溶ける背徳、秘め事の灯

春夏冬

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秘め事の結末

1

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晩春の柔らかな陽射しが校舎の窓から差し込み、廊下を温かく照らしていた。

あまねは職員室を出て、ゆっくりと歩を進める。

新学期が始まってしばらく経ち、校内には日常のリズムが定着し、空気も落ち着いていた。



──あの日から、すでに数ヶ月が経った。

清澄と再会し、流されるままに体を重ねた日。

「愛してる」と囁かれ、彼の気の済むまで抱き潰され、理性を失い、背徳と情欲に溺れた、苦くも甘い記憶が、今も鮮やかに胸に残っている。

かつて焦がれた初恋の人と密かに逢瀬を重ねる日々は、確かに幸福だった。けれど、教師と保護者という立場上、やはり倫理的に褒められる関係ではない。

そしてあの日以来、清澄から正式に「付き合おう」という言葉は一度もない。

名前のない関係であることに変わりはない。それでも会うたびに胸が高鳴り、体が自然に反応してしまう自分を、あまねは否定できなかった。


(こんな関係、続けてていいのかな……)


逃げ道を残した都合のいい今の関係に身を置いている自分と、会うたびに強くなる清澄への想い。

その間で、あまねの胸はずっとざわついていた。それでも、日常の中で清澄と会える時間を、心のどこかで楽しみにしている。


歩きながら、あまねは自分の感情と立場の制約の間で揺れる心を、どう整理すべきか頭の中で反芻していた。


頭の中をぐるぐると渦巻かせながら、あまねは今年度から担任を務めることになった新二年生の教室へと歩を進めた。

春も終わりが見え、学期も数ヶ月が経った頃。生徒たちの間には少しずつ日常が流れ、教室も自然な空気に包まれている。

「おはようございます」

あまねが声をかけると、生徒たちがそろって返事をする。

「おはようございまーす」

小さなざわめきや笑い声も混じり、教室は活気に満ちていた。あまねは軽く微笑み返し、教卓に立つ。窓から差し込む柔らかな陽射しを浴びながら、深呼吸を一つ。

HRが始まると、あまねは落ち着いた声で生徒たちに向き直った。

「いくつかお知らせがあります。まず、中間テストの時間割が出ました。廊下の掲示板に貼ってありますので、確認してくださいね」

「やば~」「もうそんな時期かよ」と、ちらほらと小さくため息やぼやきが漏れる。

「それから進路希望調査票ですが……まだ提出していない人は必ず今週中に提出してください。締切を過ぎると進路指導部に呼ばれるので、注意してください」

慌ててメモをとる数人の姿に、あまねは思わず小さく笑みを漏らした。


「報告は以上です。みなさん、今日も一日頑張りましょうね」


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