不幸は幸福の始まり【完結】

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閑話~ダニエルの苦悩

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 ヴィクトリア王国の王、ルーカス様から呼び出され私が聞いた内容に頭を抱えてしまった。

「はぁ…ルーカス様から呼び出された時は、私が何かしてしまったのかと思ったのだが、まさか・・・だったな」

 ルーカスから勉強の合間に私室へ来て欲しいと聞かされ、何を言われるのか判らないまま向かい、それが父と弟が「やらかした」事の報告だったのだ。

「父上も父上だ。弟が可愛いからと言って、あそこまで甘やかすとは、後で母上から『きつい叱責(お仕置き)』をされても文句は言えないと判っておられぬのだろうな」

 母が療養して居る場所に向かう為の用意をしながらも、起きてしまった事柄を嘆くしかなかった。

「すまぬが、ヴィクトリアからヴァリューの療養地まで馬を借り受けられるだろうか?」

厩務員きゅうむいん(馬を管理する人物)に申し出ておきましょう。さすれば往復に耐えうる馬を貸して下さいましょう」

 ヴィクトリアは、私に対して王族としてだけでなく、我が子のように侍女や執事を付けて下された。

 だからこそ馬を望んでも、こうして願い出るだけで動いて貰える・・・有難い。

 さて、午後以降の講義を請け負って頂いて居る先生方は…

「ヴァリューの王子様、王様よりお出かけになられると伺っております。故に講義の心配は不要に御座います」

「(何たる手際の良さ)…それは御拝領いただいた事に感謝いたします」

 このような手腕こそ学ぶべき事柄。

 勿論、他にも学ぶべき事が多いからこその留学なのだが…こんな時に弟が…。

「レイラ嬢との婚姻は私を支えて貰う為の意味合いも有ると言うのに…男爵令嬢だったか?その者から何を吹き込まれたのやら」

 婚約破棄の現場に私が居合わせる事が出来て居れば、その場で弟を断罪できたのだが…。

「もしかして…ジョンは私が留学して居ると判った上で男爵令嬢から言われた事柄を実行した…?」

 有り得る…十分に有り得るな。

 ヴァリュー保養地に向かう為に着替えなければならないな。

「万が一、弟に出くわす可能性が有るのならば『視察』として出かけたと見せかける必要が有る…か?」

「そのような心配は不要かと存じます。ジョン王子様はサバンナと呼ばれる女性を伴いヴァリューへと、嬉々として戻られまして御座います」

「・・・それはナタリー様が仕掛けた『嘘』に食いついた…と言う事だな?」

「御意」

「はぁ…。馬鹿すぎる…」

 自分の弟では有るが呆れて言葉が続かないぞ。

 相手に騙されたか否かを把握できないまま「ナタリー様の夫」になれる訳も無いと何故、理解できぬのだ?

「それだけ浅はか・・・と言う事だろうな」

 一刻も早く動かなければ民が支援物資が届かない事で飢えてしまうな。

 母上が供給を拒むジョンを叱りつけて下さるよう願い出るとしようか
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