42 / 88
42. 見られた…?
しおりを挟む目を開けると見知らぬ部屋だった。
「ここは…どこ…」
「レオン、気がついたか!」
視界にクリフ様が飛び込んできた。
ぼやけていた意識がハッキリとしてきて、思い出した。
私は海に落ちたはず…。
しまった…服…胸を隠すコルセット…クリフ様に見られた?
薬を今日も飲んでいるから大丈夫だったかな…。
「…申し訳ありません。海に落ちた所までは覚えているのですが…」
「どこか、痛い所とか苦しいとかはないのかい?本当に大丈夫?」
クリフ様が近すぎて…違う意味で心臓がバクバクしています。
「私はどうやって助かったのですか?」
「僕が飛び込んで君を海から出したんだ」
クリフ様が…王子様自ら飛び込んだ?
「申し訳ございませんでした」
私は頭を下げた。
王族に助けてもらうなんて…。
「頭を上げてよ。レオンがいなくなったら僕は生きていけないからね…」
私の両手を握りしめて言っている。
何だか…私が女性なら熱烈な愛の言葉と勘違いしそうだけど…。
男のレオンに言う場合は…どういう意味?
友人として…という意味かな…。
「…ありがとうございます。私はクリフ様に大事に思われていると言うことですね」
「そうだよ…。とても…とっても大事に思っているんだから、ケガなどしないように気をつけるんだよ」
クリフ様が握っていた私の手に自分の頬をあてている。
私は自分の顔が真っ赤になるのがわかった。
何!この甘い雰囲気!
最近のクリフ様…やはり様子が変だと思う。
「1つ…気になる事を聞いて良いだろうか?」
「何でしょうか?」
クリフ様が聞くのを躊躇っているのがわかる。
「…濡れていた服を脱がしたら…中にコルセットみたいなのを巻いているのを見たんだ…その隙間からお腹に傷痕があるのを見てしまった…それはこの前休んでいた事と関係するのか…」
やはり、コルセット姿は見られたんだ…。
お腹の傷の事は自分でも覚えていないから説明しにくいんだけど…どこから言ったら良いのか…。
「確かにお休みを頂いていた時に縫った跡なんですけど…自分は何も覚えていないのです…」
クリフ様が不思議そうな顔をしている。
「実は、お話していなかったのですが、休暇中に階段から落ちまして…その前後の記憶がスッポリとないのです。目覚めたらお腹に縫われていたので…」
「どうして今まで言わなかったのだ」
クリフ様が真剣な眼差しで見つめている。
「仕事には差し支えがないと思い…黙っていました。お見苦しい物を見せてしまい申し訳ありませんでした」
「見苦しくなんかない…女性の様に綺麗な肌で驚いたくらいだ…その肌に傷があったので気になったのだ…気にしていたのなら、すまなかった…」
女性の様な綺麗な肌…こんな時なのに綺麗と言われて嬉しい自分が嫌になる。
でも…良かった、気づかれなかったみたい。
もし、気づかれたら側にはいられなくなる…。
気をつけないと…。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる