2 / 20
2. ここはどこ?
しおりを挟む気がつくと辺り一面真っ白な世界です。
「ここはどこなの?」
『ここは君たちの言葉で言うと天国だよ』
明るい感じの声が答えてくれた。
「天国…?いや、天国~!!!」
何で、なんで、なんで~!
私は幸せの絶頂だったはずよね?
大好きな幼馴染みと結婚して、さあ今から結婚初夜を迎えようって感じだったはずなんですが?!
何故天国…?
え…私は死んだって事なの?
おかしいわ…だって私は健康だけが取り柄で病気なんてしたことがなかったのに。
そう言えば…。
意識が失くなる直前にデリムが言っていた事が気になったのよね。
あれって…。
『混乱しているみたいだけど大丈夫かな?なんなら今の地上の君の状態が見れるけど見る?』
「え…そんな事ができるんですか!」
『うん。だって私は神様だからね。今回の君の死に関しては私も考える所があるから、これはサービスだよ』
サービスってあるんですね。
「見たいです。見せて下さい、お願いします」
『わかった。じゃあ、ちょっとショックかも知れないけど気持ちを落ち着けて見てね』
ちょっとショック?が気になるが見たい気持ちが勝っている。
目の前に大きなスクリーンの様な物が出てきてそこには私の知っている顔が映っていた。
「キャロル…何故こんなに早くに死んでしまったの…新婚のデリムを1人にするなんて可哀想よ」
赤毛でくりっとした緑の瞳の可愛い顔立ちをした幼馴染みのアデレイトが泣きながら私の棺に話しかけている。
「アデレイト、来てくれてありがとう」
デリムが優しくアデレイトを抱きしめている。
「でも、急に亡くなるなんて…。キャロルは身体の健康をいつも自慢していたのに…」
友人のフルルがハンカチを目に押し当てながら私の死を不思議に思っているようです。
「キャロル様!」
凄い勢いで棺に走り寄った人が見えます。
あれは…。
「シア王子様危ないので走らないで下さい」
私が可愛がっていた従兄弟のシア第三王子。
黒い髪に黒い瞳を持つシア王子はこの国では異質な存在として人々から遠ざけられていた。
この国では黒色には魔力が宿るとされており、魔力を持たない人が多いこの国では目立つ存在なのだ。
そんな従兄弟を私は不憫に思い自分の弟の様に可愛がっていた。
私の家族がもう亡くなりこの世に親族がいないということも関係しているかもしれない。
血の繋がりがあるのはシア王子だけなのだ。
シア王子の母は私の母の妹になる。
私の両親とシア王子の母とが同じ馬車に乗っている時に事故にあいそのまま全員が亡くなってしまったのだ。
私達はお互い同じ日に両親を失くし傷を埋め合うように慰めあいながら生きてきた。
そのシア王子が私の棺に抱きついて大声を上げて泣いている。
シア王子…。
悲しい気持ちが私を支配し始める。
私は本当に死んでしまったのだ。
悲しんでいるシア王子を抱きしめてあげることも出来ない…。
ごめんなさい、シア王子。
神様が仰っていたちょっとショックってシア王子の事なのかしら…。
私は映像を見ながらおかしな事に気がついた。
幼馴染みである2人の姿が無くなっている。
何処に行ったのかしら?
デリムは喪主よね?
そう思っていたら突然、映像が切り替わった。
そこに映っていたのは信じられないものだった。
10
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
冷たい王妃の生活
柴田はつみ
恋愛
大国セイラン王国と公爵領ファルネーゼ家の同盟のため、21歳の令嬢リディアは冷徹と噂される若き国王アレクシスと政略結婚する。
三年間、王妃として宮廷に仕えるも、愛されている実感は一度もなかった。
王の傍らには、いつも美貌の女魔導師ミレーネの姿があり、宮廷中では「王の愛妾」と囁かれていた。
孤独と誤解に耐え切れなくなったリディアは、ついに離縁を願い出る。
「わかった」――王は一言だけ告げ、三年の婚姻生活はあっけなく幕を閉じた。
自由の身となったリディアは、旅先で騎士や魔導師と交流し、少しずつ自分の世界を広げていくが、心の奥底で忘れられないのは初恋の相手であるアレクシス。
やがて王都で再会した二人は、宮廷の陰謀と誤解に再び翻弄される。
嫉妬、すれ違い、噂――三年越しの愛は果たして誓いとなるのか。
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
白い結婚はそちらが言い出したことですわ
来住野つかさ
恋愛
サリーは怒っていた。今日は幼馴染で喧嘩ばかりのスコットとの結婚式だったが、あろうことかパーティでスコットの友人たちが「白い結婚にするって言ってたよな?」「奥さんのこと色気ないとかさ」と騒ぎながら話している。スコットがその気なら喧嘩買うわよ! 白い結婚上等よ! 許せん! これから舌戦だ!!
あなたに嘘を一つ、つきました
小蝶
恋愛
ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…
最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる