天使のように可愛い私と可愛くないお姉ちゃんの話

１４ 「きゃーーーーーーーーーーーーーーー！！！！！！！」

「きゃーーーーーーーーーーーーーーー！！！！！！！」
「きゃーーーーーーーーーーーーーーー！！！！！！！」
「うわあああああああ」
「あーーーーーーーー」

こんばんは。クラリス（遠い目）です。
お姉ちゃんに恋人を見つけて上げなくては。
そう思ってた日がありました、私にも。

ペーペーぷーペーペパプー

何処かの国の何処かの交差点で聞こえる様な音楽が聞こえてきます。
あれ？最近はあんまり無いんですか？いえいえ、それはともかくこれは私の心の声。

ペーペーぷーペーペパプー‥‥‥こーこは○ーこの‥‥‥はっ！思わず歌ってしまった。

叫び声が聞こえていますね。さあ、誰の声でしょう？

「きゃーーーーーーーーーーーーーーー！！！！！！！」
シーツを手に叫ぶ、エラお姉ちゃん。なんで裸なの？

「きゃーーーーーーーーーーーーーーー！！！！！！！」
お姉ちゃんにつられて叫ぶ私。

「うわあああああああ」
エラお兄ちゃんの上から転がり落ちて叫ぶ、サム兄ちゃん。なんで裸なの？せめて前隠したら？（半目）

「あーーーーーーーー」
頭を抱えるグレッグ

ええ、そう、お姉ちゃんに素敵な恋人を見つけてあげることこそ私の使命。
そう思っていた日がありましたね。
天才的なひらめきだと思っていましたよ。
そう‥‥‥そんな日もあったんです。

「お、お姉ちゃん‥‥‥」
情けない声が出たまま、そのまま言葉が出てこなくなった。

全員、固まる。

4人が4人とも目線とウロウロと動かしながら、その場で固まっていた。
なんだか、もお、どおしたらいいのおおおお？

「静かにしろ」

私の後ろから、我が家で一番影響力のある低い声が聞こえてきた。

「いったい何時だと思ってるんだ」お父さんだ。

「エラ、服を着て静かに寝ろ。サム、お前もだ。服を着て自分の部屋に戻れ」
二人は弾かれたように、動き出すと慌てて服を着ける。

「クラリス、お前、何やってんだ？」

お父さんは私をギロッと睨みつける。

「なんだぁお前、ガキのくせに男引き込んでんのかぁ？」

私とグレッグを睨みつける。ちょっと気を失いそうにおっかないけど頑張らないと！

「そんなんじゃない！グレッグは送ってくれただけだもん！」

「ふうん？まあ、とりあえず、今はいい。あとでじっくりと話を聞くからな、わかったな」
そう圧をかけると私とグレッグを交互に睨回した。

「お前ら、全員、部屋に戻って静かに寝ろ、いいな。」
お父さんの命令に全員コクコクと首ふり人形のように頷いている。

あ、でも一番大事なことは！

「お姉ちゃん！お姉ちゃんの体調が悪いんだよ！」

ちゃんと伝えないと！

「お姉ちゃん、死んじゃうって叫んでた。お姉ちゃん、大丈夫？お医者さん呼んでこようか？」

お姉ちゃんとサムにいちゃんは真っ赤なゆでダコのようになって下を向いた。
なんなら湯気が噴き出しそうな勢いだ。

お父さんは呆れたようにため息をついた。

「エラは大丈夫だ、死なないから安心しろ。まあ、そのなんだ。明日も朝早いからもう全員静かに寝るんだ、いいな。明日の朝食営業が終わったら食堂に全員集合だ。わかったな」

また、全員が首ふり人形のように首をコクコクと降った。サム兄ちゃんなんて首がもげそうな勢いで頷いている。

「それはそうと、おい、お前」

お父さんがグレッグと向き合った。


「お前、ウチの天使に手を出しやがったのか？」