大好きな人に口づけされたら死にました

縁 遊

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2. ここはどこ?

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気がつくと辺り一面真っ白な世界です。

「ここはどこなの?」

『ここは君たちの言葉で言うと天国だよ』

明るい感じの声が答えてくれた。

「天国…?いや、天国~!!!」

何で、なんで、なんで~!

私は幸せの絶頂だったはずよね?

大好きな幼馴染みと結婚して、さあ今から結婚初夜を迎えようって感じだったはずなんですが?!

何故天国…?

え…私は死んだって事なの?

おかしいわ…だって私は健康だけが取り柄で病気なんてしたことがなかったのに。

そう言えば…。

意識が失くなる直前にデリムが言っていた事が気になったのよね。

あれって…。

『混乱しているみたいだけど大丈夫かな?なんなら今の地上の君の状態が見れるけど見る?』

「え…そんな事ができるんですか!」

『うん。だって私は神様だからね。今回の君の死に関しては私も考える所があるから、これはサービスだよ』

サービスってあるんですね。

「見たいです。見せて下さい、お願いします」

『わかった。じゃあ、ちょっとショックかも知れないけど気持ちを落ち着けて見てね』

ちょっとショック?が気になるが見たい気持ちが勝っている。

目の前に大きなスクリーンの様な物が出てきてそこには私の知っている顔が映っていた。




「キャロル…何故こんなに早くに死んでしまったの…新婚のデリムを1人にするなんて可哀想よ」

赤毛でくりっとした緑の瞳の可愛い顔立ちをした幼馴染みのアデレイトが泣きながら私の棺に話しかけている。

「アデレイト、来てくれてありがとう」

デリムが優しくアデレイトを抱きしめている。

「でも、急に亡くなるなんて…。キャロルは身体の健康をいつも自慢していたのに…」

友人のフルルがハンカチを目に押し当てながら私の死を不思議に思っているようです。

「キャロル様!」

凄い勢いで棺に走り寄った人が見えます。

あれは…。

「シア王子様危ないので走らないで下さい」

私が可愛がっていた従兄弟のシア第三王子。

黒い髪に黒い瞳を持つシア王子はこの国では異質な存在として人々から遠ざけられていた。

この国では黒色には魔力が宿るとされており、魔力を持たない人が多いこの国では目立つ存在なのだ。

そんな従兄弟を私は不憫に思い自分の弟の様に可愛がっていた。

私の家族がもう亡くなりこの世に親族がいないということも関係しているかもしれない。

血の繋がりがあるのはシア王子だけなのだ。

シア王子の母は私の母の妹になる。

私の両親とシア王子の母とが同じ馬車に乗っている時に事故にあいそのまま全員が亡くなってしまったのだ。

私達はお互い同じ日に両親を失くし傷を埋め合うように慰めあいながら生きてきた。

そのシア王子が私の棺に抱きついて大声を上げて泣いている。

シア王子…。

悲しい気持ちが私を支配し始める。

私は本当に死んでしまったのだ。

悲しんでいるシア王子を抱きしめてあげることも出来ない…。

ごめんなさい、シア王子。

神様が仰っていたちょっとショックってシア王子の事なのかしら…。

私は映像を見ながらおかしな事に気がついた。

幼馴染みである2人の姿が無くなっている。

何処に行ったのかしら?

デリムは喪主よね?

そう思っていたら突然、映像が切り替わった。

そこに映っていたのは信じられないものだった。






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