空は青いか?

乱川 カナト

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スカイフリューゲル

#7

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「運命、感じた?」
「えっ」
「いや、ほら知り合いみたいな人いたみたいだし。運命感じちゃったのかな~って思ってさ」
「運命とかは別に感じてないけど。でも、私はきっとスカフリ部に入らなきゃいけないんだと思う」
 そう。例え仮に自分が他に入りたい部活があったとしても、私はスカイフリューゲル部に行かなければならないと心の奥底でそう思っていた。
 大きく息を吐いた後、まっすぐ前を向いてまだ見慣れない新入生の姿を見つめる。どこがぎこちないのに楽しそうに笑う空気が今はとても心地よかった。

 秋月は長い前髪を片手でかきあげ嘆息すると椅子に座ったまま空を眺める。教室の窓から見える空は彼にとって額縁越しに見る絵の様にしか見えない。
「......冠崎が来れば勝てる。それは間違いない」
「けど、彼女が来る保障はどこにもないし君は無理強いを出来るような立場でもない。ってところかな?」
 後ろの席で四阿がそう補足すると秋月はどこかバツが悪そうに顔を逸らし、そのまま黙ってしまった。
 太陽の光に照らされた銀髪を揺らしながら前のめりになって彼の頭をシャーペンで小突く。
「痛っ!」
「不器用な奏に罰だよ。そうやって待ってても良いけど僕達は今年が最後の大会になる訳なんだし、たまにはさ素直になって見てもいいんじゃない?」
 四阿は困った顔をしながらも優しく諭すように秋月に言う。腕を組み今度はため息を吐くと秋月は、
「.....分かった。アヅマがそう言うならやってみる」
 と、返答すると四阿はその回答を待っていたかの様にガッツポーズをして言った。
「よし!じゃあ早速放課後にでも1年生の所へ行ってみようか」
 こうして冠崎 かなを部に勧誘する作戦が密かに開始されたのである。
 そんなことを知りもしない彼女は、放課後部活一覧表を見ながらスカフリ部の部室へ向かうべく廊下を歩いていた。
「あの淡いピンク色の髪の子だよね?」
「...あぁ」
「よし、じゃあ早速行ってみようか!僕がさっき話した通りに実行すれば大丈夫だから」 
 無邪気な笑顔を浮かべ四阿は彼の背をポンポンと2回叩く。まるでそれが合図であふかのように廊下の隅から隠れてみていた秋月は、一人で歩く冠崎めがけて歩き出した。
 何で僕がこんな事しなきゃいけないんだ。そもそも、冠崎の名を持つ者なら自分が何をするべきか分かってるはずだろう?
 不満を抱きながらも173cmと高身長な彼は160cm前後の彼女の肩をぎこちなく叩いた。 
 
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