12 / 88
12. 王子の溜め息 〈クリフ視点〉
しおりを挟む今日はレオンが休みらしい。
寂しい気持ちがわいてくる…。
僕は旅に出てレオンの姉のレオナさんの夢を見てから、どうも…おかしいんだよね。
レオンを見るとドキドキするというか…。
それが、あの淫らな夢を思い出すからなのか…それとも僕がレオンを意識しているからなのか…わからない。
「あ~!何なんだろう…」
「クリフ様、急に大声を出されてどうかされましたか?」
今日はレオンの代わりに、上司のナルマが来ている。
「すまない…何でもない。考え事をしていたんだ」
まさか、男が好きかもしれないなんて…この国の王子としては言えない事だ…。
僕は、レオンが好きなのか…?
「はあ~」
大きな溜め息が出た。
「クリフ様…今日はお仕事になりそうにありませんね。残りは明日にしましょう。今日はゆっくりとお休み下さい」
とうとう、ナルマに仕事にならないと言われてしまった…。
「わかった…。明日は頑張るよ…」
僕は気分を変えようと思い庭のベンチに腰かけた。
全てはあの、リアルすぎる夢のせいだ…。
唇や肌の感触を今でもはっきりと覚えている。
一時は僕がレオンを襲ったのかとも考えたけど、夢の中ではレオンにはない豊かな胸があったし、逆に男にあるべきものはなかった…だから違うだろうという結論を出したんだ…。
あんなに、リアルで気持ちの良い夢を見たことなんてなかった…だからこそ忘れる事ができないんだ。
レオナさんの可愛い喘ぎ声も耳に残っているし…。
でも、良く考えれば不思議だよね。
同じ公爵家の子供なのに、レオナさんには1度も会った事がなかった。
身体が弱いとは噂で聞いていたが…。
レオンとは小さい頃から何回か会っていたよね。
その時に姉の話しを聞いた事がなかった…。
姉の話しをしたくなかったのか?
この前も悲しそうな顔をしていたし…。
本当に…レオナさんが生きていたら僕の悩みはすぐに解決できるんだけど。
結婚問題も僕のレオンを見てドキドキする問題も…。
いや、でもレオンの事を好きなら解決できないか…。
幼い頃から恋愛には興味がなかったし、周りに寄って来る令嬢達は僕の身分が目当てだと思っていたから相手にしなかったし…今考えれば、女性が好きではなかったという事なのか?
現に今は男のレオンを見てドキドキするわけだし…。
どうするんだ…?
この国では同性婚はできない。
ましてや、王族が同性婚をするなんて絶対に認められない…。
僕が王子でなければ、隣国の同性婚が認められている所に行って結婚できるんだが…。
…って、すっかりレオンが好きって認めてるよ~。
あ~、もうどうするんだ?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる