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2章
20話 開幕
しおりを挟む約束の日より3日が経過し
ついに宝玉奪取作戦決行の日である。
(作戦はしっかり頭に入れた。)
和歌太郎は現在、村近くの草むらに隠れている。
ちょうど村の内部を窺えるかなりギリギリの位置である。
村人達が村内を巡回している。
「……Aゾーン異常なし」
見回りの村人が周囲を見渡し、抑揚のない声で呟く。
(あれが操られている村人か……確かに瞳に光がない。まるで機械だ。)
ヨーキの情報によるとこの村(総勢50名)の村人は全て操られているらしい。そして、その村人の視覚情報は全て"madder"に伝わるとの事。村人達に見つかる=madderに見つかるのと同義なのである。
(えっと、時間的にそろそろかな)
和歌太郎は口と鼻を布で抑え、その時に備える。
すると、村内に煙が立ち込め始めた。
「Aゾーン、いじょっ!……うガァっ」
見回りの村人が地面に倒れ伏し、痙攣し始める。
(効果バツグンだね)
布で口を覆い呼吸を浅くし、倒れ伏していく村人達を静かに草むらが見つめる和歌太郎。
この煙は、ただの煙ではない。
全身に激しい痺れを発生させる効果を持つシビル草を燃やして出る毒性の煙である。
効果は、数時間の痺れと感覚麻痺。しかし、プレイヤーにはある程度の耐性があるらしく効果が薄く、数分で直ってしまう。だが耐性の無い村人達にはかなり有効のようで、煙が漂い数秒で村人達は倒れた。
(おそろしい煙だね。申し訳ないけど少し眠っててね…)
見渡す限り全ての村人達が地面に倒れ伏している。
耐性は無い村人達は数時間はこのままである。
更に数分が経過し、村に立ち込めた煙が風に流され、薄まったのを確認し、草むらより姿を現し、村へと入っていく。
強い感覚麻痺の効果により村人達からの情報は中枢のmadderにいかない。侵入された事は分かってもどこから侵入したかを悟らせない作戦である
「作戦1.村人の無効化と侵入の成功だね。ここからが俺の役割。作戦2、配下のプレイヤーの片割れを倒すだ。」
作戦2は村の情報系統が錯乱している隙に、madderの配下プレイヤー2人を各個撃破するというもの。
そして、ヨーキと和歌太郎は作戦開始時に既に配下のプレイヤーの位置を確認済みである。
「出ておいでよ」
和歌太郎が近くの建物に対して言葉を飛ばす。
すると、建物から変な笑い声が響き
「フヒヒヒヒ……この事態を引き起こしたのは貴様ですか。はぁ~何ともお気の毒であります。」
現れたのは、小太りで眼鏡を掛けたオタクファッション。
ジーパンにチェックシャツをインした男であった。
男は和歌太郎に哀れみの目を向ける。
「何がお気の毒なんだよ」
言葉を返すと同時に和歌太郎は男に対して、"鑑定"を行う。
示された名前はアレクサンダー。種族は人族。
(名前の不一致感がすごいね……)
「おい、貴様。今、僕の事を鑑定し、馬鹿にしたでありますね!分かるんですよ貴様のような人を外見でしか判断しないようなクソカス共をを元の世界では何十人も見たでありますからね。貴様のようなクソカス野郎は死刑であります!」
唾を撒き散らしながら放たれる早口の弾丸トーク
「いや、何を「貴様などmadder様の視界に晒す事さえ汚らわしいであります。あぁmadder様、今からこのクソカス侵入者をぶち殺すであります。貴様にはもう明日はないであります」
和歌太郎の言葉さえも遮り一方的にまくし立てるアレクサンダー
和歌太郎の声に聞く耳を持たないようである。
(なんかムカつくね。あと、こいつ相当プレイヤーを殺している。かなり濃い血の臭いが身体に染みついているし、油断はしちゃダメだけど、、)
和歌太郎のイラつき度数は上昇していく。
「びびって声も出ないでありますか!仕方ないですね苦しまないように一瞬でーー」
「"うるせぇんだよ"」
和歌太郎から言葉共に鋭い殺意が放たれる。
危険を感じたアレクサンダーは口をつぐみ、後ろに距離を取る。
「貴様なんでありますか!!」
話を途中で折られたアレキサンダーは怒り心頭の様子
顔を真っ赤にして怒りの声をあげる。
「お前こそクソカスデブ野郎だね!瞬殺してやるからかかって来なよ」
火に油を注ぐが如く和歌太郎は中指を立て、挑発した。
「貴様ぁぁぁぁぁ!!」
オタク男アレクサンダーは激昂した。
madder配下の1人"アレクサンダーとの戦いの火蓋が切って落とされた。
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