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3 ヒロインへの道
115 聖女って何したらいいの?
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「で、王太子殿下と正式に婚約を結ぶ約束をしたから、聖女として覚醒しようとしたってこと?」
「ちょっと、はしょりすぎだよ、セオ~」
「はしょったってはしょらなくたって結果は同じでしょ」
「でもほら気分とかさあ」
「はいはい」
セオドアは呆れ顔でソファーに座り、私も座るように手で促した。
セオの向かい側にちょこんと座る。
「私も、何かの役に立てないかなって思って‥‥‥ハル様とか、ハル様とか、ハル様の」
ソファーの椅子に指先でのの字を書いた。
「色ボケかよ」
「なんで乙女心をわかってくれないのさ」
「むしろ、なんで僕がわからなきゃならないのさ」
「たしかに」
兄弟だもん、そんなもんだよね。
「うーん、でもさあ、私やっぱり誰かの役に立ちたい。せっかく聖女だって言われてるのに、ただ座ってお茶飲んでるだけでいいのかな。正直荷が重いって思うことがないわけじゃ無いけど、でも、やっぱり、何かできないかな」
「確かにね。それはあるよね」
セオドアはしばらく考え込んだ。
私も一緒に考え込む。
「うーん、何も思いつかない」
「僕も‥‥‥人の役に立ちたいなら、立ってきたらいいんじゃない?とりあえず」
「ん?」
「ヴィー様の孤児院の床でも掃いてきたら。役にたつじゃん」
「なるほど!そうだね!じゃ、今から」
「明日にして。こんな夕方から出かけさせて、王太子にバレたら僕がシメられる」
「大丈夫だよー」
「絶対だめ。怒るとめっちゃおっかないんだから。相変わらず、ブレないね、スー」
セオドアに止められてその日は行けないことになったけど、明日は朝から、孤児院の手伝いに行こう!
翌日の朝、早速孤児院のお手伝いに行った。
朝食後すぐにいったのに、もうデボラが忙しそうに働いていた。
子供達の食器を下げたり、着替えを集めたり、トイレに連れて行ったり‥‥‥
デボラが申し訳なさそうな笑みを浮かべて言った。
「朝のこの時間は忙しいんですよ。お構いできなくてすみません」
「いえ、あの、客ではないので、お気にならさず‥‥‥」
慌てて言って、周りを見回すと、子供達は‥‥‥10人以上はいそうだな。
みんな小さい子ばっかりだ。一番上の子が7歳くらい?
あ、でも大きい子も何人かはいるみたい。デボラの指示でみんな忙しそうに働いている。
うん、仕事はいくらでもありそうだ。
「あの、何かお手伝いできることはありませんか」
「いえいえ大丈夫ですから」即答。
「そう仰らずに、何か‥‥‥」
しつこく食い下がった瞬間、後ろでガシャン、と何かが割れる音が聞こえた。
「きゃー」
「うわーん」
「つめてー」
振り向くと、テーブルの上にあった水差しとコップが床に落ちて割れていた。
床は水浸しで、水がかかっちゃった子がいるみたい。
近くにいる女の子がそっとガラス片に手を伸ばした。
「アイラ、触らないで」
デボラが叫ぶと、アイラと呼ばれた女の子は手を伸ばしたまま、びくりと体を震わせ、そのまま泣き始めた。
デボラが近づき、アイラをさっと抱き上げた。
「泣かないでいいのよ、アイラ。わざとじゃないんでしょ?」
「うん」
「じゃ、仕方ないじゃない。形あるものは壊れるものよ」
「う、うん。ごめんなさい」
「大丈夫よ。なんともないからね」
優しい声を聞くと、アイラはデボラの肩に顔を埋めて激しくしゃくりあげた。
デボラって、こんな人だったんだ。
あの、おっかなかったデボラはもしかして、愛情深い人だったんだろうか。
いや、もちろん暴力は絶対だめだけど、なんか、この人って思っていた人と違う。
デボラがアイラの背をとんとんと優しく叩くと、アイラも落ち着いてきたのか、涙が止まったみたい。
「お嬢様、それでは、ガラス片を箒で端に寄せていただけますか」
デボラが箒の場所を指で指した。
「他の子供達が触れないように寄せてくださると助かります」
「任せてください!」
「くれぐれも、ガラスに触ったりなさらないでくださいね。お手に傷でもつけたら取り返しのつかないことになってしまいますので。どうか、お願いします」
「はい」
確かに。平民のデボラが自分の仕事を手伝わせて貴族の令嬢兼王太子の婚約者に怪我でもさせたら大変なことになってしまうだろう。
私もわきまえないと。
大人しく、床を掃きながら、もっと何か役立てることはないかと考え始めた。
部屋の中では、他の子の髪をひっぱっている子、コップの水を飲んでいる子、ゴロゴロ転げ回っている子、なんか‥‥‥自由だな。
この子たちって、日課が決まってるのかな。
もし決まってたら、何か手伝えるかな。
「ねえ」
私は近くにいた利発そうな男の子に声をかけてみた。
「この後やることって決まってるの?」
「この後は洗顔と歯磨きをして着替えたら、ヴィー様が本を読んでくださるんだ」
「そうなのね。みんなは何してるの?」
「言われるまで待ってる。自分が何をするのかわかってない子もいるし。僕はわかってるけど」
男の子は胸を張って自慢した。
「そうか、わかってて偉いね」
褒めると男の子は目を輝かせ、嬉しそうに笑った。
(僕はわかってる‥‥‥わかってない子もいる‥‥‥どうしたら、助けになれるのかな‥‥‥うーん)
私は子供たちを見回した。
(小さな子‥‥‥どうしたら‥‥‥?‥‥‥もしかして?)
やってみようか。
私は子供を見回した。
********************************************************
すみません。ストック切れです。明日もしかしたら更新できないかもしれません。
その時はごめんなさい。
「ちょっと、はしょりすぎだよ、セオ~」
「はしょったってはしょらなくたって結果は同じでしょ」
「でもほら気分とかさあ」
「はいはい」
セオドアは呆れ顔でソファーに座り、私も座るように手で促した。
セオの向かい側にちょこんと座る。
「私も、何かの役に立てないかなって思って‥‥‥ハル様とか、ハル様とか、ハル様の」
ソファーの椅子に指先でのの字を書いた。
「色ボケかよ」
「なんで乙女心をわかってくれないのさ」
「むしろ、なんで僕がわからなきゃならないのさ」
「たしかに」
兄弟だもん、そんなもんだよね。
「うーん、でもさあ、私やっぱり誰かの役に立ちたい。せっかく聖女だって言われてるのに、ただ座ってお茶飲んでるだけでいいのかな。正直荷が重いって思うことがないわけじゃ無いけど、でも、やっぱり、何かできないかな」
「確かにね。それはあるよね」
セオドアはしばらく考え込んだ。
私も一緒に考え込む。
「うーん、何も思いつかない」
「僕も‥‥‥人の役に立ちたいなら、立ってきたらいいんじゃない?とりあえず」
「ん?」
「ヴィー様の孤児院の床でも掃いてきたら。役にたつじゃん」
「なるほど!そうだね!じゃ、今から」
「明日にして。こんな夕方から出かけさせて、王太子にバレたら僕がシメられる」
「大丈夫だよー」
「絶対だめ。怒るとめっちゃおっかないんだから。相変わらず、ブレないね、スー」
セオドアに止められてその日は行けないことになったけど、明日は朝から、孤児院の手伝いに行こう!
翌日の朝、早速孤児院のお手伝いに行った。
朝食後すぐにいったのに、もうデボラが忙しそうに働いていた。
子供達の食器を下げたり、着替えを集めたり、トイレに連れて行ったり‥‥‥
デボラが申し訳なさそうな笑みを浮かべて言った。
「朝のこの時間は忙しいんですよ。お構いできなくてすみません」
「いえ、あの、客ではないので、お気にならさず‥‥‥」
慌てて言って、周りを見回すと、子供達は‥‥‥10人以上はいそうだな。
みんな小さい子ばっかりだ。一番上の子が7歳くらい?
あ、でも大きい子も何人かはいるみたい。デボラの指示でみんな忙しそうに働いている。
うん、仕事はいくらでもありそうだ。
「あの、何かお手伝いできることはありませんか」
「いえいえ大丈夫ですから」即答。
「そう仰らずに、何か‥‥‥」
しつこく食い下がった瞬間、後ろでガシャン、と何かが割れる音が聞こえた。
「きゃー」
「うわーん」
「つめてー」
振り向くと、テーブルの上にあった水差しとコップが床に落ちて割れていた。
床は水浸しで、水がかかっちゃった子がいるみたい。
近くにいる女の子がそっとガラス片に手を伸ばした。
「アイラ、触らないで」
デボラが叫ぶと、アイラと呼ばれた女の子は手を伸ばしたまま、びくりと体を震わせ、そのまま泣き始めた。
デボラが近づき、アイラをさっと抱き上げた。
「泣かないでいいのよ、アイラ。わざとじゃないんでしょ?」
「うん」
「じゃ、仕方ないじゃない。形あるものは壊れるものよ」
「う、うん。ごめんなさい」
「大丈夫よ。なんともないからね」
優しい声を聞くと、アイラはデボラの肩に顔を埋めて激しくしゃくりあげた。
デボラって、こんな人だったんだ。
あの、おっかなかったデボラはもしかして、愛情深い人だったんだろうか。
いや、もちろん暴力は絶対だめだけど、なんか、この人って思っていた人と違う。
デボラがアイラの背をとんとんと優しく叩くと、アイラも落ち着いてきたのか、涙が止まったみたい。
「お嬢様、それでは、ガラス片を箒で端に寄せていただけますか」
デボラが箒の場所を指で指した。
「他の子供達が触れないように寄せてくださると助かります」
「任せてください!」
「くれぐれも、ガラスに触ったりなさらないでくださいね。お手に傷でもつけたら取り返しのつかないことになってしまいますので。どうか、お願いします」
「はい」
確かに。平民のデボラが自分の仕事を手伝わせて貴族の令嬢兼王太子の婚約者に怪我でもさせたら大変なことになってしまうだろう。
私もわきまえないと。
大人しく、床を掃きながら、もっと何か役立てることはないかと考え始めた。
部屋の中では、他の子の髪をひっぱっている子、コップの水を飲んでいる子、ゴロゴロ転げ回っている子、なんか‥‥‥自由だな。
この子たちって、日課が決まってるのかな。
もし決まってたら、何か手伝えるかな。
「ねえ」
私は近くにいた利発そうな男の子に声をかけてみた。
「この後やることって決まってるの?」
「この後は洗顔と歯磨きをして着替えたら、ヴィー様が本を読んでくださるんだ」
「そうなのね。みんなは何してるの?」
「言われるまで待ってる。自分が何をするのかわかってない子もいるし。僕はわかってるけど」
男の子は胸を張って自慢した。
「そうか、わかってて偉いね」
褒めると男の子は目を輝かせ、嬉しそうに笑った。
(僕はわかってる‥‥‥わかってない子もいる‥‥‥どうしたら、助けになれるのかな‥‥‥うーん)
私は子供たちを見回した。
(小さな子‥‥‥どうしたら‥‥‥?‥‥‥もしかして?)
やってみようか。
私は子供を見回した。
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その時はごめんなさい。
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