ゲームのキャラクターに転生しました!!さぁ!!未来を変えよう!!

本編

30

｢ふぅ…5分遅刻よ｡お姉様｣
｢ご…5分…くらい…いい…でしょ…｣
私は全速力で走ってきたため息を切らせながら椅子に座った｡
｢…はしたないわよ｣
｢わ…私には…関係ない…｣
｢関係あるわ｡お姉様には誰かと結婚してほしいの｡じゃないと…お兄様が暴走するよ？｣
｢それは嫌だ｣
…でも…兄様が暴走しなくていいような相手って誰？
う～ん
私は空を見上げてあることを思い出した｡
｢あぁ｡私優馬と婚約してたんだった｣
｢勇者と？無理無理｡捨てられるのがオチよ｡1番攻略が難しいやつなんだから｣
｢私…優馬とはゲーム友達だよ？｣
｢さすが不登校者｣
｢悪かったわね!!学校怖かったのよ!!｣
｢そこまでは言ってないのだけれど…まぁいいわ｡勇者と結婚するなら気をつける事ね｣
…ん？
何に？
｢必ずお兄様が障害になってくるわよ｡恋愛に壁はつきものって言うけれど…アレは行き過ぎよ｣
｢ごめんなさい…｣
私は目の前のクッキーを口に頬張った｡
｢懐かしい味がする…｣
｢前世のクッキーに近づけるようにしたのよ｣
…え？
これ…カーディナルお手製？
｢カーディナルお菓子作り上手いね｣
｢どうも｡…全くお姉様には女子力の欠片もないわね｣
｢ん？｣
｢付いてるわよ｣
カーディナルは私の頬に付いていた欠片を取ると口に入れた｡
｢…カーディナル…イケメン｣
｢あぁこれ？癖よ癖｡どうして私の周りにはこういう人しかいないのかしらね？｣
…こういう人ってどういう人だろ
私はそう思いながらメイドの入れてくれた紅茶を飲んだ｡
｢アップルティーだ…｣
｢それも調合したわ｡少しは前世のものを作ろうって気がないのかしら？｣
｢ないよ？ゲームの中だし…限りなく向こうに近いし…パソコンとかは魔王がくれるし…｣
｢周りの環境良すぎない？｣
｢そう？｣
これが普通だったんだけど…
カーディナルはカップを持って呟いた｡
｢私とは正反対…｣
｢そうなの？｣
意外だな
｢私元々はお金持ちの家の一人娘だったの｡だけど求められるのは頭の良さと礼儀正しさ｡家の中には味方は誰もいないし…唯一心を落ち着かせることが出来たのは眠る時だけだったわ｣
…かなり苦痛な空間
｢そんな時に乙女ゲームと出会ったのよ｡私もこんなふうに生まれてこれればよかったのにっていつも思ってたわ｣
｢乙女ゲームは禁止されなかったの？｣
｢許可してくれないなら家を出るって言ったもの｡親戚はほとんど高齢だし両親ももう1人子供を生むことは出来なかったのよ｣
…本当に正反対だ
家ほとんど勉強に関しては放任だったし
私はまたクッキーを1枚手に取った｡
｢…太るわよ？｣
｢ふぇ！？え！？｣
｢お菓子だもの｡砂糖も入っているし…お姉様気をつけた方がいいんじゃない？｣
｢で…でもその分運動すれば｣
｢でそれ以上に食べるのがオチ｣
｢うぅ…｣
私はクッキーをお皿に戻した｡
…ってあれ？
｢今から狩りに行けばいいんだ!!｣
私はガタッと立ち上がった｡
｢…また血まみれで戻るつもり？｣
｢うぅ…カーディナルの言葉がぐさぐさ刺さるよぉ…｣
私はまた椅子に座り直した｡
｢ダイエットしなきゃダメ？｣
｢油断してるとすぐにドレスが入らなくなるわよ｣
｢お菓子～!!カーディナルの手作りお菓子～!!｣
私は手足をバタバタさせた｡
｢少し持たせてあげるから落ち着きなさい｣
｢やったぁ!!｣
｢全く…どっちが姉よ｣
…だって前世の年齢はカーディナルの方が上だもん
私はまたクッキーを口に入れた｡
美味しい～
｢婚約の件はやっぱり優馬で変わらなさそうだったよ｣
｢婚約を急に解消なんて出来るわけなかったわね…でも他の人からも婚約の話が出ているんでしょう？｣
｢うん｡たくさん来てるって｣
｢全部処分されているでしょうね｣
そうなの？
そういう手紙って簡単に処分出来たっけ？
｢ユウニャ｡カーディナル｡こんな所にいたんだ｣
その時兄様が来た｡
｢兄様!!カーディナルのクッキー美味しいよ｣
｢ん｡ありがとう｡…うん｡カーディナル｡こんな才能があったんだね｣
｢当然よ｡女子力のために｣
｢…じゃあお菓子作りが出来ない私は女子力低いの…？｣
｢そういうこと｣
｢ふぇぇん!!｣
私は兄様に抱きついた｡
でも…でも!!
優馬はお菓子欲しいって言わないし!!
｢よしよし｡ユウニャはそのままで充分だよ｣
…シスコンの兄様の言葉は信じられないや
私は兄様から離れるとゴシゴシと涙を拭った｡
｢目を擦ったら傷がつくっていつも言ってるのに…｣
｢優馬の好きなこと…優馬の好きなこと…クエストクリア？｣
だったら冒険者ギルドを頼るかな？
｢う～ん…新しいクエスト出ないかな…｣
｢無理でしょ｣
｢出るもん!!シィンクルオンラインはクエストが多いことで有名なの!!｣
｢それってアプデ(アップデート)も多いってことでしょ？｣
…おっしゃる通りです
何度も止まるんだよね
アプデで…