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第十八章 VS傀儡君主
第222話 チュートリアル:GARO
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それは突如として起こった。
俺が次元ごとキングレオを斬り、空間がズレると同時に撃破を確信した。だがしかし、空間が元に戻ろうとする作用と同じ風に、縦真っ二つにしたキングレオが逆再生の如く元に戻った。
(幻霊霧剣の斬撃が効いていない……)
次元を絶つ事のできるファントム・フォグ・ソード。まともにくらえば一溜りどころか勝負を決するチート剣だというのに、空間ごと再生したキングレオには通用しなかった……。単純に、俺の力不足だという事だ。
――ブン
音を立ててキングレオの鼻が奥へと押し込まれた。するとルービックキューブを解く様に全体が駆動するとレオの顔が開き、まばゆい光が俺を射した。
眩しすぎる光。しかしファントム・アイで見る光景は眩しさなどではなく、絵具を撒き散らしてぐちゃぐちゃにした光景。
その中心には、一つの影があった。
黄金の鎧はエルドラドを想起させるけど、こっちは宝石が付いているのじゃなくて黒い模様がうねる様に描かれている。
黒の下地に刺々しい黄金の鎧。その鎧兜は獅子の顔。怒れる獣神を精巧に表した顔の作りがなんとも言い難い。そして右手にはギラギラと光る銀色の剣があった。
『傀儡の獅子 オライオン』
『チュートリアル:傀儡の獅子 オライオンを倒そう』
オライオン。君主の俺でもビシビシ伝わる圧倒的威圧感。その眼差しは鋭く、今にでも吐く息が見えてきそうだ。
正直に思う。もう牙〇にしか見えない。
深夜枠の特撮番組の〇狼にしか見えない。
たまたま目が覚めて何となく深夜のテレビ見てたらGAROOOOOOOOOOOO!!!! って放送してて、しかも結構お色気回っぽくてドキドキしたのを覚えている。あの頃はまだ俺も澄んだ瞳をしていたよ……。
「……」
つかそもそもなんで牙〇なんだよ……。カルーディの奴ファンだったのか? それとも偶然か? まぁどちらにしても――
「――お前がヤバイ糸の親玉だろ」
「……」
オライオンは何も言わない。何も言わないなりに、俺は無言の返答と受け取る。
キンピカをよく観察してみると、アイツの背中から半透明な無数の糸が束になって出ている。と言うか、キングレオの中身がもはや糸の世界みたいにうねっている。
俺にはわかる。あの糸の集合体はかなり危険だという事が。触れてはいけない。そんな第六感じみた感覚が俺に過る。
「……」
そして何故カルーディの奴はこんなにもライオンを推すのか。俺には計る事は出来ないけど、牙〇はゆっくり動いたのは分った。
空中を歩く。浮いて移動しているのでなく、足を付いて空中を歩いている。
瞬間――
――オライオンの眼が光った。
――ッガキン!!
「――!!!!」
「ッ!?」
音の壁を超える速度。瞬時に幻霊霧剣を構えてオライオンの剣と肉薄。火花が散り、霧が揺蕩う。
瞬時に感じた。
(こいつ、強いぞ!!)
互いの剣を押しつけ合う。鋭いライオンの眼光がフード奥の俺の目と合わさった。
「オラ!!」
「――」
剣の押し付け合いは俺の勝ち。衝撃波を生む鍔迫り合いにオライオンは堪らずバランスを崩しながら後退。
すかさず追撃。
斜めに振り切ったソードを構え直し、黄金の鎧に真横から斬りつける。
「――」
しかし浅い。オライオンがとっさに体をくねらせ鎧の表面だけを俺に傷つけさせた。
再び斬りつけて斬るオライオン。
俺も負けじと応戦。
「ッ!!」
「――」
鍔迫り合い。
そして力押しで斬りつける。
それが幾度も幾度も続き、この空間を縦横無尽に駆けまわりながら斬り合った。
オライオンの登場により停止し、力なく横たわるモンスターたちの目には連続する衝撃波の嵐が見えているのだろう。たぶん。
押している。
「ファントム・ニードル!!」
俺が押している。
「ファントム・アーム!!
