そうです。私がヒロインです。羨ましいですか?

藍音

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3 ヒロインへの道

114 聖女パワー?

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いや、でもね!!
とうさまには強がっちゃったけど!

聖女として力を尽くすって、どうしたらいいの?
カッコつけちゃったけどさあ。

でも、いつまでも逃げ回ってはいられないのも事実。
教団からは、聖女として認定を受けるようにせっつかれてるけど、成人まではなんとか、と待ってもらっている。
なぜって、聖女として認定されたその時から普通の生活ができなくなるから。

聖女は毎日早朝に起きて、神殿の中の聖なる泉で体を清めてから、世界の安寧のために祈りを捧げる。もちろん冬でも水だよ?温泉じゃないから。
そして、その後は救いを求める人たちに謁見。
昼少し休んだらまた謁見。
その合間に教典の勉強。
夕方また沐浴して体を清め、夜はまた祈りを捧げる。
その後今度は過去の聖女の偉業について研究。自分でやりたい研究があればこの時間を使って研究してもいいみたい。
質素な夕飯のあと少し体を休め(この時間本を読んでもいいんだって。もちろん教典系の)、また深夜に礼拝。

なんか‥‥‥人生何が楽しいんだろって生活だよね?
まだ若いんだけど私。
あ、言うまでもないけど肉食禁止ね。
基本、食事は固いパンみたいなやつとか、野菜のスープとかが多いみたい。
スープに浸せばパンも柔らかくなるから!って感じ。
初めて聖女の生活を聞いた時には愕然としたわ。
お祈りマシーン兼相槌マシーンって感じじゃない?
これじゃ聖女の成り手なんていないよね?

ただ、ひとつの救いは聖女に自由意志が認められていること。
聖女が不幸だと、世の中が乱れるから、教会から外に出たいって望めば出られるんだって。
かつて教会に身を捧げた聖女もいたけど、どちらかというと少数派で、祈りは捧げるけど外での生活を望んだ人が多かったらしい。
そりゃそーだよね。
ちなみに外では食べたいものを食べてもいい。

そして、私の場合は一応王族の婚約者なので、王族とみなされて、教会に強制的に入らされることはないんだって。
流石の王族パワーだね。
教会の人たちからは早く聖女認定されて教会に入れよ!ってプレッシャーをひしひしと感じていたけどね。

たださあ、私聖女として何をすべきなのか、分からないんだよね。
そのひとがどういう人かわかるって言う程度の能力しかないし。
ゲームの聖女もそうだったんだろうか。んなわけないか。
癒しの力でもあればなあ。

私は部屋に置かれている花瓶の花に手をかざしてみた。
手のひらに目一杯のパワーを集めるイメージをして‥‥‥

(いでよ、ひーりんぐぱわー!!)

‥‥‥

なにもおこらなかった。‥‥‥残念。

「あーやっぱだめかー。いや、もしかして人間相手なら違うかも?」

やっぱこう言う時は、セオドアだよね!!

私はセオドアの部屋に走っていった。

「セオドア、セオドア!!」どんどんと部屋のドアを叩く。

「騒がしい」
「ごめんごめん、ちょっと話、というか協力してほしいことがあって」
「なんか、ロクでもない予感しかしない」
「そう言わずに」

無理やりセオドアの部屋に入り込んで、セオドアの手を握った。

「ね、なんか伝わってこない?」
「なんかって何」
やっぱりか。
セオドアは私の勢いに押されて後ずさった。

「じゃ、どっか痛くない?」
「はあ?」
「どこか、悪いとこ無い?」
「なんだよ」
「どこか、痛いとか悪いとかあったら、私が癒してあげる!」

セオドアが胡乱げに私の顔をみた。

「いや、結構」
「ええーー、セオ冷たいよー、どっか無いの?肩凝ったとか首凝ったとか」
「年寄りじゃあるまいし」
「怪我してない?」
「してない」
「もう!聖女の癒し、無料だよ?家族割引で」
「今ほっといてくれたら癒し効果抜群だけど」
「けちーーー」

セオドアは呆れたようにため息をついた。

「なんだよ。今度は何を始めたの?」
「いやあのさあ、ほら、私聖女みたいだし?もしかして知らないだけで癒しの力とかないかなあって」
「あほか」
「あるかもしれないじゃん!試させてよ」

「あ、の、ね!?僕はこのままで十分完璧なの!スーがなんかしておかしくなったらどうするんだよ」
「おかしくはならないよ。悪くて美人さんが普通の人になるぐらい」
「冗談じゃない!」

危うく部屋から追い出されそうになった。なんで試させてくれないのよ、セオのけちー!!
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