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42. 色気がほしい
しおりを挟む「…ハアクシュン!ハクション!」
リリル様の大きなくしゃみが何回か連続で聞こえます。
「雨に濡れたら寒くなっちゃった。ミレーナは温かいから暖炉の代わりになるわ~」
私のトキメキを返してください。
口付けをされるのかと思っていたのに…。
いや、してほしかった訳ではないですよ。
うん、全然思ってない…わけないでしょう!
顔が近づいてきて…そこまでは良い感じだったけど、そのあとリリル様がくしゃみをし始めて…。
…なぜ、あの雰囲気からくしゃみ連発する?
更に抱きしめたのは寒かったからなんてそんな展開ありなんですか?
これが恋愛小説なら読者の皆さんはブーイングものですよ。
でもそれだけ私に魅力が無いということなのかな。
あ~、なんだか自分で言って傷つきました。
せっかく綺麗な虹が見れて楽しい気持ちになっていたのに…。
「雨がやんでいるうちに屋敷に帰りましょう」
くしゃみが止まったリリル様がにこやかに話す。
「…はい」
私の乙女心は複雑なんですけがリリル様はいつも通りなんですね。
屋敷に到着すると、ずぶ濡れの私達を見た使用人さん達は慌ててお風呂の準備などを始めた。
「これは…リリル様のジャケットですね。洗濯した後私からお返しいたしましょうか?」
侍女のナリスさんが私が脱いだジャケットにすぐに気がついたみたい。
「ナリスさんありがとうございます。でも、洗濯が終わったら私の元に持ってきてもらえますか?私からお返ししたいと思うので…」
「わかりました」
ナリスさんは濡れた服を持って部屋を出ていった。
リリル様に何かお礼をした方が良いよね。
私の下着まで見せてしまって…。
はあ~。
『溜め息不幸…。ミレーナ不幸か?』
「ビリー様、どうしたら私は魅力ある女性になれると思いますか?」
『ミレーナ綺麗になった。そのまま魅力的』
やだ、ビリー様たら。
「そうですか?」
『ただ…色気ない』
ビリー様から見ても私は色気が無いんですか?
色気って、何処かに売ってないんですか?
売っていたら買いたいです。
前にもアイドお兄様に色気が無いとバカにされて、お母様の化粧品を黙って使って化粧したら…化け物よばわりされて大笑いされたことがあったな…。
あの後お母様に凄い怒られたんだよね。
ノエルお兄様に相談したら、心配しなくても年頃になれば自然とでてくるよ。って言われましたけど、年頃って何歳までオッケーなんでしょうか。
一応は年頃と言われる年齢になったはずなんですが。
お母様は色気のある美人だと身内でも思うくらいなんですよ。
なのに、どうして娘の私は駄目なの?
両親の良いところどりは出来ないものなのね。
私が更に落ち込んでいると、扉をノックする音が聞こえました。
誰だろう?
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