出てきた。
 博多とんこつラーメン……。
白いスープに、細い麺。
そして、うん!?
紅ショウガ……!!!
あと、大量のゴマ、ネギ。


 はじめ驚いたけど、妻は、一気に
完食した。
想像を絶するほどに、美味かった!
不文律を破り、来て、良かったと
心底思った。


 夫は、おでん、そして日本酒まで
頼んで、赤くなっているけど……。
「今日だけは、許してやるか」と、
……。
まぁ、今日は、特別だし。
 そのかわり、明日の朝のホテルの
バイキング朝食は、抜きにさせよう…
妻は、そう考えた。
 そんなことも知らずに、夫は、
グイっと、旨そうに、日本酒を呷って
いる。

 静か……でない、騒がしく、熱い、
博多の夜の時間が、ゆっくりと進んでいく。


※一番下まで読んでください※




(・著作権は、篠原元にあります

・いつも、読んでくれて、ありがとう
ございます。
コメント、感想、高評価とかしてくれると
励みになります、本当に!

・義時の体型について、ノベルデイズさんの
登場人物紹介を見たらわかります、多分(笑)

・真子がラーメンにハマっていた時代について
第九章⑦とかをどうぞ♪          )
しおりを挟む

処理中です...