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第十一章 本戦
第110話 チュートリアル:東VS♰ダーク=ノワール♰
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「♰魔法発動!! サイクロン!!♰」
「光よ竜巻を呼べ! ホワイトハリケーン!!」
黒色の混じった水色の大竜巻。
白の大渦を巻き起こす光。
大気中の窒素、酸素に加えアルゴン。大気を成す埃や塵どころか、会場全員の視線を双方の荒れ狂う嵐が纏めて巻き込んだ。
轟ッ!!
ぶつかった衝撃波の直ぐのちに、大きな吹き荒れる風が会場にいる人間を襲った。
《ぶつかり合った嵐いいいいい!! 互いの勢いが、力が、どっちが強いのかとしのぎを削るううううううう!! 風が吹き荒れて台本が飛んでいクゥ^~~!!》
《清々しい顔で実況するな!! 流石に回収しないとマズイだろ!?》
先ほど萌と津田輝樹が対戦した時以上の大きな歓声。爆ぜる火焔の熱、宙で四散する激流の飛沫、そして今にも感じている目を瞑ってしまうような大きな風。
それは今大会で感じた生の触覚で、対人距離や中距離範囲の攻撃ではない圧倒的範囲攻撃にオーディエンスたちは大いに震えた。
《あーっとここで両者の攻撃が同時に消滅うううう!!》
「我は放つ光の白刃! シャイン・ブレード!!」
「♰罠発動!! 波動障壁!!♰」
東の背後に白く光る魔法陣が出現。そこから発光する斬撃が放たれた。
しかしダーク=ノワールこと戸島は身を護る障壁を正面に発動。障壁に波紋を生んだのはしっかりと斬撃から防御した証だった。
《小出しの技は通用しないぞと戸島は余裕の態度! これくらいはできて当然だと睨む東ァ!! 両者一歩も譲りません!!》
《打撃、剣技、体術、強力なスキルと出場者は魅せてくれるんですけどね、二回戦第四試合の今回は魔法系スキルのぶつかり合いですからねぇ》
そう。この戦いは魔法系スキルのせめぎ合い。
(やっぱ一筋縄とはいかないか……)
(だ、大丈夫! 先輩に負けてない!)
無視することのできない同族嫌悪にも似たバトル。
魔法使いとしてのプライドがある闘いだ。
「ッ」
互いに意識した一呼吸の小休憩。ここで戸島が腕を組んだ。
「♰……さすがだと誉めてやろう、光の代行者よ♰」
「……」
「♰貴様の纏う光は温かく、光そのものを揮って戦う姿は万人を照らす太陽の様だ♰」
「……」
「♰だが万人と言えど所詮は愚民……! 我の様な暗黒に漆黒をもたらす存在には到底届かぬ光!! 東 美玖!! 貴様の光はなんと言っている!!」
包帯を巻いた指が対戦相手の東をビシッと指さす。それに体をビクつかせた東はこう思った。
(……何言ってるか分かんない!!)
メガネが光を反射する東。
分からないとは分かろうとする裏返し。
ダーク=ノワールの熱意ある賛辞。東にはこう映った。
「――――」ゴニョニョ
「……?」
「――!! ――――!!」ゴニョニョ
「??」
「――!! ――――!! ――――!!」ゴニョニョ
「???」
奇しくも当然の様に着用したマスクに阻まれたダーク=ノワールの言葉。当然距離を置いている東に聞こえる訳も無く、何か伝えていると辛くも分かった東だが、結局は聞き取れないでいた。
しかし東 美玖は感じた。マスクの下で不敵に笑い、こちらを睨めつける戸島の目を!
「わ、私を挑発して隙を作ろうとしてますね!!」
「む!!」
「そうは問屋が卸しません!!」
ッビシ! と指さす東。奇しくも会話が成り立ってしまい二人は互いを指さした出で立ちは、実況のJ・カビラに解説者の西田メンバー、会場とお茶の間オーディエンスを含めた全員を沸かせるには十分だった。
「YHS!! 熱い展開だ!!」
「みんな派手なのが好きよねぇ……私も好きだけど!」
その姿をカメラは抑え、テレビで観戦している花房夫婦は感想を述べあい。
「あのバカ調子に乗ってると足元掬われるわよ!!」
「まぁ注目されるの好きな性格だし、問題ないでしょ!」
「あんたは楽観しすぎなのよ!!」
予選と本戦で退場した吉と佃の結託組。学生用観戦席で喚いている。
《互いの魔法を称え合う熱い友情……! 実に青春溢れる場面です!! クゥ^~~!!》
カビラは手に汗握る。
場所は変わり控室。後ろ向きに椅子に座る萌。
「ダーク=ノワールとアズにゃん、どっちもバカスカ系で相手すんのしんどそうー」
背もたれに顎を乗せ、上目づかいでモニターを見ながらそう言い。
「……けっこうカッコいいじゃん」
家のテレビで鑑賞するツヤコ。普段目にすることの無い司の戦う姿に、そっと呟いた。
《映像バエするド派手な魔法のぶつかり合い。今までは小手調べと言ったところでしょうかねぇ》
西田の解説通り二人はまだ力を温存している。
だがそれもここまで。
「魔法陣!!」
決意を目に宿した東が檄を飛ばす。
――ヴオン
と重低音を響かせて彼女の背後に出現したのは大きな魔法陣。陣に書かれた模様の端には六芒星の直角が。中央に連れて複雑な模様が施されている。
「♰フフフ。そうでなくてはなあ!!♰」
何も持っていない包帯を巻く手が、掴んだ何かを解き放つ様に上へあげられたのを皮切りに、薄紫に光る幾つもの魔法陣が彼の背後に出現。
《巨大な魔法陣を展開した東ああああ! 相対するのは戸島ァ! 複数の魔法陣を同時展開して迎え撃つううううううう!!》
興奮したカビラの実況もあってか、オーディエンスのテンションは最高潮。
「――ッッ~~!!」
手をかざし、ここで先に動いたのはこの魔法使い。
「♰魔法発動! サイクロン!!♰」
先ほど放った黒色の混じった水色の大竜巻が両端の魔法陣から出現。
刹那――
「♰魔法発動! ブレイズ・キャノン!!♰」
続けざまの魔法。
萌が受けた連なる火球の弾も、展開していた二つの魔法陣から同時に発動。
そしてダメ押しの――
「――魔法発動! アルテミット・スレイズ!!」
大きな矢状の魔力の塊が魔法陣から出現。
カメラの画角に収まらない大量の魔法。
「――――」
風を感じる竜巻のサイクロン。
熱を感じる火球のブレイズ・キャノン。
見て分かる鋭利な光の矢、アルテミット・スレイズ。
目を見開き驚いた表情を隠せないオーディエンスたち。
彼、彼女らは興奮を感じながらも、ふと、こう思った。
――竜巻、火球、矢。押し寄せる並々ならない攻撃の嵐、そのすべてが、か細く健気な少女に襲いかかるのだと。
金切り声の様な悲鳴をあげるのか、睨めつけて受け止めるのか、とれとも、果敢に立ち向かうのか。
この燦々たる光景を見た全員が心の奥底で少女に期待した。
そして彼女は――
「――なる裁きを敵に下せ――」
――抗う選択肢を
ドゥゥウ――
「ホーリージャッジメント!!!!」
選んだ。
――ビュオオオオ !!!!
轟ッ!!
と巨大な魔法陣から光の攻撃。余りにも特徴的な効果音が大気を震わせ、枝分かれした光の裁きが闇人の魔法に炸裂するのだった。
「光よ竜巻を呼べ! ホワイトハリケーン!!」
黒色の混じった水色の大竜巻。
白の大渦を巻き起こす光。
大気中の窒素、酸素に加えアルゴン。大気を成す埃や塵どころか、会場全員の視線を双方の荒れ狂う嵐が纏めて巻き込んだ。
轟ッ!!
ぶつかった衝撃波の直ぐのちに、大きな吹き荒れる風が会場にいる人間を襲った。
《ぶつかり合った嵐いいいいい!! 互いの勢いが、力が、どっちが強いのかとしのぎを削るううううううう!! 風が吹き荒れて台本が飛んでいクゥ^~~!!》
《清々しい顔で実況するな!! 流石に回収しないとマズイだろ!?》
先ほど萌と津田輝樹が対戦した時以上の大きな歓声。爆ぜる火焔の熱、宙で四散する激流の飛沫、そして今にも感じている目を瞑ってしまうような大きな風。
それは今大会で感じた生の触覚で、対人距離や中距離範囲の攻撃ではない圧倒的範囲攻撃にオーディエンスたちは大いに震えた。
《あーっとここで両者の攻撃が同時に消滅うううう!!》
「我は放つ光の白刃! シャイン・ブレード!!」
「♰罠発動!! 波動障壁!!♰」
東の背後に白く光る魔法陣が出現。そこから発光する斬撃が放たれた。
しかしダーク=ノワールこと戸島は身を護る障壁を正面に発動。障壁に波紋を生んだのはしっかりと斬撃から防御した証だった。
《小出しの技は通用しないぞと戸島は余裕の態度! これくらいはできて当然だと睨む東ァ!! 両者一歩も譲りません!!》
《打撃、剣技、体術、強力なスキルと出場者は魅せてくれるんですけどね、二回戦第四試合の今回は魔法系スキルのぶつかり合いですからねぇ》
そう。この戦いは魔法系スキルのせめぎ合い。
(やっぱ一筋縄とはいかないか……)
(だ、大丈夫! 先輩に負けてない!)
