男装令嬢の願い

縁 遊

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24. 悪魔の様なお母様

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何だか良い夢を見ていた気がする。

…覚えていないのだけど。

頭が痛いのは治ったけど…やはり何故お姉様の所に来たのかは思い出せない…。

何故わざわざお姉様の所に来たの?

確かに気持ち的に辛かったのはあったと思うけど…いつもの事だし。

1年も休暇を取って来たとお姉様は言っていたわよね?

どうして、1年なの?

「お目覚めになりましたか?」

私は懐かしい人を目にした。

「マリア!…どうしてあなたがここにいるの?」

マリアが困った様な顔をしている。

「…本当に記憶がないのですね」

そう言って泣き始めた。

「…え?マリア…私が何か変な事を言った?」

「違うのです…どうして神様はレオナ様を苦しめるのかと…」

私を苦しめる…?

「なんの事?」

マリアがハッとした顔になり、涙を拭いて私に笑顔を見せた。

「…いえ、何でもありません。私は少し前からお嬢様の…侍女としてこのお屋敷で雇われています」

「そうなのね…。私が忘れてしまっているのね…ごめんなさい」

私はどれだけの記憶を無くしてしまったのだろう…。

何か大切な事を忘れている気がするのだけど…頭の中に靄がかかって思い出せない。

記憶を無くした時と同じようにすれば思い出せるかしら…。

「ねえ、マリア…聞きたい事があるのだけど…」

マリアはお茶をいれながら話を聞いていた。

「何でしょうか?」

「私は何故記憶を無くすようなケガをしたのかしら?知っていたら教えて欲しいのだけど…」

マリアの手が止まった。

「………。」

「マリア聞こえている?」

「……悪魔がお嬢様を階段から突き落としたのです」

「悪魔…?」

悪魔なんて…冗談かしら?

でも、マリアの顔は真剣ね。

「悪魔って誰の事なの?」

「…それは」

マリアが何故か言うのを躊躇っている。

「それは私が答えるわ」

お姉様…。

いつの間にかお姉様がお部屋に来ていた。

「悪魔はお母様よ…。お母様が、玄関前の階段から貴女を突き落としたのよ」

そんな…。

「…貴女が女性の格好をしていたのが気に入らなかったみたい」

そんな事で…。

「それで…お母様は?」

「国に帰ったわ…貴女にケガをさせたのに、何事も無かったかのようにね…」

「フッフフ…」

何だか…可笑しくなってきた。

「レオナ…大丈夫?」

お姉様は私の手を握り心配してくれている…。

「お母様は本当にレオナが嫌いなのですね…。レオンでない私には興味がないのですね」

いっその事…殺してくれれば良いのに…。

抵抗せずに殺されてあげるのに…。

そうすれば、レオンと2人…死者の国で穏やかに過ごせる。

もう、限界が近いのかもしれない。


じわじわと精神を削られていくような気がする…。

神様…私は幸せになることが禁じられているのでしょうか。

悪魔の様なお母様…今度はどうやって私を苦しめるのですか…。

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