そうです。私がヒロインです。羨ましいですか?

藍音

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1 聖女開眼

14 マーシャさんとの相談

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父との再会翌日の朝。
マーシャさんが暖かいスープとパンと野菜を持って、小屋を訪ねてくれた。
うーん、今日のご飯も美味しい。

食事をとっていると、マーシャさんが気遣わしげにこちらをみている。

「どうしたの?」
「あの‥‥‥」
「?」
「昨日は、申し訳ありませんでした!」
「え?」
「昨日、お嬢様がデボラさんに殴られて、怪我をしたと旦那様に伺いました。
お守りしなくてはいけなかったのに、私、怖くなってしまって‥‥‥」

マーシャさんの手が小刻みに震えている。
心なしか、身体も震えているようだ。

「ふう」私は息を吐いた。

「仕方ないよ。昨日のデボラさん、怖かったもん」
「でも、お嬢様をお守りしなければならなかったのに‥‥‥」

「マーシャさん」

私はマーシャさんの目を見て話しかけた。

「それは違いますよ。昨日は、私の専属侍女ではなかったですし、私を守る義務まではありませんでした。
なので、自分を責めないで」
「お嬢様‥‥‥」
「じゃあ、もし、悪いと思ったなら、次に同じようなことがあったら、急いで誰かを呼びに行ってください」
「お嬢様‥‥‥分かりました!このマーシャ、命に変えても、急いで助けを呼びに行って参ります!」
「ありがとう」

マーシャの優しさが、嬉しい。私はにっこりと笑った。

「あ、でも!もうあのようなことは起きないと思います!今朝、旦那様が、奥様、ぼっちゃまと使用人一同をお集めになられて、二度とお嬢様に手出しをしないように。命令に背いた者は屋敷から追い出すと宣言されました。」
「そう、あの人が‥‥‥」

「父」という名のあの人にも、少しは情があるのだろうか。
でも、それを信じるのはまだ怖いような気がする。
心を預けすぎて裏切られれるのは、怖い。

「奥様も了承されました。しばらくはこちらでお過ごしになり、タイミングをみてお屋敷に戻られるとも伺いました」
「ふーん‥‥‥」

そうなんだ。それは知らなかった。
もう少し、許される限り、様子を見ていこう。

「ところで、今朝はお食事をお持ちしましたが、昼食と夕食はいかがなされますか?また、これからは男爵家のご令嬢として、家庭教師に学んでいただく必要があります。ぼっちゃまとご一緒の授業もあると伺っております。おそらく、後ほど家令からお話しすることになると思いますが」
「そうなんだ‥‥‥朝食はどうしたらいいの?あと、他の食事も」
「男爵家の方々は、朝食と昼食は各自別々にお取りになっていらっしゃいますが‥‥‥夕食は、旦那様がお留守でない場合は、ご家族がお揃いになって召し上がっています」

うーん。正直、あの家族ひとたちと一緒に食事をするのは、まだ怖い気がする。
味がしない、確信しかない。
思わず、うつむいてしまう。

「お嬢様‥‥‥もし、ご心配なら、少し、様子を見られては?そう、まだお食事の時にお召しになるドレスもありませんし。今日これから仕立屋が参ります。男爵家の令嬢として相応しい服がありませんから、最初は出来合いのものをお直しすることになります。少しだけゆっくり、お直しをしてもらえるように、仕立屋に頼んでみましょう。」

いたずらっ子のように、笑いながら、マーシャが唇の前に「ナイショ」と指を立てる。

ありがとう!わかってくれてる!

「うん!」

うれしい!もう一つ、頼んでみてもいいかな?

「あの、朝ごはんはこの間のように、みなさんと一緒に食べてもいいですか?」

ずっと1人のご飯は、やっぱり寂しい。

「わかりました。家令のマクシムさんと相談しておきます。上手く言っておきますね。なるべく、お嬢様のご希望が叶うように」
「ありがとう!」

その後、少し話し合って、朝食は昨日のように使用人さんたちとご一緒させてもらうこと、昼食は朝にお弁当を作ってもらうこと、夕食はしばらく慣れるまでの間は、別に取らせてもらうことになった。
後で、家令のマクシムさんに話してくれるって。
よかったあ。

で、この後、仕立屋さんにグリグリとあっちを引っ張り、こっちを引っ張りこねくりまわされて、くったくたになっちゃったのはまた、別の話。

__________________________

お読みいただきましてありがとうございました。
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