天使のように可愛い私と可愛くないお姉ちゃんの話

藍音

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24 みんな幸せ(最終回)

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その後、サム兄ちゃんは速攻で部屋に鍵を取り付けてた。
自分とお姉ちゃんの部屋に3つずつ凄い頑丈な鍵を取り付けて、これでもう魔物が来ても安心だぞ、っとか超良い笑顔で笑ってたんだけど、魔物って誰のこと?なんかちょっと失礼じゃない?ぷんぷん。

でもね、お姉ちゃんに色々と教えてもらうことができたんだ。

あのね?赤ちゃんって、教会からコウノトリが運んでくるわけじゃなかったんだって。
結婚すると、教会から「赤ちゃんの種」を貰えるんだって。
その種を使って入れたお茶を結婚した2人で飲むと赤ちゃんが生まれるんっだって!
知らなかった!

あとね、成人するまでにキスしたり、体を触られたりすると、男の人は狼になっちゃって、もう人間に戻れなくなっちゃうんだって。
グレッグが森にしか住めなくなっちゃうと困るから、「わきまえないと」いけないんだって。
なんだか、怖いね。

グレッグのそばにいるときゅんきゅんしちゃって、近くに行きたくなっちゃうけど、グレッグが狼になっちゃって、森に住むようになったら困っちゃうもんね。
これからは気をつけないと。

それとも狼になっちゃったグレッグに森まで会いに行けばいいのかな?
なんだか、ピクニックみたい?それも楽しそう!

その後少しして、ここでの仕事が終わったグレッグが都に帰る前にキスされそうになっちゃった。

「オオカミになっちゃうからダメだよ!」

って教えてあげたら、グレッグは「オオカミかぁ‥‥‥」と言ってヘナヘナと座り込んじゃった。
知らなかったんだね。教えてあげて、よかった。

でもね、「結婚の約束をすれば、キスできるようになるんだぞ?」って教えてくれたの。

「クラリス、成人したら、俺と結婚してくれる?」

その後、どうしたかはナイショだよ。


それからね、不思議なことが起こったの。
あのみんなで話し合いをした日から3週間ほど経ってから、お姉ちゃんの体調がすごく悪くなっちゃったの。
お医者さんに見てももらったら、なんとお腹に赤ちゃんがいることがわかったんだって!
結婚してないのに「赤ちゃんの種」もらえたってこと?

すごいね、お姉ちゃん!

サム兄ちゃんは嬉しくて笑いが止まらなくなっちゃって、そのまま、今すぐ結婚しようってお姉ちゃんを横抱きにして、教会に走って行っちゃった。

お父さんは、まだダンジョンに籠もりっぱなしで、ずっと帰ってこない。

たまに宿のお客さんの冒険者さんたちから、

「いやー、親父さん魔物狩り過ぎちゃってダンジョンなくなっちゃうんじゃないの?」とか、
「鬼が出た」って噂を聞くから、多分すごく頑張ってるのかなって思う。

でも、本当は早くお母さんのことを聞きたいのになあ。

大兄ちゃんに、お母さんのこと教えてよっておねだりしたら、ちょっとだけ教えてくれた。

お母さんは一族の都合でずっと一族の宝物を集めるための旅を続けてるんだって。
昔お父さんが A級冒険者をやってた時に一緒のパーティーにいたんだとか。

お父さんは私たちを育てるために、ここで冒険者向けの宿屋を始めてお母さんの帰りを待つことに決めたんだって。

旅を続けてるお母さんは、家族に会いたくて時間を見つけては、お客さんとして泊まりに来てくれてたんだぞってお兄ちゃんは言うんだけど。

何人かの冒険者さんの顔を思い浮かべ、もしかして‥‥‥?って人がいたけど、お父さんに聞いてから、確認してみようかな?だって、あの人がもしお母さんだったら嬉しすぎる!


次にグレッグが来るのは、私が成人する頃かな?
次に会うときも、可愛い私で会いたいな。
早く会いたいな。毎日指折り数えて待っています。

私は相変わらず可愛いけど、可愛くなかったお姉ちゃんは、サム兄ちゃんと二人でいる時はすごく可愛く笑うようになりました。
もう、お姉ちゃんのこと、可愛くないなんていう人いないよ?

大好きなお姉ちゃんがバカにされなくなって、私はすごく嬉しいです!

今日も踊る熊猫亭は大繁盛。みんな幸せに楽しく暮らしています!

おしまい

________________________________

ここまでたどり着いていただいた読者様、ありがとうございました。
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