男装令嬢の願い

縁 遊

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44. 出会いに感謝

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「叔父上…いい加減にしませんか?」

クリフ様が叔父のアルス様を怒っている。

「叔父上のせいでレオンが大変な目にあったのに、困らせる様な事はしないでくださいよ…」

アルス様が突然、部屋にやって来て私の側を離れようとしないから、クリフ様がイライラしているみたい。

「どうして、お前に言わなければならないんだ。私とレオンの問題だろう。お前は関係ないよ。なあ、レオン」

巻き込まないでほしいです。

「レオンが困っているけど、はっきりと言えないから僕が代わりに言っているんです」

困っているのは確かです。

「久しぶりにレオンに会えたのに…お前は邪魔するなよ…私とレオンの仲を妬んでいるのか?」

アルス様と私の仲…?

何もありませんよね?

「叔父上!」

たぶん…クリフ様をからかって遊んでいらっしゃいますね。

アルス様は変わりませんね…。

なぜか、昔からアルス様は私を気にかけてくだっていた。

クリフ様と一緒にいると、いつの間にかアルス様がいて…幼い頃はよく近隣諸国の話を聞かせてもらっていた。

私は自分が屋敷から離れる事が出来ない事を幼いながらに知っていたので、アルス様の話を聞いて自分が旅をしている気になって楽しんでいた…アルス様の話を聞くのが大好きだったのだ。

そのアルス様が突然いなくなって寂しく思ったのを覚えている。

生きておられて良かったという気持ちと、一体今まで何をされていたのかという苛立ちの気持ちが私の中で生じている。

「アルス様、一体…今までどこでどうお過ごしだったのですか?」

「…レオンが聞くなら答えるよ」

「叔父上!僕が聞いたときは答えなかったのに…」

アルス様はクリフ様を無視している。

「誰だって愛しい人の言うことには逆らえないだろ…」

アルス様がうっとりした顔で私の手を握ってきた。

「は?!愛しい人?な、何を…」

クリフ様が動揺している。

私もだけど…。

アルス様…私が女だと知りませんよね?

…と、言うことは男性がお好きだったのでしょうか。

初めて知りました。

「と、取り敢えずレオンの手を離してください!」

クリフ様が顔を真っ赤にして怒っている。

「…フッフフフッ」

私は、お2人のやり取りを聞いていて笑ってしまった。

「「レオン?!」」

お2人は、何故私が笑っているのかが理解できずにキョトンとしている。

その様子が可笑しくて…また、笑ってしまう。

心配してくれる人がいる…それが素直に嬉しい。

両親ですら心配してくれない私の事を…。

思い返せば昔からこの人達に私は救われていたんだと気がついた。

「笑わせて頂いて、ありがとうございます」

お2人は理解できないだろうけど、きっとお2人に出会っていなければ私は生きていなかったかも…。

この出会いに感謝します。

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