男装令嬢の願い

縁 遊

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43. 知ってしまった事実 〈クリフ視点〉

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「レオン!」

僕は何も考えずに海に飛び込んだ。

レオンが海に沈んでいく…。

嫌だ…いやだ…イヤダ!

死なないでくれ!

いや…死なせない!

絶対にレオンを助ける!

僕は必死に泳いだ。

何度もレオンを掴もうとしては掴むことができず…レオンの手を掴めた時はどんなに嬉しかったか…。

僕は意識のないレオンを強く抱きしめて、上に向かって泳いだ。

地上に上がってもレオンの意識は戻らず、僕はレオンに人工呼吸をした。

…が、咳き込んだだけで、目は開けなかった。

急いで宿に戻り医者を呼んで診てもらった。

医者は意識がないだけで身体に異常は診られないとのことだった。

…が、驚くことがわかった。

医者がレオンの事を女性と言ったのだ。

どういう事だ…。

医者は身体が冷えているので温めるようにと言って帰っていった。

医者が帰った後、侍女もいないし、護衛にレオンの肌を見られるのも嫌だから、僕がレオンの服を着替えさせた。

胸にはコルセットがきつく巻かれているが、男にはない柔らかな膨らみがあるのがわかる…。

細い腰…下腹部には真新しい傷跡がある。

一体何があったんだ。

触れると滑らかで極め細かな肌…。

まるで…夢に見たレオナさんのようだ。

…もしかして。

…あれは…夢じゃないのか。

レオンが女性なら…。

さっき、人工呼吸をした時に感じたおかしな感じ…知っているような…デジャブ感。

確かめたい…あれが夢ではなかったのか…。

意識のない人に対して卑怯だとは思うが…ごめん…レオン。

僕は意識のないレオンに口づけをして、裸のレオンを抱きしめた。

やはり…あの時感じたのと同じだ…。

気がつくと僕は何度もレオンに口づけをしていた。

レオン、目を覚まして僕を見つめてほしい。

僕の口づけに、こたえてほしい…。

君が女性なのに、なぜ男だと言っているのかも教えてほしい。

…それから、僕の夢だと思っていたことが本当の出来事だったと言ってほしい。

そうすれば、僕は…。

思う存分…君を愛する事ができる。

僕は着ていた服を全て脱ぎ去り、レオンと同じベッドに入った。

すっかり冷えきっているレオンの身体を、僕の腕の中で温めた。

愛しい気持ちが溢れるようだ…。

まさか、こんな事になるなんてな…。

叔父上をかなりきつく叱ったが、ある意味これは叔父上のおかげか…。

しかし、叔父上は昔からレオンの事を気に入っていたから、女性とわかると危ないな…。

近づけないようにしないと…。

愛しいレオン…いや、レオナかな…もう逃がさないよ。

君が女性で亡くなったとされるレオナだって証明してみせるよ。

それが出来たら、僕と結婚してほしい。

これからは君への気持ちを隠さないからね…。

早く目覚めてほしいな…愛しいレオナ…。
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