空は青いか?

乱川 カナト

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運命

#17

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 暖かい環境、暖かい風、ぽかぽかする心。人を強くするのは多分人と触れる瞬間の暖かさなんだと僕は思う。
 幼馴染の四阿あづまは毎回僕に同じことを言う。
「素直になるのも大事だ」って。
 でも、僕は...いや。僕には素直になるということが分からなかった。どうすれば素直だと周りに受け止められるのだろうと考える日々だけが無駄に過ぎていった。
 そしてある日気が付いた。
 あぁ、僕には心というものが理解出来ていないから自分の気持ちも分からないんだ。だから素直になるという事も知らないし分からないんだ。


 放課後、掃除が終わると同時にかなでは部室へ向かう。いつも部室に一番乗りしては準備を黙々とし、自分が履く靴の整備をするのだ。
 だが今日は違った。先に四阿が来ていたのだ。
 僕のルーティンが崩された。
 このことに対し奏はムッとしたがいつもの笑顔で出迎える彼を見て一人怒ってる自分が馬鹿らしくなった。
「......何で今日は早いの」
「何でって昨日言ったでしょ。大会に向けてのメニューを考えなきゃ行けないから奏よりも先に行ってるからねって」
「......」
「もしかして自分より先に僕が来てルーティン崩されたから怒ってる?」
 思っていた事を率直に指摘され思わず奏は顔を逸らした。それを見て四阿は目線を下に落とし悲しそうに笑うと、
「僕だって崩したくてやった訳じゃないんだ。ただ─」
 そう言いかけた時だった。
 勢いよくドアを開け入ってきたのは3年の西條 春騎さいじょう はるきだった。
 前髪を止めたピンが太陽に反射して光を発する。
「うわっ!眩しいよ春騎!」
「...っ!」
「あっ!ごめーん!俺ってばそういうのあんまり気付かなかったりするからさ。ま、そんな睨まないで。はーいスマイルー」
 某夢の国のキャラクターの様なポーズを取りムッとした表情の2人を宥めるが逆効果だったようで。
「......春騎、大会の時はそれ外さないと僕許さないから」
「うん、僕も奏の意見に賛成だね。その光1つで事故にも繋がりかねないし」
 軽い説教を浴びせられてるのに春騎は笑って気にも止めてない様子だった。
 そして次から次へと部員がぞろぞろと入ってきてあっという間に部室はいつもの賑やかさを取り戻す。
「2人でいがみ合ってるのも良いけどさ、俺あんまそういう空気好きじゃないんだよね。それに今は新入生も入ってきてるんだし。入るもんも入らなくなるじゃん?」
 軽い口調ながらも正論を述べる彼に部長と副部長の彼等は何も反論が出来なかった。
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