15 / 88
15. 新しい生活と驚き
しおりを挟むお姉様の所に来て早いもので、もう3カ月がたった。
すっかりドレスの扱いにも慣れて女性としての生活を楽しめる様になっている。
私とクリフ様の子供も順調に育っているが、私はあまりお腹が大きくならないタイプらしい…。
腹筋を鍛えているからなのかしら?
なので、周りの人達も私が妊婦だとはわからないみたい。
義兄は、まだ仕事が忙しいらしく屋敷には帰ってこないのでお姉様と私の2人で相変わらず生活している。
こんなに幸せで良いのかと思うくらい、毎日が穏やかだ。
今日は運動も兼ねてお姉様と町に買い物にきた。
人が沢山いて、とても活気がある。
ただ、ここは海の近くなので魚が豊富にとれるらしく、臭いに敏感になっている私には少し厳しいのだ。
「うっ…」
また、気分が悪くなってきた。
「大丈夫、レオナ?」
お姉様が背中をさすりながら心配してくれている。
「すいません、お姉様…。」
「いいのよ、気を使わなくて。待っていてあそこで飲み物をかってくるわ」
屋台で果物のジュースを売っているのを見つけて、お姉様は買いに行った。
私はその間噴水の近くのベンチで座って待っていた。
「大丈夫ですか?顔色が優れないみたいですが…お医者様でも呼んで来ましょうか?」
優しい人が心配して声をかけてくれた。
「大丈夫です。ご親切にありがとうござい…」
相手の顔を見て驚いてしまった…。
クリフ様だ…。
何故…ここに?
幻を見ているのかしら?
「本当に大丈夫ですか?」
私は、お礼が途中だったことを思い出し…。
「大丈夫です。本当にありがとうございます」
そんなやり取りをしていると、お姉様が帰って来られた。
「妹が何か…?」
お姉様はクリフ様に気がついていない様子だ。
「お姉様、この方は私を心配して声をかけてきてくださったのです…」
「まあ、そうでしたか。申し訳ございませんでした。あら…貴方様はもしかして…」
お姉様も気がついてしまったみたいです。
「ご無礼をお許しください。気がつくのが遅くなりました」
「俺を知っているの?」
「勿論でございます。自分が生まれた国の王族の方のお顔を知らない者はいません」
「…そうか。バレてしまったか。でも、普通にしてくれるとありがたいんだけど…。お忍びで来たから…」
クリフ様がお忍び…?
「わかりました」
お姉様はそう言うと私の方へ来られて飲み物をくれた。
「飲みなさい。少しはスッキリすると思うから…」
「ありがとうございます…」
クリフ様は私達の様子をジッと見ているみたいだ。
「どうかされましたか?」
姉が視線に耐えられずクリフ様に話しかけた。
「いや、ジッと見てすまない。知り合いに雰囲気が似ているので…」
私の事でしょうか…。
「そうだ…実はその知り合いに会いに来たのだが知らないだろうか?」
なんだか心臓がドキドキしてきました。
「どなたですか?」
「バンフォード=レオンという男に会いに来たんだが、家を訪ねても留守だったのだ」
やはり、私を訪ねて来られたのですね。
お姉様…何て返答されるつもりかしら…。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる