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4章
70話 再開
しおりを挟むマグマが沸沸と煮えたぎる火山ゾーン
今も噴火を繰り返す火山内には、溶岩流によって出来た大きな洞窟がある。
その洞窟内に宝玉3つの反応が集まっていた。
「暑いね……」
宝玉の反応を探り、洞窟内までやってきた和歌太郎
溶岩の肌を焦がすような灼熱の熱気に汗が水のように流れる。
火山内の洞窟は、ドーム並みに広く、あちこちにマグマが溜まり、ゴツゴツとした岩が立ち並んでいる。
加えて、洞窟内には硫黄の鼻腔をツンと刺激する臭いが充満し、和歌太郎の嗅覚が意味をなさない。
火山の煙と硫黄の匂いで一切の索敵が効かない状態のまま和歌太郎は進んでいく。
そして
「うん?」
和歌太郎の足が止まった。
前方数十メートルの位置
煙の中に人らしきシルエットが浮かび上がっている。
まだ距離が遠く、お互い共に姿が見えていない。
(誰だ……?)
和歌太郎は異次元BOXより剣を抜き、すり足で剣を構えたまま近づいていく。
それほどまでに慎重に近づいていくのは、煙の向こうにいる存在が放つ重圧ゆえであった。
(離れていても分かる。……かなり強い……そして、この気配…)
「ーーっ!!」
和歌太郎が煙の向こうに存在に意識を向けた時、和歌太郎の本能が警報を鳴らした。
「上かっ!」
頭上に大きな水の龍が大口を開けて迫ろうとしていた。
和歌太郎は横に全力で飛び込むように避ける。
水の龍が大地を抉り消え去る。
地面に1メートルほどの大きな穴が空いた。
(危ない所だった……)
和歌太郎は額の汗を拭い、剣を構える。
「いきなり攻撃とは……誰だよ!」
和歌太郎は攻撃してきた相手、けむりの向こうの存在に話しかける。
「……宝玉……寄越せ…」
返ってきたのは無機質な声
「姿を見せなよ!」
和歌太郎は爆発的な加速で煙の向こうの存在に斬りかかった。
"キンッ"
金属と金属の衝突音が響いた。
和歌太郎の剣が防がれたのだ。
剣の風圧により煙が晴れる。
明らかになる敵の姿
その姿を目にした和歌太郎は固まった。
「……"ヨーキ"…」
煙が晴れたそこに居たのは、和歌太郎と再開の誓いを立てたヨーキであった。
「いきなり攻撃って再会早々危なすぎない?」
「寄越せ、宝玉…」
「えーと、冗談キツすぎるよ…」
一切反応を示さないヨーキに必死に笑いを浮かべながら話しかける和歌太郎。
「宝玉、寄越せ…」
「……なんで」
和歌太郎の顔が悲しみと絶望に染まる。
剣を交えた時に既に分かっていた。
"ヨーキが操られている"という事に。
「宝玉を寄越せ」
まるで壊れたロボットのように何度も同じ言葉を繰り返すヨーキ
「伝わるよ…君が救いを求めているということに。じゃねければ、君がーー」
「涙なんて流すわけないじゃないか!」
ヨーキの目から一粒の涙が流れ落ちた。
「ヨーキとの戦いは宝玉を、願いを賭けてだと言ったのに!……でも、仕方ないよね!俺は君を倒して、君を救う。宝玉を集めて"全てを不幸を俺が無くしてやるんだ!」
和歌太郎は剣先をヨーキへと向け
「ーー最後の勝負だ」
高らかに言い放った。
ついに再開を果たした和歌太郎とヨーキ
だが待っていたのは悲しき現実
それでも尚、和歌太郎は一歩を踏み出した。
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