男装令嬢の願い

縁 遊

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42. 見られた…?

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目を開けると見知らぬ部屋だった。

「ここは…どこ…」

「レオン、気がついたか!」

視界にクリフ様が飛び込んできた。

ぼやけていた意識がハッキリとしてきて、思い出した。

私は海に落ちたはず…。

しまった…服…胸を隠すコルセット…クリフ様に見られた?

薬を今日も飲んでいるから大丈夫だったかな…。

「…申し訳ありません。海に落ちた所までは覚えているのですが…」

「どこか、痛い所とか苦しいとかはないのかい?本当に大丈夫?」

クリフ様が近すぎて…違う意味で心臓がバクバクしています。

「私はどうやって助かったのですか?」

「僕が飛び込んで君を海から出したんだ」

クリフ様が…王子様自ら飛び込んだ?

「申し訳ございませんでした」

私は頭を下げた。

王族に助けてもらうなんて…。

「頭を上げてよ。レオンがいなくなったら僕は生きていけないからね…」

私の両手を握りしめて言っている。

何だか…私が女性なら熱烈な愛の言葉と勘違いしそうだけど…。

男のレオンに言う場合は…どういう意味?

友人として…という意味かな…。

「…ありがとうございます。私はクリフ様に大事に思われていると言うことですね」

「そうだよ…。とても…とっても大事に思っているんだから、ケガなどしないように気をつけるんだよ」

クリフ様が握っていた私の手に自分の頬をあてている。

私は自分の顔が真っ赤になるのがわかった。

何!この甘い雰囲気!

最近のクリフ様…やはり様子が変だと思う。

「1つ…気になる事を聞いて良いだろうか?」

「何でしょうか?」

クリフ様が聞くのを躊躇っているのがわかる。

「…濡れていた服を脱がしたら…中にコルセットみたいなのを巻いているのを見たんだ…その隙間からお腹に傷痕があるのを見てしまった…それはこの前休んでいた事と関係するのか…」

やはり、コルセット姿は見られたんだ…。

お腹の傷の事は自分でも覚えていないから説明しにくいんだけど…どこから言ったら良いのか…。

「確かにお休みを頂いていた時に縫った跡なんですけど…自分は何も覚えていないのです…」

クリフ様が不思議そうな顔をしている。

「実は、お話していなかったのですが、休暇中に階段から落ちまして…その前後の記憶がスッポリとないのです。目覚めたらお腹に縫われていたので…」

「どうして今まで言わなかったのだ」

クリフ様が真剣な眼差しで見つめている。

「仕事には差し支えがないと思い…黙っていました。お見苦しい物を見せてしまい申し訳ありませんでした」

「見苦しくなんかない…女性の様に綺麗な肌で驚いたくらいだ…その肌に傷があったので気になったのだ…気にしていたのなら、すまなかった…」

女性の様な綺麗な肌…こんな時なのに綺麗と言われて嬉しい自分が嫌になる。

でも…良かった、気づかれなかったみたい。

もし、気づかれたら側にはいられなくなる…。


気をつけないと…。



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