15 / 24
15 手を出したとは?
しおりを挟む
「だ、出してません!」グレッグが大慌てで答える。
「だ、出してませんからっ、まだ!」
「へぇ‥‥‥?」
なんか、空気が冷たい。あれ、ゆでダコになってたサム兄ちゃんまで冷気放ってる?
えー?でもさー、グレッグさっき手を出したよね?手を出して私の手を握らなかったけ?
それって手を出したって言うんじゃない?
おっかしいの。
でも、なんとなく‥‥‥黙ってた方がいいのかな?
「なんでこんな時間にうちの天使といるんだぁ?うちの天使はとっくに部屋に入っている時間なのに、おかしいよなぁあ?」
お父さんが圧を放つ。
「うちの天使はまだ未成年だってこと、十分にわかってんだろぉ?」
シュッツ!サム兄ちゃんがナイフを装着した音がする。
「ちょちょちょちょっと待ってよ!」私は慌ててお父さんとグレッグの間に割り込んだ。
「グレッグは助けてくれたんだよ?」
「部屋にいるはずのお前をどうやって助けるんだよ?」後ろからサム兄ちゃんの声が聞こえる。
「だから!酒場に来ているお姉さんと間違えられて‥‥‥」
「はああああ?」
「なんだとお!」
「どこのどいつだ!」
お父さんとお兄ちゃん達が同時に叫ぶ。いつの間にやら大兄ちゃんまで参戦している。
「どう言うことだ!」お父さんの雷が落ちた。こわいよー
「理、理由があったのぉぉぉ」
「どんな理由があったら娼婦に間違えられるんだ!」うえーん。
私はすっかり涙目になりオロオロしてしまい、どっからどう説明したらいいのか分からなくなって、あっちをみたり、こっちをみたり目を泳がせた。
グレッグと目が合う。グレッグは私に黙ってろと目で合図すると、しっかり背筋を伸ばした。
「親父さん。俺も、クラリスも、何も、恥ずかしいことや後ろ暗いことはしていません。きちんと説明できます。
クラリスが未成年なことだって理解しています。今日はクラリスが困っていたから、ちょっと助けただけなんです。
だから、今日のところは許してあげてください。」
お父さんはため息をつくと、諦めたように言った。
「分かった。俺だって長年の経験から嘘をついてるかどうかはわかるからな。
まあ、とりあえず、今はいい。みんな朝の仕事があるからな。
お前も明日の朝食後に、食堂に来い。隊長にもお前が参加できるように話をつけてやる」
「大丈夫です、自分で‥‥‥」
「わかったな?」
「はい‥‥‥」
なんだか空気が熱くなったり寒くなったり忙しい。
「おい、ゼン。」お父さんは大兄ちゃんに向かって顎をしゃくった。
「クラリスを部屋まで送ってやれ、俺はここでこいつらを見張ってるからな」
そう言うと、腕組みしてふんっと仁王立ちになった。お父さんは大きいし筋肉質だから、こうすると迫力あるんだよね。
「クラリス、おいで」大兄ちゃんに優しく促され、私は自分の部屋に戻った。
その後のことはよく覚えていない。
1日に起こったことの量が多すぎて私の頭は完全にオーバーヒートしちゃったみたい。
部屋のベッドにごろっと横たわるとそのまま、夢も見ないで眠ってしまったんだ。
「だ、出してませんからっ、まだ!」
「へぇ‥‥‥?」
なんか、空気が冷たい。あれ、ゆでダコになってたサム兄ちゃんまで冷気放ってる?
えー?でもさー、グレッグさっき手を出したよね?手を出して私の手を握らなかったけ?
それって手を出したって言うんじゃない?
おっかしいの。
でも、なんとなく‥‥‥黙ってた方がいいのかな?
「なんでこんな時間にうちの天使といるんだぁ?うちの天使はとっくに部屋に入っている時間なのに、おかしいよなぁあ?」
お父さんが圧を放つ。
「うちの天使はまだ未成年だってこと、十分にわかってんだろぉ?」
シュッツ!サム兄ちゃんがナイフを装着した音がする。
「ちょちょちょちょっと待ってよ!」私は慌ててお父さんとグレッグの間に割り込んだ。
「グレッグは助けてくれたんだよ?」
「部屋にいるはずのお前をどうやって助けるんだよ?」後ろからサム兄ちゃんの声が聞こえる。
「だから!酒場に来ているお姉さんと間違えられて‥‥‥」
「はああああ?」
「なんだとお!」
「どこのどいつだ!」
お父さんとお兄ちゃん達が同時に叫ぶ。いつの間にやら大兄ちゃんまで参戦している。
「どう言うことだ!」お父さんの雷が落ちた。こわいよー
「理、理由があったのぉぉぉ」
「どんな理由があったら娼婦に間違えられるんだ!」うえーん。
私はすっかり涙目になりオロオロしてしまい、どっからどう説明したらいいのか分からなくなって、あっちをみたり、こっちをみたり目を泳がせた。
グレッグと目が合う。グレッグは私に黙ってろと目で合図すると、しっかり背筋を伸ばした。
「親父さん。俺も、クラリスも、何も、恥ずかしいことや後ろ暗いことはしていません。きちんと説明できます。
クラリスが未成年なことだって理解しています。今日はクラリスが困っていたから、ちょっと助けただけなんです。
だから、今日のところは許してあげてください。」
お父さんはため息をつくと、諦めたように言った。
「分かった。俺だって長年の経験から嘘をついてるかどうかはわかるからな。
まあ、とりあえず、今はいい。みんな朝の仕事があるからな。
お前も明日の朝食後に、食堂に来い。隊長にもお前が参加できるように話をつけてやる」
「大丈夫です、自分で‥‥‥」
「わかったな?」
「はい‥‥‥」
なんだか空気が熱くなったり寒くなったり忙しい。
「おい、ゼン。」お父さんは大兄ちゃんに向かって顎をしゃくった。
「クラリスを部屋まで送ってやれ、俺はここでこいつらを見張ってるからな」
そう言うと、腕組みしてふんっと仁王立ちになった。お父さんは大きいし筋肉質だから、こうすると迫力あるんだよね。
「クラリス、おいで」大兄ちゃんに優しく促され、私は自分の部屋に戻った。
その後のことはよく覚えていない。
1日に起こったことの量が多すぎて私の頭は完全にオーバーヒートしちゃったみたい。
部屋のベッドにごろっと横たわるとそのまま、夢も見ないで眠ってしまったんだ。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる