捨てられた男から召喚士の頂点へ:悪女ハーレムと共に王国を創る

Ryusasaki

文字の大きさ
3 / 5

第3話 我が総統

しおりを挟む

夜は静かだった。
この世界が自分をゴミのように扱ったことを考えれば、不自然なほどに。

カイトは黙々と食事を終えた。
頭の中では、起こったこと全てをまだ整理できていなかった。
目の前で、アーデルハイドは極めて丁寧に食器を洗っていた。
一つ一つの動作は完璧な軍人としての規律に満ちており、木の器さえも彼女に敬礼しているように見えた。

「お気分は如何ですか、司令官?」彼女は静かで正確な口調で尋ねた。

カイトはゆっくりとうなずき、空になった器を脇に置いた。

「…ああ。ありがとう。本当に。
誰かが見返りを求めずに…俺のために何かをしてくれたのは、いつ以来だろうか。」

アーデルハイドは静かに彼を見つめた。
その目に哀れみも冷たさもなかった。
あるのは揺るぎない意志、絶対的な忠誠、そして固い信仰だけだった。

「一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」彼女は背筋を伸ばし、正座して手を膝の上に置いた。

「ああ、どうぞ」カイトは少し興味を引かれて答えた。

「この世界で、あなたに一体何がされたのですか?
あなたをあの状態に追いやった貴族どもは、どんなゴミ屑だったのですか?」

カイトは唾を飲んだ。
話すのは容易ではなかった。
だが、初めて…誰かが本当に聞きたがっていると感じた。

「この世界に来た時…みんな俺にも、他の英雄たちが持ってるような何かを期待してた。
聖剣とか、眩しい魔法とか、伝説の能力とか…
でも、俺にあったのはこれだけだった。」

彼は光のない灰色のカードと、それを収める黒いグローブを見せた。

「中身が空っぽだって、役に立たないって、嘲笑されて…
それだけの理由で、『召喚の失敗作』として追い出された。」

アーデルハイドの目が細くなった。

「服もくれなかった。食べ物も。
あったのは笑い声と唾、それに『間違い』って言葉だけ。」

「他の召喚者は?」

「神々に祝福された英雄たち。
魅力的で、カリスマがあって、才能に満ちて…
騎士団に迎えられ、訓練され、宴会で饗応され…
その間、俺は厩舎で眠り、死なないように誰も見てない時に硬いパンを盗み食いしてた。」

重い沈黙が二人を包んだ。
ただ、火のぱちぱちという音だけが空気を破った。

カイトはうつむき、震える拳を握りしめた。

「じゃあ…なんで俺を召喚したんだ?
なぜ俺が…?
ただの虫けら以下になるためだけに?」

アーデルハイドはすぐには答えなかった。
完璧な動作で、ゆっくりと近づいた。

彼の前にひざまずき、思いがけず優しい手つきで彼の手を包んだ。

「システムから拒絶された者だけが…
新たなシステムを築けるのです。」

カイトは目を見開いた。

「隠れる必要はありません。
虫けらどもに敬意を乞う必要も。」

「それって…どういう意味だ?」

「立ち上がってください。
この腐った王国を捨て、共に何かを築きましょう。
我々の…新たな王国を。」

カイトは言葉を失った。

「『我々の』…王国?」

アーデルハイドは厳かにうなずいた。
彼女の声は重く、固い…まるで宣戦布告のようだった。

「あなたは指導者です。新秩序の声。
そして私は、あなたの剣であり、影であり…絶対的な信仰です。」

「アーデルハイド…」

「資源を集めましょう。我々の仲間をさらに召喚しましょう。
捨てられた土地を取り、辺境を支配し、追放者たちに目的を与えましょう。
世界が気づいた時には…もう手遅れです。」

カイトの心臓が強く鼓動し始めた。
胸の奥底から熱がこみ上げてきた。

「君は…俺の王国で何になる?」

アーデルハイドはもう少し身をかがめた。
彼女の顔は数センチまで近づき、その声には忠誠心…
そして名づけがたい何かが込められていた。

「あなたの補佐官。
あなたの勝利の建築家。
あなたの姫…もし、そうお望みならば。」

「君は…何だ?」

「あなたのフューレリン。
お許しいただければ。」

カイトは笑い声をあげた。
嘲笑いではなかった。
馬鹿げている…と同時に、美しかった。

「…君は完全に狂ってる。」

「私はただ、歴史に選ばれた者に従うだけです」彼女は誇らしげに答えた。

カイトは立ち上がった。
まだふらつきは感じたが、彼の目には確かな光があった。

「なら…決めた。
この腐った場所から出よう。」

アーデルハイドは革命の命令を受ける兵士のように、硬直して直立した。

「承知いたしました、司令官。
今日から…世界は変わります。
あなたの名を聞くだけで…震え上がる世界に。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

処理中です...