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1. 溺愛されすぎて困っています
しおりを挟むカラーンコローン、カラーンコローン。
国中に教会の鐘の音が鳴り響く。
「あの方はもっと長生きすると思っていましたが…憎まれっ子世にはばかるは嘘だったんですかね。」
ルア(ルアーナル)お兄様ったら誰かに聞かれたら不敬罪で捕まりますわよ。
「愛人がいすぎて大変だったんだろ。」
ルル(ルルーガ)お兄様も言いたい放題ですわね。
「何にせよ、可愛いルナがアイツに狙われる心配が無くなったんだ。ひと安心だな。」
お父様まで…王弟が亡くなられた事をそんな風に言うなんて信じられません。お父様とお兄様達は私の事になると人が変わりますよね。
あっ、ご挨拶が遅れました。
私、フォンダン公爵家の第三子でルナリアと申します。皆にはルナと呼ばれています。
先程の会話は私の父親フォンダン公爵家当主のルオンと長男のルア、次男のルルのしていたものです。
先程、王弟が本日亡くなられた事を示す鐘が聞こえた事からこんな物騒な会話が始まったのです。
まあ、ただ亡くなられた王弟は何とも癖のある方で…。
本妻の他に愛人が2人その他にも屋敷に招き入れていない愛人が何人かいらっしゃるような人でした。国民には愛欲王弟と密かに呼ばれていたみたいです。
本当…王様とは真逆の人でした。
この国、メリンダル国の王様は最初に迎えた王妃様を溺愛され、その王妃様の死後も新しく王妃様を迎えることもなさりませんでした。次の王は決まっているから心配はないと言われて…。珍しいですよね。ですが国民からは純愛王と呼ばれて慕われている良い王様なのです。
純愛王と愛欲王弟…同じ血を引き継いでいるはずですのにね。
私…その愛欲王弟に実は狙われていたんです。
この国では18歳になるまでに婚約者を決めて結婚する人がほとんどなのです。
それなのに私は18歳になるのに婚約者がいないので何か問題があると思われたからでしょうね。
「問題がある娘なら私がもらってやる。」とお手紙を頂いたそうです。
問題は私ではなくお父様とお兄様達なのですが…。
王弟は「私は問題があっても気にしない心の広い男だから心配はいらない。3人目の愛人として屋敷に迎えよう。」と言ってこられたみたいなんです。
王族なので無下に断る訳にもいかず、どうするかを迷っていたらご本人がこんなことに…。
話は無くなったので良かったのですが。
自分で言うのはどうかと思いますが見た目はシルバーヘアーにアメジスト色の瞳をしており普通だと思いますし、勉強も学年でトップでしたから悪くはないと思うのです。
婚約のお話しも何度もあったのですが、お父様とお兄様達が直接話し合うと言ってお相手と話をすると…それが最後になるという繰り返し。
いったいどんな話し合いをしているのやら…。
3人とも「「「ルナは気にするな!!!」」」と言って一切会話の内容を教えてくれないのです。このままでは私の婚約者は現れないのでは?と考えてしまいます。
「はぁ~。」
「「「どうしたルナ?!」」」
「誰かに何か言われたのか?」
ルアお兄様…私の会話を魔道具で盗聴しているのを知っていますわよ。
「それとも何かされたのか?」
ルルお兄様…私と接触があった殿方に威圧をかけているのを知っていますわよ。
「言ってみなさい。私達がそいつを抹殺…いや何とかしてあげるから。」
お父様…抹殺という言葉が聞こえましたわよ。私の為に暗殺部隊を雇っていると知っていますわよ。
ただのため息をついただけでもこの調子です。
ですが…。
どなたか私の婚約者になっていただけないかしら?
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