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8 第1回プロに学ぶ会 2

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こんばんは。クラリスです。
まだ、ターゲットに辿り着いていません。

ありゃ、またお姉さんが今度は騎士さんと一緒に酒場を出て行っちゃった。
えー‥‥‥

でもまだ一人いますから、もうちょっと頑張ります。とりあえず、酒場の奥まで高速ハイハイでたどり着きましたが、そこからが難関です。
あいつらがいた‥‥‥
今朝の痩せ型の魔法使いと熊男だ。お姉ちゃんの悪口言ってたからちょっと‥‥‥いやかなり苦手。

なんとか見つからないように・・・見つからないように‥‥‥とそろそろつま先歩きで移動しようしたところ、スカーフのふさが熊男の服についていたボタンに絡まってしまった!
ど、どうしよう。

「あー、なんだあ?」熊男が振り返る。うわ、超酔っ払ってる。まずい。
「女かあ?なんだあ?可愛ければ買ってやってもいいぞぉ」

いいです、いいです、結構です、可愛いけど、いいですから!
売ってませんから!

私は心の中でブンブンと首を振った。ヒイイ、やばいいい。

「ん?なんだ女か?」痩せ型の魔法使いも興味を示す。
「なんだ、お前?二人同時に相手できんのか?なんかちっちぇーけど。」

できません、できません、できませんったらぁ
なんだかこわいー!

「意外とこういうのがやり手だったりするんじゃねーか?」熊男はエールを飲み込むとゲフッとゲップを履いた。

いやだああ、もお、汚いいいい
無理無理無理、調査終了します。今日はもう帰って寝ますから、ついて来ないでください!!!

「おー、どうなんだよ?いくらだ?一人づつか?それとも同時か?」

もおやだあああああ、気持ち悪いいいいいい
意味も分からないし、汚いし、臭いし、もおやだあああ

私は必死になって首を振ると、引っかかったスカーフのふさをぐいっと引っ張った。
熊男がぐらっとよろける。

「お、なんだ積極的だな」

熊男は上機嫌で私のことを引き寄せると顔を覗き込んだ。

「ん?なんか妙に可愛くないか?」

いや、可愛いけど!可愛いけど!違いますから、今日に限って可愛くありませんから!!!

いやだーーー助けて、助けてお姉ちゃんーーーー!!!

そう心の中で叫ぶと、ぐいっと私の手を引く人がいた。

「お前、ダメだろここに入ってきちゃ。ちゃんと、馬の世話はしたのか?」

騎士の制服を着たその人は愛想よくにっこりと笑って二人の冒険者に話しかけた。

「どうもすみませんね。こいつ今日道端で拾ってきたばかりの小僧なんですよ。馬の世話をするように言いつけたんですけど、ここでつまみ食いでもしようとしたのかな。よく言って聞かせますから。
いや、碌な服がなくてね、とりあえずあった服がこんな女物しかなかったんですよ。紛らわしくてすみません。」

そういうと私を二人の目から隠すようにして話しかけてくる。

「ダメだぞ、ジョン、ほら、外に出ろ」

も、もしかして助かったのかな‥‥‥
私は目深にかぶったスカーフで誰だか分からない騎士さんに連れられて、小突かれながらも酒場から脱出することができたんだ。

酒場から出ると、騎士は私の手をぐいっと引いて物陰に引き込んだ。え、私大丈夫?

「おい、お前、女だろ。危ないじゃないか、あんなところに一人でいて。相手がかなりの酔っ払いだったから逃げられただけなんだからな」

私はビクビクしながらスカーフから目をあげた。

騎士服のボタンに沿って目をあげていく。あれ、背高いな。

夜空にきらめく金髪に藍色の瞳‥‥‥‥‥‥グレッグ!!!


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