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23 【番外編1】 真白の合コン宣言
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「僕も学んだんだよ。朝日の邪魔ばかりしてちゃダメだよね」
真白は仁王のくせになんだか爽やかに笑いやがる。
「今更だけど、学生生活をもっと楽しむことにしたよ。ボク今まで朝日の周りばかりをウロついてて、きちんと学生生活を楽しんで来なかったことに気が付いたんだ。なにか新しいことでもしようかと思って。サークルでも入ろうかな。最近体も鈍ってきたから運動もしたいし。それにね」
真白はニッと笑った。
「今日は人生初の合コンに誘われちゃった。なんでも体験してみないとダメだよね。頑張ってくるね!」
な、なんだとぉ?
俺がすっかりネット中毒のボロボロ野郎になってる時にご、合コンだぁ?
そんなこと許されると思ってんのかよ。
いや、誰が許しても俺は許さないぞ!
でも別に俺に止める権利ないしな・・・
違う!羨ましいだけだ!合コンなんて全然行ってないから!
「真白!」
真白の同級生が教室の外から呼んでいる。多分次の授業があるんだろう。
「じゃあ、呼んでるから」
真白が友達の方に行こうと振り返った時。がしっ。
なぜか俺の手は真白のシャツをがっつり掴んでいた。
「何、さあちゃん?」
「・・・」言葉が出てこない。
「何?何か言いたいことでもあるの?」
「え?」言いたいこと?その時俺の頭に浮かんだ言葉を俺は必死で打ち消した。
(行きたいなら行けばいいだろ、合コンに行くななんて、思ってないから!!)
「授業だから、行くよ」
真白はそっと俺の手を外した。なんだか、めちゃめちゃ寂しい。
「あ、そうそう、朝日。シャツ染み付いてるよ?」
真白はニッと笑い、そのまま友人と一緒に別の教室に向かってしまった。
(な、なんだよ。なんだよこの気持ち。なんだか納得いかないぞ。超モヤモヤする)
俺は憮然としたまま、席に着いた。
そうだよ。こんなことやってる場合じゃない、レポート!
とりあえず、大慌てでレポートを作成し、ギリギリ指定された時間までには間に合った。
いや、この授業、いままで真面目に受けといて助かった。
でもレポートを出し終わるとやっぱりモヤモヤする。
あれほど魅力的だった動画三昧の自由な生活も、すっかり輝きを失ってしまった。
見下ろせば、胸元にはシミ。
情けないなあ。
まるで胸のシミが、俺が一人じゃ何もできないやつだって言ってるような気がする。
めちゃめちゃ気分が落ちてきた。
もしかして、そうなのかもしれない。おれ、もう真白がいないとダメなのかもしれない。
真白の狙い通り、あいつがいないとダメな人間になっちゃったのかもしれない。
そう思うと、合コンデビューをいちいち宣言してきた真白が、やたらと憎らしく思えた。
くっそぉ!なんで俺がこんなことで落ち込まないといけないんだよ!こういう時は酒だ酒!
俺だって飲みに行くぞ!
「青木!」
俺は青木の両肩に手を置いた。
「いいな、今日は飲むぞ」
「え?俺バイト・・・」
青木は突然の俺の勢いに絶句したのか、目が泳いでいる。
「まあ、でも気の毒なダチのためだ。仕方ない。今日は早番だから、それまで待ってるか?お前、臭いから、一度帰ってシャワー浴びて、着替えてこいよ。な?今のお前じゃ、新しい恋は裸足で逃げてくぞ」
なんだか、今日は青木の友情が胸に染みる。
俺、もしかして人恋しかったのかな。
いや、まさか、そんなはずないけどな!
