43 / 88
43. 知ってしまった事実 〈クリフ視点〉
しおりを挟む「レオン!」
僕は何も考えずに海に飛び込んだ。
レオンが海に沈んでいく…。
嫌だ…いやだ…イヤダ!
死なないでくれ!
いや…死なせない!
絶対にレオンを助ける!
僕は必死に泳いだ。
何度もレオンを掴もうとしては掴むことができず…レオンの手を掴めた時はどんなに嬉しかったか…。
僕は意識のないレオンを強く抱きしめて、上に向かって泳いだ。
地上に上がってもレオンの意識は戻らず、僕はレオンに人工呼吸をした。
…が、咳き込んだだけで、目は開けなかった。
急いで宿に戻り医者を呼んで診てもらった。
医者は意識がないだけで身体に異常は診られないとのことだった。
…が、驚くことがわかった。
医者がレオンの事を女性と言ったのだ。
どういう事だ…。
医者は身体が冷えているので温めるようにと言って帰っていった。
医者が帰った後、侍女もいないし、護衛にレオンの肌を見られるのも嫌だから、僕がレオンの服を着替えさせた。
胸にはコルセットがきつく巻かれているが、男にはない柔らかな膨らみがあるのがわかる…。
細い腰…下腹部には真新しい傷跡がある。
一体何があったんだ。
触れると滑らかで極め細かな肌…。
まるで…夢に見たレオナさんのようだ。
…もしかして。
…あれは…夢じゃないのか。
レオンが女性なら…。
さっき、人工呼吸をした時に感じたおかしな感じ…知っているような…デジャブ感。
確かめたい…あれが夢ではなかったのか…。
意識のない人に対して卑怯だとは思うが…ごめん…レオン。
僕は意識のないレオンに口づけをして、裸のレオンを抱きしめた。
やはり…あの時感じたのと同じだ…。
気がつくと僕は何度もレオンに口づけをしていた。
レオン、目を覚まして僕を見つめてほしい。
僕の口づけに、こたえてほしい…。
君が女性なのに、なぜ男だと言っているのかも教えてほしい。
…それから、僕の夢だと思っていたことが本当の出来事だったと言ってほしい。
そうすれば、僕は…。
思う存分…君を愛する事ができる。
僕は着ていた服を全て脱ぎ去り、レオンと同じベッドに入った。
すっかり冷えきっているレオンの身体を、僕の腕の中で温めた。
愛しい気持ちが溢れるようだ…。
まさか、こんな事になるなんてな…。
叔父上をかなりきつく叱ったが、ある意味これは叔父上のおかげか…。
しかし、叔父上は昔からレオンの事を気に入っていたから、女性とわかると危ないな…。
近づけないようにしないと…。
愛しいレオン…いや、レオナかな…もう逃がさないよ。
君が女性で亡くなったとされるレオナだって証明してみせるよ。
それが出来たら、僕と結婚してほしい。
これからは君への気持ちを隠さないからね…。
早く目覚めてほしいな…愛しいレオナ…。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる