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婚約編
65(ランフォースside)
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牢屋を見張ってくれる騎士からメモがライに届けられた。
「ランフォース様、
収監いたしました罪人が新たな計画を立てたらしいと、
もう1人の監視からメモを預かりました」
「ご苦労、断罪が決まった彼だね?」
「はい」
反省すれば多少の恩情を掛けるつもりで居たライだったが、ネイサンが会心しないと理解してしまう結果となった。
受け取ったメモは簡素ながらも判りやすい内容が記されて居る。
「ネイサン・暗殺計画・アレクシス殿下の動き方」
たった3種類の文言では有るが、ネイサンがアレクの動きを知った上で暗殺を決行しようとして居る事を把握するには十分だ。
「・・・彼の動き方を見て判った事だが、
騎士団に入り鍛錬すれば隊長級の腕は持って居るのに勿体ないな」
「ランフォース様…どうなさいますか?」
計画しただけなら処罰対象ではない。例え牢屋の中だからと言ってもだ。
だが、一度はアレクを襲撃しようとし、断罪の牢屋に収監された状態。
にも関わらず暗殺を計画して居る、と言う事は牢屋から「逃げ出す算段」を取って居る可能性が出て来たのだ。
「そうだね…監視の目を一度、除外して行動するかを見てみよう」
「それは…余りにも危険すぎませんか?」
「アレクの命が危険だと言うのは判って居るよ。
でもアレクの居室を彼が知って居るかな?」
「・・・あ・・・」
「知らないで動く事になれば必ず、
誰かが気づき騎士団に連絡しようとするよね?」
「確かに王城で働く者たちは、
皆が顔を知っております。
そこへ見知らぬ収監者と判る格好の男性が
徘徊して居れば不振がり、
城を見回って居る騎士に報告するでしょうね」
「そうなれば牢屋から逃げたと言う罪状も追加され、
斬首になるのは決定して居ても、
自覚して貰うには十分だろうからね」
本来なら牢屋で自覚させる為に収監して居たのだが、ネイサンは自覚するどころではなく、アレクに一層の恨みを重ねて暗殺すべく動く方へと考えてしまった。
「しかし…あの牢屋からアレクシス殿下の部屋まで、
どれだけの障害が有るかすら知らずに動くでしょうか?」
「仕向けられて居たとしても、
暗殺に意識が向いて居れば動きたくなるとは思うから、
影から監視する者を配置してくれ」
「はっ…」
ネイサンの計画を逆に利用し、断罪が確定して居るにも関わらずアレクを殺そうとするなど無駄な足掻きだと、知らしめるには十分すぎる案件となったのは言うまでも無い。
(それにしてもアレクが何故、
彼に恨まれる事になったのかは知ってみたい気がするが、
命を狙われ続けるのは王族としても見逃せないからな)
捕縛され問いただす為ライは、何時でも動ける体制を取りながらも執務をこなすのだった。
* * * *
ライから指示を受けた騎士は、流石の手腕に舌を巻いて居た。
(ネイサンとやらが暗殺計画したのを逆手に取り
確実な断罪を下せるよう動かれるなど、流石ランフォース様だ)
顔は平常心の仮面を被り、収監された者を監視する騎士へと指示を飛ばし、ライの思惑通りに事が運んで行く事となった
「ランフォース様、
収監いたしました罪人が新たな計画を立てたらしいと、
もう1人の監視からメモを預かりました」
「ご苦労、断罪が決まった彼だね?」
「はい」
反省すれば多少の恩情を掛けるつもりで居たライだったが、ネイサンが会心しないと理解してしまう結果となった。
受け取ったメモは簡素ながらも判りやすい内容が記されて居る。
「ネイサン・暗殺計画・アレクシス殿下の動き方」
たった3種類の文言では有るが、ネイサンがアレクの動きを知った上で暗殺を決行しようとして居る事を把握するには十分だ。
「・・・彼の動き方を見て判った事だが、
騎士団に入り鍛錬すれば隊長級の腕は持って居るのに勿体ないな」
「ランフォース様…どうなさいますか?」
計画しただけなら処罰対象ではない。例え牢屋の中だからと言ってもだ。
だが、一度はアレクを襲撃しようとし、断罪の牢屋に収監された状態。
にも関わらず暗殺を計画して居る、と言う事は牢屋から「逃げ出す算段」を取って居る可能性が出て来たのだ。
「そうだね…監視の目を一度、除外して行動するかを見てみよう」
「それは…余りにも危険すぎませんか?」
「アレクの命が危険だと言うのは判って居るよ。
でもアレクの居室を彼が知って居るかな?」
「・・・あ・・・」
「知らないで動く事になれば必ず、
誰かが気づき騎士団に連絡しようとするよね?」
「確かに王城で働く者たちは、
皆が顔を知っております。
そこへ見知らぬ収監者と判る格好の男性が
徘徊して居れば不振がり、
城を見回って居る騎士に報告するでしょうね」
「そうなれば牢屋から逃げたと言う罪状も追加され、
斬首になるのは決定して居ても、
自覚して貰うには十分だろうからね」
本来なら牢屋で自覚させる為に収監して居たのだが、ネイサンは自覚するどころではなく、アレクに一層の恨みを重ねて暗殺すべく動く方へと考えてしまった。
「しかし…あの牢屋からアレクシス殿下の部屋まで、
どれだけの障害が有るかすら知らずに動くでしょうか?」
「仕向けられて居たとしても、
暗殺に意識が向いて居れば動きたくなるとは思うから、
影から監視する者を配置してくれ」
「はっ…」
ネイサンの計画を逆に利用し、断罪が確定して居るにも関わらずアレクを殺そうとするなど無駄な足掻きだと、知らしめるには十分すぎる案件となったのは言うまでも無い。
(それにしてもアレクが何故、
彼に恨まれる事になったのかは知ってみたい気がするが、
命を狙われ続けるのは王族としても見逃せないからな)
捕縛され問いただす為ライは、何時でも動ける体制を取りながらも執務をこなすのだった。
* * * *
ライから指示を受けた騎士は、流石の手腕に舌を巻いて居た。
(ネイサンとやらが暗殺計画したのを逆手に取り
確実な断罪を下せるよう動かれるなど、流石ランフォース様だ)
顔は平常心の仮面を被り、収監された者を監視する騎士へと指示を飛ばし、ライの思惑通りに事が運んで行く事となった
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