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3章
54話 流水
しおりを挟む(さて、どうしよかな。)
和歌太郎の目の前で怒りの形相を浮かべるピンク髪のツインテールのギャル"スイート"に対し、どう攻めるか考える和歌太郎。
(空から落ちてきたのも気になるけど、あのフォークリフトを吹き飛ばした力は気になる。慎重に行くべきだね)
和歌太郎は剣を構え、腰を落とす。
対するスイートも異次元BOXからピンク色の番傘のような物を取り出す。素材は木製ではなく、金属のような光沢がある。
「もうアンタ終わりだかんね。テメェ、マジむかつくんだよ!!」
怒鳴り声をあげ、スイートがまるで弾かれるような速度で和歌太郎に接近。
番傘で和歌太郎に殴りかかる。
しかし
"バシッ"
「ーーなっ」
あまりの衝撃に思わず声が出るスイート
スイートの番傘は和歌太郎の片腕により止められていた。
「軽い攻撃だね。」
和歌太郎が番傘を片手で止めたまま笑みを浮かべる。
その余裕さに眉間のシワが更に濃くなるスイート
「……チッ、さげんなよっ吹き飛べやぁ!」
番傘の重さが増す。
「なっ!」
しかし、番傘は動かない。
変わりに和歌太郎の足元の地面が蜘蛛の巣のようにひび割れる。
“流水"
里石より学んだ衝撃を受け流す体術。
これによりスイートの1tにも及ぶ番傘の衝撃を地面へと受け流したのだ。
「これはフェライトステンレス鋼かな?表面には処理が施されているね」
和歌太郎は一瞬にしてスイートの番傘の鉄素材を当てる。
「何ブツブツ言ってんだよ!キモいんだよ!」
鉄製のブーツで蹴りを放つスイート
だが和歌太郎はそれを容易く避け
「曲げ!」
番傘を二つに折り曲げる。
スイートは舌打ちと共に折られた番傘をその場に捨て
残骸と化しているフォークリフトの方へ手を向けた。
すると
フォークリフトがスイートの方へと引き寄せられた。
それも高速でだ。
フォークリフトはスイートの前でピタッと止まると、次は和歌太郎の方へ弾丸が如く吹き飛んでくる。
「やばっ!」
どこかスイートな口調がうつった和歌太郎は、飛来する大小のフォークリフト部品を避けていく。
「嘘っ……」
全てを避けた和歌太郎
あまりの衝撃に言葉を無くすスイート
一方、和歌太郎はニンマリと笑う。
(なるほどね。この女のスキルはおそらく磁石だね。)
少ない攻防で和歌太郎はスイートのスキルの特性を看破した。
スイートのスキルは《磁性引力》と《磁性斥力》
共に磁力を操り金属性のものを反発、引き寄せる能力
先程のは番傘の反発力を利用した高速移動とフォークリフトを引き寄せてから反発させての攻撃もスキルによるものだ
それを一瞬で看破した和歌太郎は、金属製の剣を取り出さず、素手の体術で対応したのだ。
「マジムカつく……マジムカつくけど所詮てめぇは称号無し。称号を使ったあたしに勝てるわけないっつぅの!」
スイートはこのままでは和歌太郎に勝てないと思い、称号を発動させるようだ。
だが、そこに
「だぁめ~です~よ~。」
場のそぐわない間延びした男の声が割り込んできた。
(なんだ?)
和歌太郎は突如乱入してきたプレイヤーに目を向ける。
「女性は殴っちゃダメですよぉ~」
それは猫耳、メガネの天然男"ミシン"であった。
更にミシンの胸には和歌太郎と同じ"4"のナンバープレートが付いていた。
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