龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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42. 噂には疎い

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「八岐~!新入生歓迎会が今度あるんだがそれについて話し合いが行われるから放課後参加してこいよ。」

「はい。」

 すっかり委員長として馴染んできた俺…。何かな…。

「新入生歓迎会ってどんな感じなんだろうな。楽しみだな。」

 佐藤くんは気楽で良いよな。俺はクラスの代表として上級生達と話し合わないといけないんだよ…。考えただけでも疲れるよ。

「僕の兄から聞いたけど美味しい物もいっぱい食べられるし、いろんな人と知り合いになれるから楽しいって言っていたよ。」

 そう話すのは最近友達になった大谷 蘭丸(おおたに らんまる)くんだ。背が低くてよく少女に間違えられるくらいの美少年。いつも長い桃色の髪を後ろでひとつにまとめている。

「そっか、大谷くんはお兄さんがこの学校に通っていたんだったね。」

「うん。去年卒業して、今は神官として働いているよ。」

 お兄さんはコースが違うんだね。

「美味しい物…楽しみだな。ここの食事は美味しいからな。」

 最近分かった事、佐藤くんは食いしん坊で、しかも大食いだということだ。本当にビックリするくらい食べるんだよ。僕の2倍、いや3倍は食べるんだよ。よく太らないなと感心してしまうほどだ。まあ、運動もしているみたいだけどね。

「佐藤くんは本当に食べるのが好きなんだね。」

「おう。食べるのは楽しいな。神の導きがなければきっと食に関する仕事についていたと思うくらいにな。」

 そうなんだ…。神の導きは好きなことに関係した仕事になるのかと思っていたけどそうでもないんだな。

「今年は隣国の皇族もいらっしゃるから、かなりのご馳走が出ると思うよ。」

 大谷くん、物知りだね。情報屋なの?

「隣国の皇族が何で来るんだ?」

 佐藤くんはそういうの疎いよね。

「知らないの?隣のクラスに王子が留学生としていらっしゃるんだよ。」

「「え!!」」

 佐藤くんと声がかぶっちゃったよ。

「2人とも知らなかったの?珍しいね。多分皆知っているよ。」

 
 どうやら俺達は情報に疎すぎるらしい。

「わざわざこの学校に来る価値があるのか?」

 佐藤くん…ハッキリ言うね。嫌いじゃないよ。

「王子って言っても第3王子だから、成人したら教会にでも入るんじゃないかな?隣国には神官の学校はないから来たんだろうね。」

 本当によく知っているな。

 そうか、第3王子にもなると将来をよく考えないといけないよな。賢い王子だということか…。

「そうなると益々楽しみだな。」

 佐藤くんの目が輝いている。ヨダレが出てるよ。もう新入生歓迎会じゃなくて食べることのみに集中してるよね。

「取り敢えず行かないといけないから話し合いに行って来るよ。」

 俺は重い腰を上げて動き出した。

「おっ、美味しいご馳走を頼んだぞ!」

 いやいや佐藤くん、一年生に権限はないと思うよ。

「寮で待っているから何を話したのかを教えてね。」

 大谷くんはやっぱり情報が欲しいんだね。

「分かったよ。じゃあ、行ってくるね。」

「「いってらっしゃい!!」」

 二人は元気よく送り出してくれた。気は重たいが行くしかないよな~。重たい足取りで生徒会会議室に向かう。

 生徒会会議室が見えたと思ったら扉の前でじっとして動かない生徒がいるのも見えた。

「もしかして…一年生の神官クラスの代表の子かな?」

「は、はい!」

 緊張しているらしく声が裏返っている。だけど、俺のスカーフを見て一年生だと確認すると態度が変わった。

「なんだよ~、同じ一年生じゃん。緊張して損したじゃないか。誰だよお前…。」

 グレイの髪をしたつり目の男の子はかなり感じが悪かった。

「僕はもうひとつのクラスの代表の八岐 竜です。よろしくね。」

 一応、同級生だから感じよく挨拶はしてみた。

「あっそう。じゃあ、お前が先に部屋に入れよ。」

 何で?しかも挨拶したのに返答なしかよ!失礼な奴だな。でもケンカをするわけにもいかないし、ここはとぼけてみるとしよう。

「え…なんで?先に君が到着していたんだから君から入れば良いよ。」

 俺は笑顔で言ってやった。

「はあ?お前…俺の言うことが聞けないっていうのか。」

 こいつ…本当に嫌な奴だな。何様のつもりなんだよ。と思いつつも笑顔は崩さす、何も答えずにいると勝手に相手が話をはじめてしまった。

「お前…俺の事を知らないのか?まさかそんなはずは無いよな。」

 知らないものは知らないとしか言いようがない。って言うかそんなに有名な人なのか?

 ここはハッキリと言っておいた方が良いな。

「知りません。」

 俺が答えた途端に相手の顔色が変わってきた。あれ?怒ってる?

「お前…俺を侮辱しているのか?それともからかっているのか?どちらにしても無礼だぞ!」

 顔を知らないだけで無礼になるの?おかしくない?そもそも名前も聞いていないしね。

 すると外が騒がしいと感じたのか生徒会会議室の扉が開いて中から知っている顔が出てきた。

「声がすると思ったら貴方でしたか…ペリー王子」

 えええ~!!!この嫌な奴が噂の隣国の王子!?





 

 



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