俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮

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第十八章 VS傀儡君主

第221話 チュートリアル:さとるうううううう!!

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 SNSの広告で見かけるゲーム。美麗なCGを全面に押し、今なら紹介コードを入力して始めると豪華絢爛なアイテムの数々がもらえる!! だったり。

 実写映像の中でゲームの戦闘力が高い低いでレストランに入れるとか訳の分からん広告だったり、某ポケ○ンを想起させるドット絵のゲームで謎のホラー推し。興味本位でダウンロードして実際にプレイしてみるとまったくの別物だったり。

 世の中あの手この手で人様を釣って金を巻き上げようとする広告が溢れている。

 そんな昨今のゲーム広告だけど、中にはもちろん当たりのゲームもあったりする。俺が最近プレイしたのは2Dドット絵のハスクラゲームだ。

 日本のオタク男子の股間に直接語り掛けてくるような美少女たち。しかし一枚絵で戦うのではなく、二頭身のドット絵になり敵を倒して強いアイテムを拾って強化。

 一体二体と最初は敵の数が少ないけど、時間経過と強化具合により数と強度が増し、気づけばスマホの画面いっぱいには美少女をどうにかしようと襲い来る敵の集団が映し出される。

 強化した武器、強化した身体能力に物を言わせ、最後までチョコたっぷりなト〇ポの如くたっぷりな敵を上手く倒してく。

 そんなゲームだが、今まさに、俺がそんな状況だたりする。

 紅い顔のハンプティダンプティ。

 緑の卵グリーンエッグ。

 手足あべこべレッグハンドール。

 地球のみなさんこんにちは部隊はもちろんのこと、ここで追加メンバー。

 人間の体をした色白い傀儡。その腰には球体が付いていて、その球体に別の腰が付いている。そこから胴体が伸び腕と顔も付いている。
 押せ押せと脚で歩き、そして腰から連なる手を使って前へ進む。その姿はまるで後ろから○○ているヤバイ構図。

『傀儡の使徒フィーラー』

 これまた小さな女の子が好きそうなお嬢様のお人形。着ている衣服は黒く薄汚れていて少し不気味。そして無機質な虚ろの目を俺に向けてアブナイ持ち方の鋏を突き立ててくる。

『傀儡の使徒ビスク』

 立てば……あ違う。

 勃てばガチムチ座ればギンギン歩く姿はオスの魔羅。ごめんモザイクだわ。俺の目から見ても誰が見てもモザイクだわ。ゴールデンタイム付近で放映された某アニメでモザイクが出てお茶の間を凍り付かせたくらいヤバイ。
 同じくゴールデンタイム付近のパチンコCMであなたと合体したいだの気持ちいいだの言ってお茶の間を凍り付かせた一万と二千年くらいヤバイ。

『傀儡の使徒ベニス』

 そんなクレイジーな仲間を紹介するぜみたいなノリでひしめき合いながらわんさかと襲ってくる。それぞれ一体ずつとかじゃない。すぐ目の前から遠くの米粒まで同じ面子が大量にいる。

 そんな奴らを。

「ファントム・アーム!!」

 黒霧を纏う巨大な腕で薙ぎ払い。

「ファントム・ニードル!!」

 俺の足もとから伸びる無数の影。そこから持続的に下から突き出す鋭い黒棘がモンスターたちを貫く。

「ファントム・ブラスター!!」

 放射型ではなく弾として発射した六つ。それが半径三メートルで回り続け、触れたモンスターを容赦なしにダメージを負わせる。

「ファントム・インパクト!!」

 そして手刀によるダメ押しの飛ぶ斬撃。

 巨大腕で薙ぎ払い、黒の棘で突き刺し、黒の弾が消滅させ、霧の斬撃で屠る。

 まさにハスクラ。これで一切俺に触れる事は叶わずモンスター達は消えていく。

 デンデデン♪

『チュートリアル:パペッティア・サドネスでモンスターを10000体倒そう』

『チュートリアルクリア』

『クリア報酬:力+』

 ひっきりなしで襲い来るモンスター。その発信元を俺は睨んだ。

傀儡くぐつ傀儡かいらいキングレオ』

 全身金色の翼が生えた超巨大なライオン。肩に百式って書いてそうな金色具合で、開いた口からは無数の糸の束が吐き出される様に出ている。

 エルドラドの側でゲートを開いたのはカルーディだろうけど、俺をここに引きずり込んだのは間違いなくキングレオだ。つまり、幻霊の俺を掴めるほどのレベルを持つライオンって事でもある。

