男装令嬢の願い

縁 遊

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12.  王子の溜め息 〈クリフ視点〉

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今日はレオンが休みらしい。

寂しい気持ちがわいてくる…。

僕は旅に出てレオンの姉のレオナさんの夢を見てから、どうも…おかしいんだよね。

レオンを見るとドキドキするというか…。

それが、あの淫らな夢を思い出すからなのか…それとも僕がレオンを意識しているからなのか…わからない。

「あ~!何なんだろう…」

「クリフ様、急に大声を出されてどうかされましたか?」

今日はレオンの代わりに、上司のナルマが来ている。

「すまない…何でもない。考え事をしていたんだ」

まさか、男が好きかもしれないなんて…この国の王子としては言えない事だ…。

僕は、レオンが好きなのか…?

「はあ~」

大きな溜め息が出た。

「クリフ様…今日はお仕事になりそうにありませんね。残りは明日にしましょう。今日はゆっくりとお休み下さい」

とうとう、ナルマに仕事にならないと言われてしまった…。

「わかった…。明日は頑張るよ…」

僕は気分を変えようと思い庭のベンチに腰かけた。

全てはあの、リアルすぎる夢のせいだ…。

唇や肌の感触を今でもはっきりと覚えている。

一時は僕がレオンを襲ったのかとも考えたけど、夢の中ではレオンにはない豊かな胸があったし、逆に男にあるべきものはなかった…だから違うだろうという結論を出したんだ…。

あんなに、リアルで気持ちの良い夢を見たことなんてなかった…だからこそ忘れる事ができないんだ。

レオナさんの可愛い喘ぎ声も耳に残っているし…。

でも、良く考えれば不思議だよね。

同じ公爵家の子供なのに、レオナさんには1度も会った事がなかった。
身体が弱いとは噂で聞いていたが…。
レオンとは小さい頃から何回か会っていたよね。
その時に姉の話しを聞いた事がなかった…。
姉の話しをしたくなかったのか?
この前も悲しそうな顔をしていたし…。

本当に…レオナさんが生きていたら僕の悩みはすぐに解決できるんだけど。

結婚問題も僕のレオンを見てドキドキする問題も…。

いや、でもレオンの事を好きなら解決できないか…。

幼い頃から恋愛には興味がなかったし、周りに寄って来る令嬢達は僕の身分が目当てだと思っていたから相手にしなかったし…今考えれば、女性が好きではなかったという事なのか?

現に今は男のレオンを見てドキドキするわけだし…。

どうするんだ…?

この国では同性婚はできない。
ましてや、王族が同性婚をするなんて絶対に認められない…。
僕が王子でなければ、隣国の同性婚が認められている所に行って結婚できるんだが…。

…って、すっかりレオンが好きって認めてるよ~。

あ~、もうどうするんだ?


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