*****************************************************
BL大賞参加記念のSSのはずが予定分量の2倍を超えてしまい、首を傾げています。
番外編1はもう少し続きます。
そして、本当は連投したいのですが、ちょっとしばらく続きを書く時間が取れるか不明です。
(身辺で事件がありまして)
必ず続きは書きますので、少々お待ちください。
続編公開で読んでいただいた方、初めましての方。
読んでいただきまして本当にありがとうございました。
続きを読んでいただけて、すごく励まされました。
お待ちいただいてすみません。完結までよろしくお願いします。
藍音 拝
真白は仁王のくせになんだか爽やかに笑いやがる。
「今更だけど、学生生活をもっと楽しむことにしたよ。ボク今まで朝日の周りばかりをウロついてて、きちんと学生生活を楽しんで来なかったことに気が付いたんだ。なにか新しいことでもしようかと思って。サークルでも入ろうかな。最近体も鈍ってきたから運動もしたいし。それにね」
真白はニッと笑った。
「今日は人生初の合コンに誘われちゃった。なんでも体験してみないとダメだよね。頑張ってくるね!」
な、なんだとぉ?
俺がすっかりネット中毒のボロボロ野郎になってる時にご、合コンだぁ?
そんなこと許されると思ってんのかよ。
いや、誰が許しても俺は許さないぞ!
でも別に俺に止める権利ないしな・・・
違う!羨ましいだけだ!合コンなんて全然行ってないから!
「真白!」
真白の同級生が教室の外から呼んでいる。多分次の授業があるんだろう。
「じゃあ、呼んでるから」
真白が友達の方に行こうと振り返った時。がしっ。
なぜか俺の手は真白のシャツをがっつり掴んでいた。
「何、さあちゃん?」
「・・・」言葉が出てこない。
「何?何か言いたいことでもあるの?」
「え?」言いたいこと?その時俺の頭に浮かんだ言葉を俺は必死で打ち消した。
(行きたいなら行けばいいだろ、合コンに行くななんて、思ってないから!!)
「授業だから、行くよ」
真白はそっと俺の手を外した。なんだか、めちゃめちゃ寂しい。
「あ、そうそう、朝日。シャツ染み付いてるよ?」
真白はニッと笑い、そのまま友人と一緒に別の教室に向かってしまった。
(な、なんだよ。なんだよこの気持ち。なんだか納得いかないぞ。超モヤモヤする)
俺は憮然としたまま、席に着いた。
そうだよ。こんなことやってる場合じゃない、レポート!
とりあえず、大慌てでレポートを作成し、ギリギリ指定された時間までには間に合った。
いや、この授業、いままで真面目に受けといて助かった。
でもレポートを出し終わるとやっぱりモヤモヤする。
あれほど魅力的だった動画三昧の自由な生活も、すっかり輝きを失ってしまった。
見下ろせば、胸元にはシミ。
情けないなあ。
まるで胸のシミが、俺が一人じゃ何もできないやつだって言ってるような気がする。
めちゃめちゃ気分が落ちてきた。
もしかして、そうなのかもしれない。おれ、もう真白がいないとダメなのかもしれない。
真白の狙い通り、あいつがいないとダメな人間になっちゃったのかもしれない。
そう思うと、合コンデビューをいちいち宣言してきた真白が、やたらと憎らしく思えた。
くっそぉ!なんで俺がこんなことで落ち込まないといけないんだよ!こういう時は酒だ酒!
俺だって飲みに行くぞ!
「青木!」
俺は青木の両肩に手を置いた。
「いいな、今日は飲むぞ」
「え?俺バイト・・・」
青木は突然の俺の勢いに絶句したのか、目が泳いでいる。
「まあ、でも気の毒なダチのためだ。仕方ない。今日は早番だから、それまで待ってるか?お前、臭いから、一度帰ってシャワー浴びて、着替えてこいよ。な?今のお前じゃ、新しい恋は裸足で逃げてくぞ」
なんだか、今日は青木の友情が胸に染みる。
俺、もしかして人恋しかったのかな。
いや、まさか、そんなはずないけどな!
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BL大賞参加記念のSSのはずが予定分量の2倍を超えてしまい、首を傾げています。
番外編1はもう少し続きます。
そして、本当は連投したいのですが、ちょっとしばらく続きを書く時間が取れるか不明です。
(身辺で事件がありまして)
必ず続きは書きますので、少々お待ちください。
続編公開で読んでいただいた方、初めましての方。
読んでいただきまして本当にありがとうございました。
続きを読んでいただけて、すごく励まされました。
お待ちいただいてすみません。完結までよろしくお願いします。
藍音 拝
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