「……さて、どうしたものか」

 キングレオ。その名に相応しい金色だけど、ハンプティダンプティたちを操る以外に攻撃という攻撃をしてこない。
 確かにジャイアントドールらと違い数で圧す戦法はある意味有利かも知れないけど、見ての通り俺にはノープロブレム。野獣の眼光みたく俺を睨んでるが、そもそも睨んでいる事事態が間違いの可能性もある。

「ひょっとしてキングレオはあの糸の束を出す装置、または維持する何かなのか?」

 確かに俺に触れる事ができる時点で異様と思わざるえないし、それがカルーディの本気の現れとも取れる。しかし、束を維持する機構をむざむざ表に出すとは思えない……。

 モンスターの悲鳴と消える音、俺の攻撃する音が一生鳴り続ける中俺は考え込む。

 ぽくぽくチーン! と一休さんが振り返る様に、無い頭で考えた答え。

 それは。

「とりあえずぶっ潰せばいいんじゃね?」

 そして俺の妙案を後押しする様に、この場に変化があった。

 視界にノイズ。否、砂ぼこりが立ち込めた。

 それはみるみる内に俺の周辺、モンスターの大群、マリオネットの観客と広がり、この場全体に広がって行った。

 そして眩しいくらいの発光。一瞬黄金色に世界が染まると、咽かえるほどのマリオネットたちが忽然と姿を消した。もちろん慌てる必要はない。

 それはエルドラドの転移。まさに計画通りだった。

 一瞬でマリオネットたちが居なくなったことで騒然とする、事も無く、俺に進軍し続けるモンスターたち。

「ぐにょ」

 偶然だろうけど俺の攻撃の隙間を縫って来たのか、赤い顔のハンプティダンプティが俺に近づいてきた。

 握りこんだグーパンチ。

 当然すり抜ける。

 と同時に赤い顔を掴んで容赦なく粉砕。

「リミッター解除だな!!」

 ――ドワオ!!

 瞬間、ファントム・アーム、ニードル、ブラスター、インパクト、すべてが巨大化。

 俺がドット絵だったらすでに俺の攻撃はスマホの画面へと突入している。辛うじて伸びているニードルの影が見える程度だろう。

「よし。行くぞ!!」

 ――ッドと残像を残してキングレオへと移動。

 巨大化した攻撃は俺を中心に周りプチプチとモンスターたちを蹴散らす。

 浮遊し全速力で駆けているのにも関わらず、一向にキングレオに到達しない。しかし距離が縮まっていないわけじゃない。遠くの山に近づいていると同じで、デカすぎるからそう思うだけだ。

 だったら。

幻霊霧剣ファントム・フォグ・ソード……」

 次元と空間を斬る君主の霧の剣。それを手に取り、腕を引いて剣先をキングレオに突き立てた。

「ッ!!」

 フッとその場から消える。

 いや、消えたんじゃない。俺が空間を斬って移動した。

 ――バリ! バリ! バリ!!

 空間を斬って別の空間へ。よりキングレオに近づく空間へ。

 ガラスの様に割れた空間を通り、また空間を割って通る。伸びた一本の糸を皺寄せる様にたわませ距離を稼ぐ。

「――」

 そして相まみえるキングレオ。なんともすごく大きいです……。

「これが――」

 幻霊霧剣ファントム・フォグ・ソードを振りかぶり。

「世界! 空間ごと相手を分断する斬撃!!」

 剣先に続く空間の亀裂。

「次元斬り!! もとい――」

 そのものを斬る。

「最強呪術師斬りだああああああああああああああ!!!」

 キングレオそのものが空間ごと
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