無視することのできない同族嫌悪にも似たバトル。
魔法使いとしてのプライドがある闘いだ。
「ッ」
互いに意識した一呼吸の小休憩。ここで戸島が腕を組んだ。
「♰……さすがだと誉めてやろう、光の代行者よ♰」
「……」
「♰貴様の纏う光は温かく、光そのものを揮って戦う姿は万人を照らす太陽の様だ♰」
「……」
「♰だが万人と言えど所詮は愚民……! 我の様な暗黒に漆黒をもたらす存在には到底届かぬ光!! 東 美玖!! 貴様の光はなんと言っている!!」
包帯を巻いた指が対戦相手の東をビシッと指さす。それに体をビクつかせた東はこう思った。
(……何言ってるか分かんない!!)
メガネが光を反射する東。
分からないとは分かろうとする裏返し。
ダーク=ノワールの熱意ある賛辞。東にはこう映った。
「――――」ゴニョニョ
「……?」
「――!! ――――!!」ゴニョニョ
「??」
「――!! ――――!! ――――!!」ゴニョニョ
「???」
奇しくも当然の様に着用したマスクに阻まれたダーク=ノワールの言葉。当然距離を置いている東に聞こえる訳も無く、何か伝えていると辛くも分かった東だが、結局は聞き取れないでいた。
しかし東 美玖は感じた。マスクの下で不敵に笑い、こちらを睨めつける戸島の目を!
「わ、私を挑発して隙を作ろうとしてますね!!」
「む!!」
「そうは問屋が卸しません!!」
ッビシ! と指さす東。奇しくも会話が成り立ってしまい二人は互いを指さした出で立ちは、実況のJ・カビラに解説者の西田メンバー、会場とお茶の間オーディエンスを含めた全員を沸かせるには十分だった。
「YHS!! 熱い展開だ!!」
「みんな派手なのが好きよねぇ……私も好きだけど!」
その姿をカメラは抑え、テレビで観戦している花房夫婦は感想を述べあい。
「あのバカ調子に乗ってると足元掬われるわよ!!」
「まぁ注目されるの好きな性格だし、問題ないでしょ!」
「あんたは楽観しすぎなのよ!!」
予選と本戦で退場した吉と佃の結託組。学生用観戦席で喚いている。
《互いの魔法を称え合う熱い友情……! 実に青春溢れる場面です!! クゥ^~~!!》
カビラは手に汗握る。
場所は変わり控室。後ろ向きに椅子に座る萌。
「ダーク=ノワールとアズにゃん、どっちもバカスカ系で相手すんのしんどそうー」
背もたれに顎を乗せ、上目づかいでモニターを見ながらそう言い。
「……けっこうカッコいいじゃん」
家のテレビで鑑賞するツヤコ。普段目にすることの無い司の戦う姿に、そっと呟いた。
《映像バエするド派手な魔法のぶつかり合い。今までは小手調べと言ったところでしょうかねぇ》
西田の解説通り二人はまだ力を温存している。
だがそれもここまで。
「魔法陣!!」
決意を目に宿した東が檄を飛ばす。
――ヴオン
と重低音を響かせて彼女の背後に出現したのは大きな魔法陣。陣に書かれた模様の端には六芒星の直角が。中央に連れて複雑な模様が施されている。
「♰フフフ。そうでなくてはなあ!!♰」
何も持っていない包帯を巻く手が、掴んだ何かを解き放つ様に上へあげられたのを皮切りに、薄紫に光る幾つもの魔法陣が彼の背後に出現。
《巨大な魔法陣を展開した東ああああ! 相対するのは戸島ァ! 複数の魔法陣を同時展開して迎え撃つううううううう!!》
興奮したカビラの実況もあってか、オーディエンスのテンションは最高潮。
「――ッッ~~!!」
手をかざし、ここで先に動いたのはこの魔法使い。
「♰魔法発動! サイクロン!!♰」
先ほど放った黒色の混じった水色の大竜巻が両端の魔法陣から出現。
刹那――
「♰魔法発動! ブレイズ・キャノン!!♰」
続けざまの魔法。
萌が受けた連なる火球の弾も、展開していた二つの魔法陣から同時に発動。
そしてダメ押しの――
「――魔法発動! アルテミット・スレイズ!!」
大きな矢状の魔力の塊が魔法陣から出現。
カメラの画角に収まらない大量の魔法。
「――――」
風を感じる竜巻のサイクロン。
熱を感じる火球のブレイズ・キャノン。
見て分かる鋭利な光の矢、アルテミット・スレイズ。
目を見開き驚いた表情を隠せないオーディエンスたち。
彼、彼女らは興奮を感じながらも、ふと、こう思った。
――竜巻、火球、矢。押し寄せる並々ならない攻撃の嵐、そのすべてが、か細く健気な少女に襲いかかるのだと。
金切り声の様な悲鳴をあげるのか、睨めつけて受け止めるのか、とれとも、果敢に立ち向かうのか。
この燦々たる光景を見た全員が心の奥底で少女に期待した。
そして彼女は――
「――なる裁きを敵に下せ――」
――抗う選択肢を
ドゥゥウ――
「ホーリージャッジメント!!!!」
選んだ。
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