上 下
26 / 43
本編

23

しおりを挟む
「邪魔しないで?いつ私が邪魔したの?私はただ自分の身を守ってるだけよ」
「それが邪魔なの!!お姉様には早く死んでほしいの!!」
…敬語なくなった途端に死ね発言
兄様呼んでいいかな
ちょっとこれは私でも泣くぞ
「…魔王」
私は兄様を呼ぶのをやめて魔王を呼んでみた。
「なんだ?」
来んなよ
魔界の王だろ
「今すぐ倒していい?倒したら城って消える?ゲーム無くなる?」
「倒すのは許可しないし城も消えない」
「ちっ」
…魔王倒してこの国出る方が早いかなって思ったんだけど
私はとりあえず魔王の腹に短剣を突き刺した。
「よし」
「よしじゃない!!痛いだろう!!」
…そういいながら短剣を引き抜いてる魔王は凄いと思うよ?
「なんで根元まで刺さってたのに抜けるの?…もうちょっと深く抉んなきゃダメか」
「夫を殺そうとするな!!」
「夫じゃない!!後魔王を倒すのは当然!!」
「あら。お姉様にお似合いの方じゃない。穢らわしいお姉様は早く出て行ってくれない?これからお兄様とのイベントを起こすの」
…そうか
兄様が狙いか
「無理。だって兄様いなくなったら私死ぬし」
「だったら尚更どこかに行って」
「…兄様ぁ!!」
私は思いっきり叫んだ。
すると兄様は私の後ろに立っていた。
「呼んだ?」
「魔法…使ってないんだよね?」
「魔法?使えるわけないでしょ。さっきまで僕の部屋にいたんだから」
…兄様の部屋ってこの庭の向こう側じゃ…
私は後ろを振り返って兄様と顔を合わせた。
「兄様。私と妹。どっちが好き?」
「ユウニャ」
…即答ですか
「お兄様!!お姉様は穢らわしいの!!離れて!!」
「…ユウニャが?ユウニャに穢されるなら本望かな」
兄様はそう言いながら私に抱きついてきた。
「やめて。重たい」
「嫌」
「魔王。手を握らないで」
「嫌だ」
…両手に花ならぬ後ろと片手に変態…
「何よ何よ!!ヒロインは私よ!!」
「…ヒロインというより悪役じゃ…」
「お姉様が悪いのよ!!お姉様がいるから!!」
妹は魔王が引き抜いた短剣を拾い上げた。
まずい予感がする…
妹は予想通り私の腹にその剣を突き立てた。
…兄様と魔王がいなければ避けれたのに…
「「ユウニャ!!」」
…あ
魔王が初めて名前呼んだ
私はそんなことを考えながら床に座り込んだ。
…大丈夫
これぐらいじゃ私のHPは尽きないし
私は即座にアイテム欄を開き結晶を出した。
「痛い…」
ゲームと違うな…
やっぱり生身の体に受ける剣は…
私の手は震えて…結晶を使うことが出来なかった。
「ユウニャ!!すぐに医務室に!!」
「だ…大丈夫。これ使えば治るから…」
これを握りしめて…回復って言うだけだから…
「嫁。それにしてはさっきから同じことを繰り返しているように見えるが?」
「ち…違うの。ちょっと手が震えちゃって…」
…大丈夫
落ち着けば
私は結晶をやっと握りしめることが出来た。
「HP全回復」
パァァ
私の傷は瞬く間に塞がった。
「な…なんで!!」
「なんで?それは私がRPGゲームのランキング1位の紅月だからよ。このシィンクルオンラインのことは何でも覚えてるしあなたみたいな子には引けを取らないもの」
「騎士。アイツを捕らえろ。父様には僕から話しておく」
兄様…?
私は兄様に抱き抱えられていた。
「ユウニャ。傷は塞がってるみたいだけどちゃんと部屋で寝ようね」
「…安静にする必要はないのに…」
私は兄様に強制的に部屋に戻されてしまった。
「ユウニャはちゃんと寝てるんだよ」
「兄様は?」
「僕はちょっと用事があるからね」
…兄様の用事って怖いことしかないような…
優馬…早く帰ってきて…
私はベッドに腰掛けながらステータス画面を開いた。
「えっと…チャットは…」
…無い
私は落胆した。
はぁ…やっぱり無いか…
ステータス画面からチャットボタンが無くなっていた。
「ユウニャ。行ってくるね」
「あ。行ってらっしゃい~」
…は!!
笑顔で送り出しちゃったけど!!
…まぁ…大丈夫だよね
騎士の方々o(・`д・´。)ヵ゛ンハ゛レ !
「…優馬ぁ!!」
…転移結晶は無いし…フレンド追跡も出来ないだろうな…
「はぁ…」
妹に刺されるなんて経験…してしまった…
「…傷は塞がったしHPは回復してるし…私もクエスト行こっかな…」
私は窓から飛び降りた。
2階だけど問題なし
ゲームの補助があるからね~
「さて…魔王を倒すためのレベ上げってどこでやったっけな…」
ラドクリフ様の所は…ダメだな
見つかったら兄様に連絡が行く
…じゃあ…ガルマ大草原にでも行こっかな
私は走ってガルマ大草原まで行った。
距離?
ざっと150kmほど
「遠すぎる!!足疲れた!!」
…ぜぇ…はぁ
車並みに走ったんじゃないかな…
衛兵に見つからないように遠回りしたし…
もう…これ以上走りたくない…
私の目の前にホップラビットが現れた。
…レア度最高の…超級モンスター…
お肉……美味しいやつ…かな?
私はすぐさま武器を構えた。
狩る!!
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,627pt お気に入り:139

[完結]愛していたのは過去の事

恋愛 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:148

片思いの相手に偽装彼女を頼まれまして

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,883pt お気に入り:14

待ち人へ

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:0

婚約破棄されたけど前世が伝説の魔法使いだったので楽勝です

sai
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,435pt お気に入り:4,186

処理中です...