腐女子が異世界に転生してモブチートで暴れまわる話

９ 玉道学園の生活

レイナという心の友を得て、アンナと言う名のいかにもモブっぽい名前の私は本格的に活動を開始することにしました。
だいたいメイドとかだよね。アンナって。ん？これはもしかしてフラグ？
どこかのお屋敷に就職して、ご主人夫夫（←当然この字ね）の下働きをさせていただく未来への序章プロローグ？
そう考えるとちょっとかっこいいですわね。ぐふぐふ。

まあでも、何はともあれタイムイズマネー。
鑑賞の時間を減らしてはなりません。
今日も鑑賞明日も鑑賞明後日も明々後日も鑑賞三昧です！
当然夜は観察日記をつけております。
あまりに観察日記をつけるスピードが早くて、部屋が帳面でいっぱいに・・・そういえばレイナと同室で良かったですわ。
あの子ったら、素知らぬ顔をしているくせに、ある日スケッチブックを落としたんですの。
ぱっかーんと開いたスケッチブックの中には、ちょっとエッチなイラストばかり。
もちろんBLの。

真っ赤になったレイナと固い握手を交わして、友の契りを交わしたことまで思い出しましたわ。

それはともかくここは玉道学園。
どこかに王道な展開が転がっているのに違いありません。
でも、ひねくれ者だから、王道には興味ないんですのよねえ。
困ったものです。

もじゃもじゃ頭の転校生でメガネを外すと美形ってやつ。
絶対リアルでいたら笑う自信ある。
ちなみに、リアルでエロい眼鏡っ娘に会ったことあります。
ちょっと舌ったらずな爆乳ギャルにも会ったことあります。
どっちもいい子でした。そして、旦那さんは超その子のこと溺愛してたみたい。
見るからにエロかったけど、本人たちはまるで天然。
多分エッチな本とか読まないんだよね。
普通にいい子でした。
ぶっちゃけ毒なさすぎなくらい。
腐りきった私には眩しい存在です。
でも別にいいです。異次元の存在なので。リアルだけど。

もじゃ男から脱線してしまいましたが、まあ、どうでもいいってとこです。
どっちかって言うと、チャラ男会計とかの方がひねりがあって面白いよね？
生徒会長と風紀委員長とか？よ、よだれでそう。

それはともかく、さっさと話を進めろよと、どこかからのプレッシャー。これはきっと私の頭の中にいる天使＝良心に違いありません。はい、すみませんでした。

それでです。どんな好きな設定だろうと、いきなりのエッチも異種格闘技的なエッチにも萌えないことはわかりました。やっぱり、この道、情緒あってこそ！男性用エロ小説じゃないんです！ラブあってこそ！ここが重要。

と言うわけで、今日も推しの鑑賞と研究活動を続行します。

まずは毎日の定点観測から。
今日も朝待ち伏せして、体調チェックです。
お肌、髪、目つき、筋肉の発育状態、などをチェックです。
万一にも腰をさすってはいないか？足に力が入らない～～などのお約束の展開が起こってはいないかと目を皿のようにして観測します。
ふむふむ。問題なさそうです。
今日の”かんさつにっき”につけておきます。ついでに下手なイラストも追加しておきます。
一度絵が上手いレイナに見られて、「何これ、宇宙人？」と聞かれましたが・・・大きなお世話だよ！

今日の受け様も麗しいです。
え、本日の日課は。
1時間目　英語
2時間目　物理
3時間目　数学
4時間目　音楽
5・6時間目　体育
え？普通の高校生かって？
そりゃそうでしょ。ここは王道学園ですもの。ちょっと点がはいって玉道になっても、学校ですのよ？
時々御都合主義で時間割が変わりますけど、それはまあいいでしょう。

4時間目の音楽と5・6時間目の体育では閲覧のチャンスがありそうです。ふふふ。いい日ですわ。
そして確か、今日の体育は、攻め様のクラスと合同授業のはず♡きゃー♡♡♡

レイナを通じて確認したところ、私は「フツー課」の1年生。そして、攻め様と受け様は二人とも「騎士課」の2年生。聞いただけで鼻血吹きそうです。
私も「騎士課」に編入すればいいのでは？
なぜさっさとそうしなかったんでしょうか？

「あんた、編入試験受けようとして、願書の提出すら断られたの忘れたの？」

レイナのツッコミが心に刺さります。
そうでした。ガチで忘れてました。

ここは、おとなしくストーキングを続けるしかありません。
じゃなくて、鑑賞ですから、鑑賞！！

受け様ことサシャ様は、ルックス人柄全てにおいて完璧で、皆から慕われています。
そして、受けさまの相方といえば！！攻・め・さ・ま。公爵令息のヒュー様。え、日本じゃないのかって？だまらっしゃーい！！そんなつまらないことを突っ込んでいたら金髪のサシャ様はどうするんですか！！ヤンキーじゃないんですのよ？
ふう、落ち着いてご説明を続けましょう。
ヒュー様は、大柄、黒髪にヘイゼルアイのイケメン。
今日はありがたくもお二人が寄り添って、2割り増しに輝かしいお姿を見せてくださっています。受け様にぴったりと寄り添い、ぶっといピンクの矢印を向ける攻め様・・・
だから、しつこいようですけど、字面だとちょっと勘違いされるようですけど、違いますからね？
本当に純粋に矢印ですからね？勘違いはお控えくださいね？攻め様が単なる変態になっちゃうじゃないですか。

で、です。サシャ様から返っている矢印はがっつり黄色。あの日ピンク色が透けて見えたのは気のせいだったのでしょうか。
そして新情報。
サシャ様は生徒会副会長らしいです。
と言うことは、腹黒副会長ポジション？
ひとっつも腹黒そうには見えませんわね。
ただ単に爽やかで麗しく・・・おっと危ない。また始まってしまうところでした。
推し礼賛には気をつけねばなりません。

ということは、攻めさまが会長？やっぱりそうなんですの？
ちょっと王道学園とは違うようですけど、まあ良しとしましょう。いいえ、全然いいです。問題ありません。らぶ♡

そんなことばかりを考え、今日も充実した1日だったと、満足していたその日の夕方。
私は麗しくたそがれるサシャ様を鑑賞してしまい、また尊死寸前に追い込まれたのだった。

あ、ちなみにとびあがった私の心臓は地球を一周回って無事戻ってまいりましたの。ふふふ。