男装令嬢の願い

縁 遊

文字の大きさ
64 / 88

64. 準備

しおりを挟む


今日はクリフ様が急用が出来たとかで、お休みをとられている。

こんな事は珍しい。

仕事だと必ず私に同行の声がかけられるので、仕事ではないのかな?

でも、顔を見なくて良かったかもしれない。

私を好きだ…と言ってくれたクリフ様の顔をまともに見れる気がしない。

クリフ様は他の方に私がレオナだとは言っていないらしく、仕事場はいつも通りの雰囲気だ。

今日は顔を合わさないように仕事をしようと思って来たけど、いないのならいつも通りにできる。

でも、これからどうしよう…。

結局、私はクリフ様に私も好きだと告げていない。

あの後、クリフ様が今すぐに答えは出さなくて良いよ…と言ってくれたから。

ただ、アルス様の提案はすぐに断ってきてねと言われた。

その日のうちにアルス様には手紙を書いてお断りした。

クリフ様は婚約者の件は僕が考えるから少し時間をくれる?と言っていた。

どうするおつもりなのだろうか…。

だけど…まずはクリフ様との事を考えないといけないのかな。

もし、クリフ様と付き合うとなると…やっぱり、リオンの事を話さないといけないよね。

それに、クリフ様は旅先での事を覚えていないかもしれないし…まずはそこからか…。

でも、どう説明する…恥ずかしすぎるよ。

それに、リオンの事がわかればクリフ様は結婚すると言い出すだろうな…。

本心を言えば私だってクリフ様と結ばれてリオンと3人で幸せに暮らしたいと思うけど…クリフ様はこの国の王子様…気持ちだけではどうにもならない問題もある。

いつも、堂々巡りだな…。

幸せと不幸は隣り合わせだって誰かが言っていたけど本当だな…。

私の幸せは何なんだろう…。


普通に女性として生きたい。

好きな人と一緒にいたい。

子供と一緒に暮らしたい。

どれも叶うことのない私の夢に終わるのだろうか。

フフッ…私は気づいてしまった。

レオンが生きていた頃の私の幸せは、レオンと過ごす時間だけだった。

普通に女性として生きることも諦めていたし、好きな人ができるなんて思ってもみなかった。

ましてや、自分が子供を産むなんて…。

思い返してみれば、生きる事に欲がでてきたのね。

ただ静かに時間が過ぎるのを待っていた幼い頃の自分が今の私を知れば驚くだろう。

あの頃は自分は人形なんだと思い込もうとしていたもの…。

感情を殺して、両親の言うままに生きて…。

そう考えると…恋って凄いのね。

クリフ様を好きになって全てが変わった。

恋をしなければ今の私はいない、昔の人形のような私が今もいたのだろう。

だけど、その恋を教えてくれたクリフ様に迷惑はかけられない…。

やはり…最悪の事態を予想して用意しなければいけないかも…。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...