8 / 18
スカイフリューゲル
#7
しおりを挟む
「運命、感じた?」
「えっ」
「いや、ほら知り合いみたいな人いたみたいだし。運命感じちゃったのかな~って思ってさ」
「運命とかは別に感じてないけど。でも、私はきっとスカフリ部に入らなきゃいけないんだと思う」
そう。例え仮に自分が他に入りたい部活があったとしても、私はスカイフリューゲル部に行かなければならないと心の奥底でそう思っていた。
大きく息を吐いた後、まっすぐ前を向いてまだ見慣れない新入生の姿を見つめる。どこがぎこちないのに楽しそうに笑う空気が今はとても心地よかった。
秋月は長い前髪を片手でかきあげ嘆息すると椅子に座ったまま空を眺める。教室の窓から見える空は彼にとって額縁越しに見る絵の様にしか見えない。
「......冠崎が来れば勝てる。それは間違いない」
「けど、彼女が来る保障はどこにもないし君は無理強いを出来るような立場でもない。ってところかな?」
後ろの席で四阿がそう補足すると秋月はどこかバツが悪そうに顔を逸らし、そのまま黙ってしまった。
太陽の光に照らされた銀髪を揺らしながら前のめりになって彼の頭をシャーペンで小突く。
「痛っ!」
「不器用な奏に罰だよ。そうやって待ってても良いけど僕達は今年が最後の大会になる訳なんだし、たまにはさ素直になって見てもいいんじゃない?」
四阿は困った顔をしながらも優しく諭すように秋月に言う。腕を組み今度はため息を吐くと秋月は、
「.....分かった。アヅマがそう言うならやってみる」
と、返答すると四阿はその回答を待っていたかの様にガッツポーズをして言った。
「よし!じゃあ早速放課後にでも1年生の所へ行ってみようか」
こうして冠崎 かなを部に勧誘する作戦が密かに開始されたのである。
そんなことを知りもしない彼女は、放課後部活一覧表を見ながらスカフリ部の部室へ向かうべく廊下を歩いていた。
「あの淡いピンク色の髪の子だよね?」
「...あぁ」
「よし、じゃあ早速行ってみようか!僕がさっき話した通りに実行すれば大丈夫だから」
無邪気な笑顔を浮かべ四阿は彼の背をポンポンと2回叩く。まるでそれが合図であふかのように廊下の隅から隠れてみていた秋月は、一人で歩く冠崎めがけて歩き出した。
何で僕がこんな事しなきゃいけないんだ。そもそも、冠崎の名を持つ者なら自分が何をするべきか分かってるはずだろう?
不満を抱きながらも173cmと高身長な彼は160cm前後の彼女の肩をぎこちなく叩いた。
「えっ」
「いや、ほら知り合いみたいな人いたみたいだし。運命感じちゃったのかな~って思ってさ」
「運命とかは別に感じてないけど。でも、私はきっとスカフリ部に入らなきゃいけないんだと思う」
そう。例え仮に自分が他に入りたい部活があったとしても、私はスカイフリューゲル部に行かなければならないと心の奥底でそう思っていた。
大きく息を吐いた後、まっすぐ前を向いてまだ見慣れない新入生の姿を見つめる。どこがぎこちないのに楽しそうに笑う空気が今はとても心地よかった。
秋月は長い前髪を片手でかきあげ嘆息すると椅子に座ったまま空を眺める。教室の窓から見える空は彼にとって額縁越しに見る絵の様にしか見えない。
「......冠崎が来れば勝てる。それは間違いない」
「けど、彼女が来る保障はどこにもないし君は無理強いを出来るような立場でもない。ってところかな?」
後ろの席で四阿がそう補足すると秋月はどこかバツが悪そうに顔を逸らし、そのまま黙ってしまった。
太陽の光に照らされた銀髪を揺らしながら前のめりになって彼の頭をシャーペンで小突く。
「痛っ!」
「不器用な奏に罰だよ。そうやって待ってても良いけど僕達は今年が最後の大会になる訳なんだし、たまにはさ素直になって見てもいいんじゃない?」
四阿は困った顔をしながらも優しく諭すように秋月に言う。腕を組み今度はため息を吐くと秋月は、
「.....分かった。アヅマがそう言うならやってみる」
と、返答すると四阿はその回答を待っていたかの様にガッツポーズをして言った。
「よし!じゃあ早速放課後にでも1年生の所へ行ってみようか」
こうして冠崎 かなを部に勧誘する作戦が密かに開始されたのである。
そんなことを知りもしない彼女は、放課後部活一覧表を見ながらスカフリ部の部室へ向かうべく廊下を歩いていた。
「あの淡いピンク色の髪の子だよね?」
「...あぁ」
「よし、じゃあ早速行ってみようか!僕がさっき話した通りに実行すれば大丈夫だから」
無邪気な笑顔を浮かべ四阿は彼の背をポンポンと2回叩く。まるでそれが合図であふかのように廊下の隅から隠れてみていた秋月は、一人で歩く冠崎めがけて歩き出した。
何で僕がこんな事しなきゃいけないんだ。そもそも、冠崎の名を持つ者なら自分が何をするべきか分かってるはずだろう?
不満を抱きながらも173cmと高身長な彼は160cm前後の彼女の肩をぎこちなく叩いた。
0
あなたにおすすめの小説
痩せたがりの姫言(ひめごと)
エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。
姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。
だから「姫言」と書いてひめごと。
別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。
語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる