天使のように可愛い私と可愛くないお姉ちゃんの話

藍音

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9 ものすごく怒られました

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こんばんは、クラリスです。大ピンチです。

そこにいたのはグレッグだった。

「おい、お前、聞いてるのか?女が一人で酒場に来るなんてどういうつもりだ。商売女か自分で自分の身を守れる冒険者でもなければ、酒場に一人で来るもんじゃないって知らないわけないだろ?」

なんだか、すごい勢いで説教が始まってしまった。
私は、そっと目を伏せる。ど、どうしよう‥‥‥


「しょうがねーな。家まで送ってやる。こんなラッキーはもう2度とないと思え。いいな。2度と一人でこんな時間に酒場に来るんじゃないぞ」

グレッグは黙り込む私に困り果てたようにため息をつく。

「ほら、家まで送ってやるから、家はどこだ?」

どどどうしよう。でもここでグレッグに見捨てられたら、まじでやばいってことは私にもわかる。
私が思っていたよりもずっと夜は危険だったみたいだ。

お兄ちゃんたちもお姉ちゃんも一生懸命私を守ってくれてたのはそういうことだったんだ。

「ごめんなさい‥‥‥」私は頭からスカーフと落とし、顔からハンカチを外した。
「こんなに危険だとか、思わなかったんです‥‥‥」

「えっ?クラリス?嘘だろ‥‥‥」
グレッグが藍色の目を見開いた。

「おいおい‥‥‥」グレックが絶句している。呆れられちゃったよね。

私はしょぼんと肩を落とすと勇気を振り絞って声を出した。

「あの!理由は!あるんです‥‥‥」どんどん声が小さくなっていく。

グレッグがふと我に返ったように私の頭にスカーフをかけて私の姿を隠した。

「とにかく、無事に家に帰らせないとな。」

声色が優しくなった。なんだか心臓が飛び出そうに暴れ出した。そういえば、心臓の調子が悪いんだった。

グレッグは私のことを自分の大きな影に隠しながら、宿の部屋まで連れて入ってくれた。

あちこちで見つかりそうになりながら、グレッグの大きな体に隠されてなんとか2階のグレッグの部屋まで帰り着いた時には二人とも精神的な疲労でぐったりとしてしまった。

グレッグは微笑んでこの部屋で一番柔らかい座る場所だからな、と私にベッドを勧め、自分は硬い木の椅子に腰掛けた。

そして「ちょっと、ほとぼりを冷まそう」グレッグはそういうと、部屋に備え付けのマグカップにお湯を入れてくれた。「何にもなくてごめんな」、と。

いえ、そんな、助けてもらったのにすみません。私は心の中で謝りながらお湯をすすった。あったかい‥‥‥

「さて、理由とやらを聞こうか」グレッグが藍色の瞳を細める。

「はいいい‥‥‥」

私のピンチはまだ終わってなかった‥‥‥もう仕方ない。覚悟を決めて話し始めた。




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