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13 夜の宿屋

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目を覚ますとグレッグの部屋のベッドに寝かせてもらっていた。

椅子に座っていたグレッグは私が目を冷ましたことに気がつくと、すぐにベッドに近寄ってきた。

「ごめんな」グレッグが申し訳なさそうに言う。
「なんか、俺、焦っちゃったんだな」

うん、大丈夫です。

「起きられそうだったら、部屋まで送るから」
「ありがとう」

私は部屋に大人しく帰ることにした。
私の中にいた暴走機関車は自分のお家‥‥‥車庫?に帰ってくれたみたい。
相変わらずグレッグの目を見ると心臓はいつもより元気に動いてるけど、少し落ち着いた様な気もする。

グレッグも私も夜明けと同時に起きなきゃいけないし、騎士さんは体力を確保しないと、倒れたりしたら大変だもんんね。
今、一体何時なんだろう。こんな時間まで起きてたことないし、ましてや部屋から出たことなんてないから分からないや。

私は頭から被っていたストールを肩にかけてもらうと、グレッグと一緒に静かに部屋を出た。

もう、食堂も閉店したみたい。うちの食堂は朝から営業しているから、そんなに遅くまではやってないんだ。
一晩中遊びたい人は、専門のお店に行くんだって。

宿はしんと静まり返っている。

私は従業員用のスペースにグレッグと一緒に体を滑り込ませた。
屋根裏部屋に上がるためのはしごを立ててもらってついでに片付けてもらおうと思って。

静かな廊下を進むと、どこからか唸り声が聞こえてきた。
なんか、軋むような音もしている。

誰か体調でも悪いのかな?

ギシ‥‥‥ギシ‥‥‥ギシ‥‥‥

もしかして、どこかの窓枠でも外れてるのかな?明日大兄ちゃんに言って直してもらわないと。

ギシ‥‥‥ギシ‥‥‥ギシ‥‥‥

パン‥‥‥パン‥‥‥パン‥‥‥

音がだんだん激しくなってきた。あれ、これやばいかも?今日のうちに応急処置しておかないと、本格的に壊れちゃうかもしれない。

ギシ‥‥‥ギシ‥‥‥ギシ‥‥‥

パン‥‥‥パン‥‥‥パン‥‥‥

あ‥‥‥あ‥‥‥あ‥‥‥

なんか、悲鳴のようなものも混じっている。
やっぱり誰か体調悪いんだ。

宿も壊れそうだし、誰か病気だし、騎士団の人たちは来ていて満室だし、明日は忙しそう!

私は、明日頑張るぞ!と小さくガッツポーズをして、振り返り、グレッグに目でサインを送った。
なんでそんな気まずそうな顔してるんだろ?

とその時、叫び声が聞こえた。

「あー、あー、死んじゃう~死んじゃう~、もうダメ、もうダメ~~~!!!」

お姉ちゃんの声だ!
大変だ!
もうダメだって!死んじゃうって!すぐに助けに行かないと!

私は大慌てで廊下を駆け出した!お姉ちゃん!すぐに行くから!!!
今助けるからね!!!
私がお姉ちゃんを守るんだから!!!

「ちょ、まてクラリス!!!」

後ろからグレッグの焦ったような声が聞こえるが知ったこっちゃない。

お姉ちゃーん、今いくよーーーー!!!

バンッ!私は勢いよくお姉ちゃんの部屋のドアを開け放った。


「きゃーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
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