DEATH GAME ー宝玉争奪戦

2章

28話 底力

「和歌太郎、あの白いマネキンは俺に任せるんだぜ」

ヨーキが初めて見せる純白の短刀を異次元boxより取り出した。

「え……でも」

ヨーキの提案に驚く和歌太郎
それもそのはず、2人がかりですら勝ち目すら見えない相手である。
和歌太郎は困惑はもっともであった。

「分かってねぇぜ。男には奥の手って奴があるんだぜ。後、お前には言ってなかったが、俺の家は先祖代々古武術の名家でな。まぁ、大事な人も守れなかったダセェ流派だけどな」

皮肉げに語るヨーキ。

「本当に、いいんだね」

「あぁ、余裕だぜ。魔力解放……"魔装"」

ヨーキの身体から吹き出す水色の魔力の波動が、薄い水色の光のオーラとなりヨーキの身体を包んでいる。

「うわぁ……ガチの奥の手だ。じゃあ、遠慮なくマネキンは任せるよ」

ヨーキの言葉が真実だと分かった和歌太郎はmadderに意識を向ける。

「初めて見る力ね。でもアロンは、私が電脳処理プラミングによって今まで戦った敵より得た情報を注ぎ込んだ最強の兵器よ。……甘く見過ぎよ」

その瞬間、アロンがまるで消えたかと錯覚するような速度で動いた。

しかし、その動きはすぐに止まった。

止まらざるを得なかったのである。

「お前の相手は俺だぜ」

ヨーキの純白の短刀がアロンの行手を塞いでいた。

「甘く見てるのはそっちみたいだね。」

和歌太郎も剣を構える。

「邪魔をするならば容赦しないわ。ただ潰すだけよ！」

"ドンっ"

madderが椅子から立ち上がり大地を殴りつける。
それだけで地面が大きく陥没する。

(すごい力だ。さっきのは本気じゃなかったって事。)

背中に冷たい汗が流れる。

和歌太郎　対　madder

ヨーキ　対　アロン

の構図が完成した。

ーー宝玉をかけた真の戦いがついに始まった。