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王城編

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 王城2階…バルコニーが有る一角。

 そこへ兄で有るライと共にアレクは進み始めた。

「かなり緊張して居たね」

「えぇ、このような公式行事を見た事もなければ当事者になるなんて、
 考えられませんでしたから…」

 2人が並んで歩けば夫人たちから溜息が漏れる。

(何て素敵なんでしょう)(本当に)

(絵になるお二方ですわね)(娘が居たら婚約者候補にして頂きたいくらいですわ)

 うわぁ…何か嫌な予感しかしねぇぞ。

 確かに俺は身分が確定したばかりだが、王族で伯爵以上の女性が候補になりえるんだっけ?

 嫌だなぁ…。

「アレク?」

「いえ…ご夫人たちの声を拾ってしまいまして…
 狙われてしまった令嬢を思い出してしまいました」

「あぁ…アリア嬢の事だね。
 王都まで護衛しつつ向かってくれたからこそ、
 アレクが弟だと判ったんだけど複雑だね」

 バルコニーに出ると第二王子の顔を見ようと集まった人々から、大歓声が沸き上がる。

                ワー!第二王子様バンザイ!
             バンザーイ!バンザーイ!

 ライはアレクの後ろに立ち、アレクは照れ臭そうに手を振り、集まった人々を見回し、そして見つけてしまった。

 うわっ?!何でアイツらが?早馬で王都まで来たのか…狙われる心配しか無いな。

 チラリとバルトに目を向けるとバルトもネイサンたちを見つけ顔を顰めた。

 そしてライに耳打ちで

「ランフォース様、アレクを毛嫌いして居た危険人物が民衆の中に居ます」

 と告げた。

「第一は動かせぬから第二騎士団の団長に、それとなく知らせに行けるか?」

「やってみます」

 皆の視線はアレクに向いてる。

 ならば…とスッ…と身を屈め、警備を担当してくれる第二騎士団の団長へアレクが狙われる可能性が有る事を告げに向かう。


 * * * *

「マジか…あれアレクシスだよな?」

「あぁ、アレクだ。あんな煌びやかな衣装を纏って居るが孤児のアレクだ」

 憎たらしいライバルが煌びやかに着飾る姿を見て悔しさが一層、込み上げて来るネイサン。

 剣しか扱った事が無い事を悔やんだ。

 もし弓を扱う事が出来るのならば、アレクの命を容易く奪えるのに…と。

 勿論、アレクの周囲に飛来物が有ろう物なら、最速で撃ち落とされ捕縛される体制は整えられて居る。

 それにも関わらずネイサンは憎しみを持ち、アレクを襲撃する機会を伺う事にしたのだ。

「・・・騎士団の試験って未だ有ると思うか?」

「ネイサン?まさか騎士になるつもりなの?!」

「やめとけよ。
 騎士の試験って厳しいってウワサだし、
 第一から第四まで有るから
 何処に属するかすら判らないって言われてるだろ!?」

「それでもだ。それでも奴に近づく機会が欲しい」

「まさか…(暗殺するつもりか!?)」

 最後の言葉は流石に声に出せなかった。

 それでもネイサンはランドンの呟きを拾い

「あぁ、奴を亡き者にしてヤル!」

 と宣言してしまい、彼らの運命も動き始める事となった
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