間違いなく俺が押している。
「――」
だが鎧が裂け、兜も割れ、どれだけ傷ついてもオライオンは止まることは無かった。まるで負けると分かっていても、譲れない何かがある様に俺に突撃をかまして来る。
俺はそこに、カルーディとは別のナニカを感じた。あの醜悪な思想を持つ君主とは違い、このオライオンの剣を受け止めていると、押し切れると分かっていても、刃同士を押しつけてしまう。
――何かを訴えかけている。
俺にはそう思える。
でも、俺には意を汲む時間も余裕も在りはしない。
だから。
「――ファントム・ミラージュ」
グサッ――
「――」
四つの俺の分身。
俺に斬り掛かろうとしたオライオンを実体化した霧の剣で刺した。
ミラージュの肩から覗くオライオンの眼はどこか儚く、そして悔しそうに、光を失った。
分身が役目を終え露と消える。
デンデデン♪
『チュートリアルクリア』
『クリア報酬:ギフト』
「……」
幻霊霧剣を仕舞い、蠢くキングレオの中身を見ながら思った。
オライオンは、俺に何を伝えたかったのかと。
強かった。本当に強かった。強かっただけに、俺を本気で止めたいと言う意志は感じられなかった。
最初の一撃がピーク。それからはベターな差し合いのキャッチボール。
「……」
考えても仕方ない。俺たちには足踏みする時間が無いのだから。
「さっさとエルドラドと合流しないと……」
そっと、右手をキングレオに向ける。
「幻霊昇華――」
俺の背後に黑の空間が出現。そこから無数の黒い手が伸び、危険な糸の空間ごと巨大なキングレオを包み込んだ。
俺が次元ごとキングレオを斬り、空間がズレると同時に撃破を確信した。だがしかし、空間が元に戻ろうとする作用と同じ風に、縦真っ二つにしたキングレオが逆再生の如く元に戻った。
(幻霊霧剣の斬撃が効いていない……)
次元を絶つ事のできるファントム・フォグ・ソード。まともにくらえば一溜りどころか勝負を決するチート剣だというのに、空間ごと再生したキングレオには通用しなかった……。単純に、俺の力不足だという事だ。
――ブン
音を立ててキングレオの鼻が奥へと押し込まれた。するとルービックキューブを解く様に全体が駆動するとレオの顔が開き、まばゆい光が俺を射した。
眩しすぎる光。しかしファントム・アイで見る光景は眩しさなどではなく、絵具を撒き散らしてぐちゃぐちゃにした光景。
その中心には、一つの影があった。
黄金の鎧はエルドラドを想起させるけど、こっちは宝石が付いているのじゃなくて黒い模様がうねる様に描かれている。
黒の下地に刺々しい黄金の鎧。その鎧兜は獅子の顔。怒れる獣神を精巧に表した顔の作りがなんとも言い難い。そして右手にはギラギラと光る銀色の剣があった。
『傀儡の獅子 オライオン』
『チュートリアル:傀儡の獅子 オライオンを倒そう』
オライオン。君主の俺でもビシビシ伝わる圧倒的威圧感。その眼差しは鋭く、今にでも吐く息が見えてきそうだ。
正直に思う。もう牙〇にしか見えない。
深夜枠の特撮番組の〇狼にしか見えない。
たまたま目が覚めて何となく深夜のテレビ見てたらGAROOOOOOOOOOOO!!!! って放送してて、しかも結構お色気回っぽくてドキドキしたのを覚えている。あの頃はまだ俺も澄んだ瞳をしていたよ……。
「……」
つかそもそもなんで牙〇なんだよ……。カルーディの奴ファンだったのか? それとも偶然か? まぁどちらにしても――
「――お前がヤバイ糸の親玉だろ」
「……」
オライオンは何も言わない。何も言わないなりに、俺は無言の返答と受け取る。
キンピカをよく観察してみると、アイツの背中から半透明な無数の糸が束になって出ている。と言うか、キングレオの中身がもはや糸の世界みたいにうねっている。
俺にはわかる。あの糸の集合体はかなり危険だという事が。触れてはいけない。そんな第六感じみた感覚が俺に過る。
「……」
そして何故カルーディの奴はこんなにもライオンを推すのか。俺には計る事は出来ないけど、牙〇はゆっくり動いたのは分った。
空中を歩く。浮いて移動しているのでなく、足を付いて空中を歩いている。
瞬間――
――オライオンの眼が光った。
――ッガキン!!
「――!!!!」
「ッ!?」
音の壁を超える速度。瞬時に幻霊霧剣を構えてオライオンの剣と肉薄。火花が散り、霧が揺蕩う。
瞬時に感じた。
(こいつ、強いぞ!!)
互いの剣を押しつけ合う。鋭いライオンの眼光がフード奥の俺の目と合わさった。
「オラ!!」
「――」
剣の押し付け合いは俺の勝ち。衝撃波を生む鍔迫り合いにオライオンは堪らずバランスを崩しながら後退。
すかさず追撃。
斜めに振り切ったソードを構え直し、黄金の鎧に真横から斬りつける。
「――」
しかし浅い。オライオンがとっさに体をくねらせ鎧の表面だけを俺に傷つけさせた。
再び斬りつけて斬るオライオン。
俺も負けじと応戦。
「ッ!!」
「――」
鍔迫り合い。
そして力押しで斬りつける。
それが幾度も幾度も続き、この空間を縦横無尽に駆けまわりながら斬り合った。
オライオンの登場により停止し、力なく横たわるモンスターたちの目には連続する衝撃波の嵐が見えているのだろう。たぶん。
押している。
「ファントム・ニードル!!」
俺が押している。
「ファントム・アーム!!
間違いなく俺が押している。
「――」
だが鎧が裂け、兜も割れ、どれだけ傷ついてもオライオンは止まることは無かった。まるで負けると分かっていても、譲れない何かがある様に俺に突撃をかまして来る。
俺はそこに、カルーディとは別のナニカを感じた。あの醜悪な思想を持つ君主とは違い、このオライオンの剣を受け止めていると、押し切れると分かっていても、刃同士を押しつけてしまう。
――何かを訴えかけている。
俺にはそう思える。
でも、俺には意を汲む時間も余裕も在りはしない。
だから。
「――ファントム・ミラージュ」
グサッ――
「――」
四つの俺の分身。
俺に斬り掛かろうとしたオライオンを実体化した霧の剣で刺した。
ミラージュの肩から覗くオライオンの眼はどこか儚く、そして悔しそうに、光を失った。
分身が役目を終え露と消える。
デンデデン♪
『チュートリアルクリア』
『クリア報酬:ギフト』
「……」
幻霊霧剣を仕舞い、蠢くキングレオの中身を見ながら思った。
オライオンは、俺に何を伝えたかったのかと。
強かった。本当に強かった。強かっただけに、俺を本気で止めたいと言う意志は感じられなかった。
最初の一撃がピーク。それからはベターな差し合いのキャッチボール。
「……」
考えても仕方ない。俺たちには足踏みする時間が無いのだから。
「さっさとエルドラドと合流しないと……」
そっと、右手をキングレオに向ける。
「幻霊昇華――」
俺の背後に黑の空間が出現。そこから無数の黒い手が伸び、危険な糸の空間ごと巨大なキングレオを包み込んだ。
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